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風変わりな女子会

今、母が来ている。
私の母については以前書いたが、オシャレ大好き♡70代、かなりの強者である。

さらに、母といえばもうひとり。
私の母に負けず劣らずのキャラクターである夫の母…義母である。
義母についても以前書かせてもらった。

最近ますますパワフルに、次から次へと何かを思いついては実行している義母。
母とタイプは違えど、我が道を突っ走るという点においては、どちらも譲らぬ双璧である。

そんな双璧ふたりは、同い年ということもあってか妙に気が合う。
背格好もよく似ているので、私の結婚式で、黒留袖姿のふたりが並んでいた様子は、まるで「こまどり姉妹」のようだった。
会うのは年に一度あるかないか程度なのに、会えばたちまち、
「○○ちゃん!」
「○○ちゃ~ん!」
と呼び合って、キャッキャキャッキャとはしゃぎ始める。

今回も、「みんなで食事にいこう!」となって、義父ももちろん誘ってみたのだが、
「せっかくの女子会に、オレがいたらジャマだろ」
と、ご遠慮なさった。
……女子会、ね。
お義父さん、さてはうまく逃げたな。

そんな流れで、母と義母と私。
三人でランチに行ってきた。

私が運転する車の後部座席に並んで座り、マシンガントークを繰り広げるふたり。
そこにキャッチボールはない。
それぞれが好き勝手に話している(ように聞こえる)。

それでも不思議と盛り上がり、肩をたたき合って笑ってるけど…
相手の話、ちゃんと聞いてる?
そう思ってバックミラーに映る母と義母を見て、
…こりゃ相手の話に、じゃなくて、自分の言ったことに笑ってるな。
と確信する。

お店に着いてもそんな調子だったが、注文を聞かれた瞬間だけは、私も含めて、
「エビフライ」
「エビフライ」
「エビフライ」
と、見事に声がそろったので笑ってしまった。

それにしても母と義母。
お互いろくに話を聞かないせいで、聞き間違いが誤解を生み、誤解からさらに妄想を広げている。
放っておくと、とんでもない方向に話が転がっていくので、私はせっせと間に入って訂正していたのだが、それもエビフライが到着するまでのこと。

アツアツのエビフライを目の前にしたら、ふたりの会話の中で、「私の妹が再婚する」ことになっていようが(しないけど)、「義父が宝くじに当たった」ことになっていようが(そんなわけない)、とりあえずまぁ、どうでもいいかという気になった。

それより今は、
(タルタルか、ソースか)
のほうが重要なので、私は一旦、エビフライに集中することにした。

集中しないと、サックサクの衣に無防備にかぶりついたとたん、目の前のふたり(母&義母)みたいに、「あふっ!!」っと変な声を出しながら、涙目で口を押さえたり水を飲んだりする羽目になるんだから。

そして、いつもなら、友人とこのエビフライを食べるとき、大好きなしっぽまで食べるか、食べたら「いやしいヤツ」だと思われやしないかと逡巡するのだが、今日はそんなことは気にしなくていい。
しっぽまでバリバリ食べる。

エビフライを心ゆくまで堪能し、ようやくふたりの会話に意識を戻すと、話題は”お嫁さんの愚痴”になっていた。

ん?…お嫁さん?
………って、私のことやがな!

おいおい母よ。
今まさに目の前で、あなたの娘のことが愚痴られてるというのに、それを庇うどころか……たぶん今、母の頭に浮かんでいるのは、私ではなく、息子(つまり私の弟)のお嫁さんなのだろう……義母がこぼす嫁の愚痴に、深く深くうなずいている。

やれやれ、さっきまであんなにちぐはぐな会話をしていたくせに、お嫁さんの話になると、とたんに正しく通じ合えるんだね。
私は、「今後一切何があっても、弟のお嫁さんの味方でいよう」と心に誓いつつ、素知らぬ顔で、デザートまでしっかり食べた。

ふと見ると、母のお皿にも義母のお皿にも、エビフライのしっぽは残っていなかった。
こんなところで、親子の絆を感じちゃったりして。

会計は、私たち三人に共通する人物ーーー
義母の息子であり、母の義理の息子である、私の夫のおごりということで話がついている。
私は会計の際、どさくさに紛れて、レジ前にあった「昆布サラダ」なる乾燥昆布を滑り込ませ、夫から預かったお金で、さっき聞かされた愚痴とともに精算した。

帰りの車の中では、ずーっとふたりから、今買った「昆布サラダ」のレクチャーを受ける。
(知っとるわ)
内心そう思いながらも、我先にアドバイスしたがる母と義母に、つい笑ってしまう。

母と義母と私。
世間一般で、このメンバーでの女子会は、なかなかないのではなかろうか。
この風変わりな女子会を、心から楽しんでくれている母と義母には、結局のところ、感謝しかないのである。















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