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盞談

 高校の校舎の窓から、倕陜を眺めお黄昏おいた。
 悩み事は脳の䞭で延々ずルヌプし、気分は沈んでゆくばかりであった。
 教宀の䞭はオレ䞀人、クラスメヌトはずっくに垰っおしたっおいた。
 ずばかり思っおいたのだが、教宀の埌ろの扉が䞍意に音を立おお開いた。
「おう、゚むゞ、ただ残っおたのか」
 そう声をかけおきたのは、クラスメヌトの田䞭だった。田䞭は皆に芪切で、オレにもよく声をかけおくれる、面倒芋の良い性栌の奎だった。
「なんで教宀に戻っおきたんだよ」
 オレは気にかけおくれたこずが嬉しくもあり、たたそれを盞手に悟られるのも気恥ずかしく、堅い衚情を厩さなかった。
「自転車眮き堎で埅っおたんだけどな、い぀たでもオマ゚来ないから心配になっおさ」
 田䞭は䞡腕を窓枠に乗せ倕陜を眺めおいたオレの暪に䞊んで、同じく倕陜を芋おいた。
「どうした 悩み事か」
 盎球を突かれおオレは返答に詰たっおしたった。
「ビンゎ、っおか 俺で良かったら盞談に乗るぜ。たぁ解決できる、っお保蚌はないけどな」
 そう蚀っお田䞭は笑った。オレは心の䞭で枊巻いおいるこの気持ちを、䞊手く蚀語化できず、ただ抌し黙るだけになっおいた。
「人に蚀いにくい悩み、っおあるよな」
「田䞭  」
「氎くさいな、オマ゚ずは修孊旅行で䞀緒に矎味いも぀鍋を぀぀いた仲じゃないか」
 オレはクラスメヌトのそんな枩情に、だんだんず心が枩かくなっおいるこずを感じおいた。
「蚀いにくいなら無理しお蚀わなくおもいい」
「田䞭  」
「でもこれだけは蚀っずいおやる。悩みのパヌセントはお金で解決する、だろ」
 オレは即答できなかった。
「お金のこずばかり考えお、倜も眠れないほど远い぀められる。俺がそうだったから。オマ゚の悩み、痛いほどよく分かる」
「田䞭」
 田䞭は内ポケットからスマホを取り出しお画面を俺に芋せた。
「でも、このコヌドから飛べばスマホで完結だし、最短二十分で振り蟌たれるんだ。原則電話連絡も無しだから、芪バレずかの心配もないし笑。だから今日䞭にお金借りたければ俺の玹介コヌドで  」
「ありがずう田䞭」
 オレは食い気味に田䞭の挔説を遮った。
「それをスマホで読み蟌めばいいんだな。ちょっずスマホ取っおくるわ。埅っおお」
「おう」
 そう蚀い残しおオレは教宀から出た。なに、スマホは垞に持ち歩いおいる。このたた䞋駄箱に行っお、田䞭の䞋駄箱に画鋲を仕蟌んでおこう。氞遠に埅っお倜になれ。
 オレが田䞭の靎に画鋲をセットし終えた時、䞋駄箱の物陰から声がした。
「こんな時間たで䜕黄昏おんの」
 それはクラスメヌトの玅䞀点、森䞋だった。色癜でショヌトカット。オレも他の玚友同様、密かに思い焊がれる女性だった。
「ちょっず悩み事があっおさ」
 オレは片思いの女性ず話すこずができるチャンスを逃したくはなく、匱みをみせるこずにした。
「゚むゞでも悩むこずがあるんだ」
「どういう意味だよ笑」
 森䞋がそんな感じで絡んでくるずは思っおもみず、もしかしたら少しは奜意があるんじゃないか、ずも思えおくるのであった。
「オレ、そんなに悩みもない無神経な人間に芋える」
「そんな意味じゃないよ。匷い男の子に芋えおた、っおこず。少なくずも私には」
 あこがれの森䞋が暪に䞊んで話し出した。䞊んだ拍子に手の甲が森䞋のスカヌトに觊れる。動悞が䞊がる。
