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カレーナン、カレー難

唐突にインドカレーが、もっと正確に言えばナンが食べたくなって、近所のインドカレー屋さんに行ってきた。
実を言うと、僕はインドカレー屋さんの雰囲気が苦手だ。「ナンが食べたい」という気持ちが、「カレー屋さんこわい」という気持ちを上回るまでに数週間かかった。

幼い頃に連れて行ってもらったインドカレー屋さんにテレビが設置されていて、おそらくインド映画が流れていた。座席の関係上どうしてもテレビが目に入る位置に座ってしまったのでなんとなく見ていた。字幕もなくて、当然現地の言葉で話しているからストーリーの流れはあまり分からなかったけれど、どうやら主人公と思しき青年が、悪そうな複数人組に路地裏へ追い詰められていて、数十秒の掛け合いの後に銃で撃たれて倒れ込んだ。幼い頃の僕は、ドラマや映画のそういう緊迫したシーンが苦手で、怒鳴り声も銃声もダメだったからその時点で既にいやだなあ…と思っていたのだけれど、何が一番怖かったかって、その直後のシーンだ。

突如BGMが変わり、撃たれたはずの主人公が起き上がって悪役と一緒に踊り出したではないか!!

2、3分ほどだろうか、たっぷり踊って曲が終わると、主人公はまた倒れ込み、悪役はおそらく捨て台詞のようなことを一言二言喋った後で立ち去った。もう訳がわからなくて、怖くて、その記憶を想起させるお店の雰囲気ごと苦手になってしまった。今でもたまに思い出して、あれは何だったんだろう、と思うことがある。

構うもんか、もしインド映画がついていても見なきゃ良いんだ、僕は今日ナンを食べるんだ…と勇気を振り絞り、ちょっとドキドキしながらお店に入り、そのお店にはテレビは無いことがわかってちょっと安堵し、ナスチーズカレーを注文した。
ナンはおいしい。食べるのが久しぶりすぎてナンとルーのペース配分を間違え、ルーが三分の一ほど余ってしまったが、それでもおいしい。

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