途切れなく続く「道」と行き着く「場」がつくる「物語」¦豊田市美術館
こんにちは
皆さんはどのようなGWを過ごされたのでしょうか。
ボクはその時間を利用して建築探訪に出向いてきました。

訪ねた先々の建築を中心としたお話を綴っていこうと思います。
日々のすき間にのぞいてもらえたら嬉しいです。
❚❘豊田市美術館を知る

今回の訪ねた場所の一つが愛知県豊田市にある「豊田市美術館」
まずは豊田市美術館ってどんなところ、から知っていこうと思います。
入口から歩みを進めていくと木々の間に豊田市美術館が徐々に見えてきます。いきなり全貌を見せないアプローチの演出が建築の方へ引き付けられるような気持ちさせてくれます。

トンネル効果
豊田市美術館は、19世紀後半から現代までの美術、デザインや工芸のコレクションを有する美術館として1995年に開館しました。以来、鑑賞者一人ひとりが作品と対話し、それぞれの作品との関係をつくっていただく場となることを目指して、コレクションの形成、同時代の作家たちとの展覧会やコミッションワーク、市民とともに歩む教育普及活動などを展開してきました。

美術館全体が見えた時の圧倒的な広がりと建築や庭園のサイズ感にも驚きと感動を覚えます。
ここ豊田市美術館の建築は建築家 谷口吉生、庭園のランドスケープデザインはピーター・ウォーカーの両名を中心に手掛けられています。

豊田市と言えば、トヨタ自動車です。
そうした産業だけではなく美術館の存在が芸術や文化の共存した地域であることを印象付けてくれます。
訪ねた日も広場ではイベントが開催されていて市民に、あるいはボクのような訪問者にも開かれた美術館であることを実感します。
展覧会を見るため、建築を見るためなど目的は様々であってもここに訪れ美術館内外を巡るのはとても有意義な時間になるのではと思います。


陽が差し込む
このあとはボクがどんな時間を過ごしてきたのかをお話していきます。
これからここへ訪れる人の参考になれたら嬉しいです。
❚❘違和感も楽しむインスタレーション

現在開催されている企画展「玉山拓郎:FLOOR」
ボクが豊田市美術館に訪れのは谷口建築以外にこの展覧会も見てみたいと思っていたのが理由の一つです。

玉山拓郎:FLOOR
今回の展覧会で展示されるのは基本的にはただ一つのインスタレーションのみ。豊田市美術館の特徴的な展示空間に、建築とも、構造物とも、あるいは立体作品や彫刻ともつかない巨大な物体を貫入させます。日の光の移ろいによって刻々と変化する展示室に、ひとつのインスタレーションがさまざまなかたちであらわれる。日常的なさまざまなスケール=基準がいったん保留され、ずらされる、この未知なる領域(territory)において、わたしたちは空間と時間のなかでなにかを体験することそのものをあらためて見つめ直すことになるでしょう。

展示室内を埋め尽くすような異様な物体。
そこからはナゾの音、唸りなのかはわかりませんが、「何か」が発せられています。
未知なる物体が壁や天井を突き抜け、めり込んでいたり、寄生するかのように展示室、いや建物内を浸食しています。

これは一体何なのか
正直言うとわかりません。
ただ、「何か」であるかは体験したボクたちが決めていいんだと思います。
例えば、自分の心の中、だったりしてもいいかもしれません。
それを前提にした時、ナゾの「何か」の形態、音、ボリュームなどの要素が心の振動という表現につながってきます。

ボクにとってはナゾの物体のおかげで建築空間が個々の部屋で分かれておらず、どこかしらで繋がっていることが可視化されたように見えてきて谷口建築をわかりやすくしてくれているなぁ、なんて思いました。

こんなところにも
というように
答えは自分次第ですので訪れた人、それぞれの視点で、設定で観覧してみると楽しめるのではと思います。
玉山拓郎:FLOOR
生誕一二〇年 人間国宝 黒田辰秋 木と漆と螺鈿の旅
同時開催の黒田辰秋氏の作品展も素敵です。
1月に京都でも見たので、個人的にまた見れた嬉しさがありました。
どちらも2025年5月18日(日曜日)までなので興味ある方はぜひ。
❚❘たどり着いた場に広がる空間

「ここってどこを見ればいいですか?」
写真を撮っていたら話しかけられました。
確かに豊田市美術館はこれまで谷口建築を見てきた中でも広大な建築です。他の建築と比べ、見どころのポイントも分散されている印象を受けます。

どこからでも場が繋がれている
ですので、ボクなりにポイントを3つに絞ってみましたので参考にしてもらえたらと思います。
1.高く抜けるようなエントランス広場
2.各展示室に繋がる階段ホール
3.水平に広がる水盤の庭園

窪みのような谷間のような
空へ抜けていくような空間が広がる

展示室へは必ずここを通る

谷口建築と言えば
代名詞的な水盤
上記の3つの場所が豊田市美術館で要所になる場所ではないかと思います。
ただ、この場所自体も素晴らしいのですが、この場所に辿り着くまでの前後も含めて体験してもらえると良いと思います。

豊田市美術館全体の特徴は階段、スロープ、通路(ブリッジ)など高低差や対岸に渡るような動線(人の動き)が多いです。
見方を変えると、動線が水の流れ、あるいは山中の道の動きと近似していると感じます。

ですので、上記の場所に行くまでにはアップダウンがあり、展示室から展示室(閉ざされたとこから開放へ)の間にあったり、徐々に風景が現れたり、突然空間が広がったり、といったように単純に要所の場所までには到達しません。

メイン空間と行くまでの道中も含めてストーリーが展開されていますし、各々の行き着いた場所で過ごす時間に深みが増すのではないかと思います。
また分散させた要素、空間をそびえ立つような大きな門構えが建築、庭園すべてを一つにまとめて(つなげて)くれている役割を果たしているとみています。

そっと眺める空間を手掛けるのも
谷口吉生氏らしい
谷口建築、やはり魅力がいっぱいです。
ということで
良い季節になりました。
建築、アートなど興味のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
豊田市美術館がおでかけ先の一つとして候補になりましたら幸いです。

それでは、この辺りで失礼します。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
ではまた
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