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10か月ぶりのピアノレッスンとクロノ・トリガーの耽美ではない話。

やっっっっっっっとピアノレッスンに復帰することができた。さすがにまだ電車に乗るのがしんどいので、父に車で送ってもらったのだけれど、その途中ハマスタの横を通ったとき「最近来てないな(ちらちら)」「久しぶりに見たいな(ちらちら)」「今ならチケット取りやすいんじゃない?(ちらちら)」「最近よく行ってるパン屋のおやじが家族そろって熱狂的なベイスターズファンなんだけど、なんか娘がアイドルらしくて、店に写真が飾ってあるんだよ(ちらちら)」とわかりやすいにもほどがある態度をとられたので、はいはいどこかで一回ご一緒させていただきますよと。そのためには体力体力。てかそのパン屋、どう考えてもイコラブの瀧脇さんのご実家ではないか。世間って狭い。

長期のブランク明けというものは、どうしても相手とどう接していいのか迷ってしまう。でも、レッスン室の重いドアを開けた瞬間、先生に満面の笑みで「あーっ! こんにちはー! よかった会えて! どうぞどうぞ。あ、この楽譜気になる! さっそくやっちゃう?」と、その日「これ弾きたいんですけど」と言おうと思って持ってきていた「楽しいバイエル併用クロノ・トリガー」を指さされ、思わずポプテピピックの「ステイッステイッまだだッまだだッ」状態になりつつ「すいません、せめて簡単なフレーズだけ弾いてから本題に入らせてください」と返せた瞬間、秒で日常が戻ってきた。多分、一応事前に「病み上がりかつブランクがあるので、簡単なウォーミングアップから再開してもいいですか」という話はしていたので「けいこさんシンプルな運指練習より、簡単なフレーズを弾きながら技術をマスターするほうが得意なタイプだから、弾ける曲があったらそっち優先しましょう」と、私に対する解像度の高さを発揮していただいた結果、間をすっとばされていきなり曲行きましょうになったのだろう。さすが先生、相変わらずの福田湧矢の女性版。

「時の回廊」は「クロノ・トリガー」のサントラの中で一番好きな曲だ。ピアノを再開したとき、そういえば昔サントラの楽譜を買ったことを思い出して、実家に寄るついでに固定電話の台の電話帳を入れる戸棚を見たところ、案の定そこに眠っていた。母が生協でクリスマス商品と正月用品を買うために使っていたカタログで、私のためにチキンとケーキと一緒に注文してくれたと思われる、ジブリ映画のサントラの楽譜四冊と一緒に。おまけのほうが豪華説。とにかく「時の回廊」の楽譜、しかもバイエル85番程度という、ちょうど私がピアノを辞めた時の演奏グレード(9級)とだいたい同じぐらいの譜面が手に入るという奇跡が起こったので、これはもうやるしかないなと。そのため、オタクやサブカル的な話題に壊滅的に疎い先生にこの曲をどう弾きたいかを伝えるために、原曲を聴いてもらいながら「空に浮かんでいる美しい王国で流れる曲なんですけど、このあと滅びます」と初手で間違ってはいないけれど物騒なことを伝え、先にある「ジール宮殿」や「サラのテーマ」や「海底神殿」の楽譜をちらっと見せながら「こんな感じで滅びていきます」と、さらに身もふたもない説明を重ねてから曲に入ることになったため、結果として「最短距離を突っ切ったおかげで話の響きをシュールにする」をまんまお返しすることになった。いいんだよ通じれば!(極論という名の暴論という名の真実)

そういえば、長いこと休んでいたので、私の後にレッスンを受けているおじさまとも久しぶりに顔を合わせたのだけれど、以前私が楽譜と一緒に広げていたエルゴラをガン見されたり、今回もレッスンバッグにつけていた高橋直也缶バッジをガン見されたので、もしかしたらサッカーがお好きなのだろうか。いや、あれだけ堂々と持ち歩いていたら「なんだあれ?」と思わず見てしまうか。真相やいかに。そのためにも、また通えるようにならないと。ちちタクシー(勝手に命名)の力を借りずに、自力で。とにかく、日常を一つ一つ取り戻しながら、一歩ずつでも前へ進んでいけばいいや。そんなことを思わされた日の話。

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