50代 初めてのお盆準備は思い出を重ねながら。
デパートにやって来た。
予想通り私と同じように帰省土産やお供えを買う人で、今日のデパ地下はごった返している。
長蛇の列をさばきながら、それでも笑顔と高い声を絶やさない店員さんたち。
恒例行事と覚悟しているかもしれないけれど、手を煩わせることに少し申し訳なさを感じつつ、のしをお願いした。
昨年まで仏事やお正月の買い物は、義母と一緒だった。
とはいえ私はただの荷持ち。何を買うか、いくらくらいのものを買うかは全て義母の頭の中だ。
いつかこれを引き継がなきゃならないんだな…なんて、その頃の私はどこか他人事で、そして来年もまた義母と来るんだろうと心のどこかで思っていた。
買い物に来たときは、美味しいランチとお茶をごちそうしてくれた。
年老いて友達と出かけることが減った義母にとって、こうして私と買い物に来ることは、ちょっとした楽しみだったのだと思う。
なんだかんだ自分の用事を優先して、買い物についてきてくれない我が子たちに、私は義母と食べたランチやスイーツの自慢の写真を送りつけていた。

多分すごく高かった気がする…
今日はランチもカフェもない。まっすぐに地下1階に向かう。
「お坊さんに出すお茶菓子はこれでいいかな。2個あればいいかな。でもいつも余分に買ってたよな。今日ももう1個買っとこか」
心の中で義母に話しかけながら、昨年まで義母の後ろを歩いていたのと同じように売り場を回る。
あーでもないこーでもないと考えて買ったわりには、手荷物が義母が選ぶものとそっくりになっていくのが面白い。
大きな紙袋が3つになった。入れてくれた紙袋の持ち手が細くてすぐに手が痛くなる。右に左に持ち替えながら、私の足は自然とお惣菜売り場へ向かった。
銀鱈の西京漬けとローストビーフと明太フランス。どれも義母がデパ地下に来たときには買ってくれていたものだ。
「せっかく子どもたちが帰ってくるんだから、食べさせてあげて」
義母がそう言っている気がしたから、重いけれど買うことにした。

義母も私達家族もみんな大好きだった
お坊さんに出すお茶菓子は買った。
お坊さんに渡す手土産も買った。
私の実家に持っていくお供えも買った。
帰省する義弟へのお土産も買った。
あとは、仏壇にお供えするものとお花か。
義母はきっと「私のためにお供えなんていらん。花は庭の花でええよ。」と言うだろう。でも好きだったメロンは買ってあげたい。
この続きはまた明日の仕事帰りだな。
運良く座れた地下鉄の帰り道で私はそんなことを考えた。
隣に義母はいない。
だけど今日、私は義母と一緒に買い物をしていた。思い出のような現実にいたような。
疲れたけれど、楽しかった。
