納骨は四十九日にするもの、と思っていませんか
葬儀の打ち合わせで、納骨の話になったときのことだ。
喪主だった息子さんが、当然のように言った。四十九日に納骨ですよね、と。
私は、そうされる方が多いですね、と答えた。それから、少し間を置いて付け加えた。ただ、いつまでにという決まりはありませんよ、と。
息子さんは、驚いた顔をした。
そうなんですか、と。てっきり、四十九日までにやらないといけないものだと思っていました、と。
この誤解は、本当に多い。
納骨をいつまでにしなければならない、という法律はない。四十九日に合わせる家が多いのは、法要で親族が集まるからだ。同じ日に済ませたほうが、みんなの都合がつきやすい。それだけの理由だ。
だから、一周忌でもいい。三回忌でもいい。何年か経ってからでも構わない。
私が現場にいた頃、骨壺をずっと自宅に置いていた方がいた。奥さんを亡くされた男性だった。
三回忌の頃に、たまたまお会いする機会があって、納骨はもう済まされましたか、と尋ねた。
まだです、と言われた。
仏間に置いてあるんです、と。朝起きたら、おはよう、と声をかける。出かけるときは、行ってきますと言う。それが習慣になってしまって、いざ納骨となると、その相手がいなくなる気がして、と。
私は、そうですか、とだけ答えた。
その方は、少し笑って言った。おかしいでしょう、と。
おかしくないですよ、と私は答えた。本心だった。
自宅に遺骨を置いておくことは、法律上まったく問題がない。よく誤解されているが、遺骨を自宅で保管するのに許可はいらない。届出も不要だ。
制限がかかるのは、埋める場合だ。遺骨を土に埋めるには、墓地として許可された場所でなければならない。自分の家の庭に埋めることはできない。ここだけは、はっきりしている。
けれど、部屋に置いておく分には、誰にも咎められない。
近ごろは、手元供養という言葉も広まってきた。骨壺を小さなものに移して、リビングに置ける形にする。あるいは、遺骨の一部をペンダントに納めて身につける。そういう選択をする人が増えている。
ただ、ひとつだけ考えておいたほうがいいことがある。
その骨壺を、次に誰が引き継ぐのか。
自分が元気なうちはいい。手を合わせ、声をかけ、そばに置いておける。けれど、いつか自分もいなくなる。そのとき、その骨壺はどうなるのか。
子どもがいれば、その子が引き受けることになる。けれど、その子にとっては、会ったこともない祖父母の遺骨かもしれない。どう扱えばいいか分からず、困ってしまうこともある。
だから、自宅に置いておくと決めたなら、そのことを家族に話しておいたほうがいい。いつか納骨するつもりなのか、それとも自分が死んだら一緒に納めてほしいのか。
置いておくこと自体は、まったく構わない。ただ、その先を決めていないと、次の世代が迷う。
さっきの男性は、その後どうされたのか、私は知らない。会社を辞めてしまったので、消息が分からなくなった。
ただ、あの人が納骨を急がなかったことは、間違っていなかったと思う。
四十九日までに、という思い込みで、まだ心の準備ができていないまま手放してしまう人もいる。急がなくていいのだと知っているだけで、選べる幅が広がる。
あなたの家では、その日をいつにするだろう。
もしよかったら、これからもこういう話を書いていきますので、のぞきに来ていただけたら嬉しいです。
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