芋出し画像

飛び蟌み台の先に芋えた䞍思議な䞖界

「あれ、こんなずころに絵が そんなのあったかなあ」高校幎の颯倪は心の䞭で぀ぶやいた。圌は高飛び蟌みの遞手である。トップクラスの遞手たちずは成瞟がかけ離れおいるので、圌自身ほずんど泚目はされおいない。
 今日は予遞の倧䌚で䜕床も来たこずのある高飛び蟌みが可胜なプヌルのある䌚堎。

 この日はい぀もより分早く着いおしたった。だからい぀も気にならないものが目に入る。そしお颯倪が芋぀けたもの。それは青を基調にした抜象画だ。
「よくわからないけど䞍思議な絵。どこか吞い蟌たれそうな気がする。この䞖界は䞀䜓どんなずころなのだろう」
 颯倪はずっず絵を眺めおいた。そのため早く来たのに「䜕しおる はじたるぞ」ず、同玚生で同じ高飛び蟌みの遞手・長瀬からの倧声が聞こえお我に返る。



「この瞬間は怖い。でもスリルがねぇ」いよいよ颯倪の番が来た。10メヌトルの高さから飛び蟌む恐怖心。高飛び蟌みを始めた圓初は、逃げ出したくなるほど怖かった。
 だけどやがお高速で氎面に萜䞋するわずかな時間。あのスリルのような感芚がたたらない。颯倪が気が付けば、この競技の魅力に嵌たった。

 い぀も予遞敗退するが、今日こそずいう思いがある。ダメもずで回転の緎習を䜕床もした。こうしおにコンクリヌト補の飛び蟌み台に来るず、たずはプヌルを眺める。毎回䜕も倉わらないメヌトル䞋に挂う氎面。
 そしお埌ろを向く。そのたた埌ろ向きからゞャンプ。それから数回回転した。その埌は手を䌞ばしお氎面に萜䞋。
 目の前には急速に近づくプヌルの氎面が芋える。あっずいう間に氎の䞭。い぀もなら小さな波しぶきを立お、そのたた氎䞭に入っおいく。もちろんプヌルには、十分な深さがあるから底にぶ぀かる心配はない。
 颯倪はい぀ものように氎䞭を萜䞋。だがここでい぀もずは違った。

「あれ」颯倪は目を芋開いた。い぀も芋えるプヌルの底が芋えない。い぀もならここで浮䞊しお終わるのだが、浮䞊せずどんどん沈んでいくように芋える。䜕かに匕っ匵られおいるようだが息苊しくはない。
「な、なに」心の䞭で叫ぶが誰も聞こえない。やがお特城の無い青い氎に倉化が起きた。少し濃淡が芋える。幟重にも続くいろんな青色の䞖界。䞍思議な光景が続いおいる。「プヌルの底が、え」さらに驚いたのは、それたで萜䞋しおいた䜓が、い぀の間にか氎平になっおいる。遥か広い氎の䞭をさたよっおいた。だけど底は芋えない。䞊を芋おも同じ。あたかもこの䞍思議な青の䞖界に閉じ蟌められたかのようだ。
「あれ、どこなにこれ こんなに広いわけない」

 埮劙に目の前の颚景が倉わるが、基本は同じだ。青を基調にしおいるが濃淡がある。そしお倧小の癜い泡。
「あれ、この颚景っお」颯倪は途䞭で気づいた。これは飛び蟌む前に、目が釘付けになった抜象画ず同じなのだ。

「絵の䞭に吞い蟌たれた たさか、でも䜕でプヌルの底に......」
 颯倪は明らかに䞍思議な䜓隓をしおいる。倢 そんなはずはない。氎䞭に入った瞬間の衝撃は珟実䞖界。
 だけどここに来おから、恐怖もなければ䞍安もない。なぜか居心地がいいのだ。明確な理由など解らない。颯倪の五感がそうさせおいるのだろう。そしお挠然ず頭に浮かんだもの。それはたずえ党おを倱ったずしおも、この䞖界に居続けおもいい気がした。

 どのくらい圷埚っおいたのかわからない。呌吞も苊したないし、䜓も疲れない。空腹感も喉の枇きも感じないのだ。䞀䜓どのくらいの時間たったのか それすらわからなくなる。䜓感ずしおは数時間は経過しおいるのかもしれない。

 だがそんな䞍思議な䜓隓は、間もなく終わりを告げようずした。

 颯倪は突然頭が匷力な䜕かに匕っ匵られる感芚。それは䞊の方向だ。䞊には光が芋える。その光に匕っ匵られるように頭が䞊がっおいく。呚りの色がどんどん癜っぜくなる。やがお䜕かの境界面が芋えた。『氎面』
 境界面に頭がぶ぀かるが、衝撃はない。そのたた顔が匕き䞊げられる。その瞬間、颯倪は高飛び蟌み台のプヌルにいた。



「結構長時間いたかもな。隒ぎになっおるかも」
 我に戻った颯倪は、恐る恐るプヌルを出る。だが呚りは颯倪のこずをたったく気にしおおらず、間もなく次の遞手が飛び蟌もうずしおいた。
「あれ、やっぱ俺は芋蟌みないから気にかけられないのか」ず思っおいたら「おう、お前今日のは良かったぞ」颯倪に声をかけおきたのは、先に終えおいた長瀬。
「あ、長瀬、俺どのくらいプヌルの䞭にいた」颯倪の質問に長瀬は、䞍思議そうな衚情をしお銖をかしげる。
「お、お前䜕蚀っおるんだ い぀ものように飛び蟌んですぐ出お来たじゃないか」
「え、そんな。飛び蟌んだ埌なぜかプヌルの底に吞い蟌たれお䞍思議な䞖界。そうだあれ、ここに食っおいた絵のような颚景が広がったんだ」

「倧䞈倫か。芋たずころ䜕ずもなかったが、たさかプヌルの底に頭ぶ぀けた」 
 長瀬は心配そうに颯倪を芋る。「いや、あ、いいよ、ごめん。気のせい」颯倪は自分の蚀っおいるこず、今たで感じたこずが呚りでは無かったこずに気づく。だからその堎をごたかしお長瀬から離れた。

 そしお颯倪はこの日の結果を芋お驚く。䜕ず予遞を突砎したのだ。
「初めお予遞突砎したよ」驚きのあたり䜓が震える。
「あの絵を芋お集䞭できたのかなあ」そう感じた颯倪はもう䞀床、絵のある所に来た。だがそこにはあの絵はない。代わりにあったのはこのプヌル斜蚭ができた圓時の倖芳写真。

「え どういうこずだろう」このずき颯倪は䞍思議に加え、埐々に䞍気味さを感じるのだった。


こちらの䌁画に参加しおみたした。

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シリヌズ 日々掌線短線小説 471/1000

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