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47歳無一文から「20世紀屈指の大発明」を成し遂げた社長の秘訣とは

今回も、私が深く感銘を受けた「一流人の成功談」についてお話しします。
選んだ本は前回に引き続き、『ビジネスマンが読んでおくべき  一流人のあの選択、この決断 この99のヒントがあなたの人生を開く』(船井幸雄監修・知的生きかた文庫・三笠書房)です。

全6回連載シリーズの2回目となる今回は、日清食品の創業者である安藤百福あんどう ももふくさんをご紹介します。

安藤さんはNHKの連続テレビ小説『まんぷく』のモデルにもなったので、その波瀾万丈な生涯をご存じの方も多いのではないでしょうか。
しかしこのドラマは実話をベースにしているため、脚色されている部分も多くあります。

実際の安藤さんの人生は、ドラマ以上に壮絶で感動的です。
再起不可能と思えるどん底から、一体どのようにして人生を大逆転させたのか。今回はその成功の秘訣に迫ります。
今を生きる私たちの人生やビジネスにも、きっと役立つヒントが見つかるはずです。


どん底から、わずか1年での大逆転

安藤さんは数々の失敗をしてはその度に立ち上がるという、まさに「敗者復活戦」のような人生を歩んできましたが、人生最大のピンチは47歳の時に経験した破産でした。
破産の原因は、不慣れな信用組合の理事長を引き受け、その組合が破綻してしまったことです。

当時(1957年)の日本人男性の平均寿命は、およそ64歳。「55歳定年制」が一般的だったその頃の感覚からすれば、周囲の人たちは「もうこの人の人生は終わった」と思ったことでしょう。
今の私たちから見ても、50歳を目前にしてすべてを失い、ゼロから人生をやり直すのは不可能に思えます。

しかし、安藤さんがのちに「20世紀屈指の大発明」と称えられる世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」の開発に成功したのは、翌年の1958年のこと。破産からわずか1年足らずの期間で、奇跡を起こしたのです。

「人生に遅すぎるということはない。いつでもやり直すことができる」

そんな言葉がありますが、綺麗ごとに感じられ、素直に信じられない人も多いでしょう。
けれども、安藤さんの歩みは、それが嘘ではないことを見事に証明しています。
今、元気を失っている中高年の方はもちろん、何かに挑戦しようとしていても不安を感じ一歩を踏み出せない人は、大きな勇気をもらえるのではないでしょうか。

実は、認知症と癌を患う90歳の父をワンオペで介護している58歳の私も、安藤さんの姿から計り知れない力をもらっている一人です。

では、安藤さんは一体どのようにしてこの奇跡を起こせたのか、その核心へと紐解ひもといていきましょう。

執念の開発と、的中した「5つの原則」

安藤さんが即席ラーメンの開発にかけてみようと思ったきっかけは、終戦直後の貧しい時代、ラーメンの屋台に長い行列ができているのを目撃したことでした。

「これほど悲惨な戦後の混乱期であっても、人は一杯のラーメンを求めてこんなにも並ぶのか……」

この衝撃的な光景から、安藤さんは「食はすべての原点(食足世平しょくそくせへい〜食が足りてこそ世の中が平和になる)」という確信を持ち、誰もが好きなラーメンを斬新な形で世に出せば、きっと喜ばれるはずだと考えたのです。

そこで安藤さんは、自宅の裏庭に小屋のような作業場をつくり、家族の力を借りながら、4時間しか睡眠をとらず、休日もなく、即席ラーメンの開発に悪戦苦闘する日々を過ごしました。そして、ついに「チキンラーメン」を完成させたのです。

大ヒットに至った大きな要因は、安藤さんが開発時に掲げた目標が優れていたことにあります。
安藤さんが立てた目標は、「美味しい、保存性が高い、簡便(便利)、安価、安全」という5つの原則でした。

この読みは的中しました。おいしくて保存がきき、しかも安く、お湯さえ沸かせればどこでも食べられるという圧倒的な便利さが消費者の心をつかみ、瞬く間に爆発的な大ヒット商品となったのです。

絶対の窮地だからこそ、潜在能力が目覚める

無一文からわずか1年で成功できた秘訣を問われると、安藤さんは著書『苦境から脱出』(フーディアム・コミュニケーション刊)のなかで、こう答えています。

「事業と財産を失い裸一貫、絶対の窮地から出発したからこそ、並でない潜在能力が発揮できたのではなかろうか」

この真理が当てはまるのは、安藤さんだけはありません。
先日亡くなられたガッツ石松さんもまた、映画の失敗や選挙の落選などで膨大な借金を背負いながらも、仕事を一切選ばずに地道にこなし、見事に完済されたそうです。

矢沢永吉さん、さだまさしさん、梅沢富美男さんも、かつて数十億円規模の巨額の借金を背負いながら、それをすべて完済しています。そして、その逆境こそが、のちにさらなる大きな成功をつかみ取るための強固な足掛かりとなったのです。

絶体絶命のピンチの時こそ、まさに「ガッツ」が必要なのです。
「窮すれば通ず」という言葉通り、追い詰められた極限の状況だからこそ、天才的なアイデアが浮かび、眠っていた潜在能力を引き出すことも可能になるのではないでしょうか。

人生、決して捨てたものではありません。どんなピンチに直面しても、決して投げ出さずに、前を向いて頑張りましょう。

全6回の「一流人の選択と決断」シリーズ、第2回をお読みいただきありがとうございました。
次回(第3回)は、「入社3年目で会社を辞めたくなった社長」の成功談をお届けする予定です。入社3年目の危機を乗り越えるヒントとは何か?どうぞお楽しみに!

▼ 第1回の話はこちらです。よろしければご覧ください。


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