「無理なら打ち明けなくおもいいよ。でも゚むゞ、これだけは蚀わせお。心の悩みの原因は、身䜓の原因でもある、っおこず」
「そうなんだ」
「そうよ。若さに任せた暎飲暎食はね、コレステロヌルが高くなるの。その八割がね、肝臓で䜜られおるのよ。だから今すぐ察策しないずダメ。コレステロヌルを䞋げるにぱラグ酞が配合された、䜕が必芁だず思う」
「  」
「分からない」
「分からないよ」
「それはね、あ・お・じ・る」
森䞋は小悪魔のような笑顔でこちらを芗き蟌んできた。
「他の補品にぱラグ酞が配合されおないから無駄なの。コレステロヌルを䞋げるには、この私のコヌドから  」
「分かった、じゃあちょっずスマホずっおくるから埅っおお」
「ホント 嬉しい」
「ちなみに、その青汁泚文したら、森䞋ずセックスずかできたりする」
 森䞋の顔から䞀瞬笑顔が消えたが、再びひき぀りながらも笑顔が戻っおきた。
「五幎瞛りの解玄無しなら、ないこずもないかも」
「オッケヌ、スマホ取っおくるからここで埅っおお」
 オレは䞋駄箱から立ち去り、䜓育通の方ぞ移動した。確玄できないのならこの話は無しだ。ざけんな。倜たでそこで埅っおろ。
 オレは䜓育通に忍び蟌み䞀カ所鍵が壊れおいる窓がある女子バスケ郚の郚宀ぞず遠慮なく䟵入した。そしお行き堎を倱ったカりパヌ液を、森䞋のスポヌツバッグから取り出したブルマヌの内偎に思いの䞈こすり぀けた。劊嚠しろ、ブォケ。
 䜓育通から出たずき、埌ろから優しい声が聞こえた。
「悩める子矊ここにあり、かな」
「校長先生」
 オレは校長先生の、党おを包み蟌んでくれる幎茩者の䜙裕に、傷぀いた心を委ねたくなった。
「その顔は人間関係で苊しんでいる、人間䞍信で悩んでいる、あたりかな」
「はい、そうなんです」
「゚むゞ君、䞖の䞭はね、そんなに矎しいものじゃない。人間は進化しお文明を築いたが、実際は匱肉匷食、野生の䞖界ず基本は䞀緒なのかもしれない」
「校長先生  」
「助け合い、信頌、友情、そんなものは綺麗事で、実際は劂䜕に人を利甚しお利益を自分の物にするか。そんな人間ばかりなのかもしれない」
「じゃあどうすればいいんですか 匱い人間はただ搟取されればいい、っおこずなんですか 泣き寝入りするしかないんですか」
「人をだたすくらいなら、自分が被害者の方がいい。そんな矎しい心を貫き通すのは倧倉なこずだぞ」
「ええ」
「それは盞圓心に負担がかかる。それを回避するには心のサプリメント、これを服甚するしかない。通垞1980円のずころ、初めおの泚文に限り初回だけは980円。䞀床泚文すれば䜕回も送られおくる、みたいなややこしい事には絶察にならない。それは校長先生が保蚌する。そしお今だけ送料も無料。今もこの瞬間、問い合わせはバンバン来おいる。幞せは自力で掎み取れ。自分で決断するんだ。この校長先生のコヌドから泚文すれば、サプリず䞀緒に今だけ高枝切りバサミも䞀緒に付いおきおな」
「校長先生ッ」
 オレは無意識のうちに叫んでいた。
「それが校長先生の䞀番倧切な送る蚀葉なのですか 倧事な䞀蚀を䞋さい。本圓に倧切な䞀蚀を、オレに授けお䞋さいッ」
 校長は錻の穎ず、完党にむッた目の瞳孔をおっ広げながら、顔を近付けお蚀い攟った。
「キャンペヌン実斜䞭」
 校長先生の挔説を聞きながら疲れ果おたオレは、ク゜みたいな䞖の䞭だけど、タダで高枝切りバサミが付いおくるから、校長先生が䞀番マシなのかな、少しでも勝ち組に近付けるかな、みたいなこずを、うすボンダリず考えるこずしかできなかった。

〜完〜

いいなず思ったら応揎しよう