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森の道しるべの物語 人と比べてしまうあなたへ、自分の歩幅で歩く物語 


はじめに


森の中を歩いていると、
道しるべを見かけることがあります。

「どっちへ行こうかな。」

立ち止まって、
少し迷う時間も、
私は嫌いではありません。

私たちも日々の暮らしの中で、
いくつもの道を選びながら歩いています。

あの日、
森の道しるべの前で立ち止まったとき、
こんな物語が生まれました。


森の道しるべの物語


森の入り口に、
古い木でできた道しるべが立っていました。

右には、
「小川の道」

左には、
「丘の道」

まっすぐには、
「木漏れ日の道」

たくさんの動物たちが、
それぞれ好きな道を歩いていきます。

小さなりすは、
丘へ向かいました。

うさぎは、
小川のほうへ。

小鳥は、
空から森を眺めています。

その様子を見ていた小さなこぎつねは、
少し困ってしまいました。

「みんな違う道を歩いている。」

「どの道が一番いいんだろう。」

「あの子と同じ道のほうが、
早く着くのかな。」

何度も道しるべを見上げます。

すると、
長い間そこに立ってきた道しるべが、
静かに話しかけました。

「どの道も、
間違いじゃないよ。」

「小川の道では、
水の音に出会える。」

「丘の道では、
遠くまで景色が見える。」

「木漏れ日の道では、
やさしい風が迎えてくれる。」

「どの道にも、
その道だけの景色があるんだ。」

こぎつねは、
少し考えてから、
木漏れ日の道を歩き始めました。

歩いていると、

木漏れ日は、
ゆらゆらと揺れながら、
地面に丸い光を落としていました。

こぎつねが歩くたび、
光も一緒に
前へ進んでいるようでした。

風が吹くと、
葉っぱが
「さわさわ」
とおしゃべりを始めます。

遠くでは、
小鳥たちが
楽しそうに歌っていました。

足元には、
茶色いどんぐりや、
小さなまつぼっくりが
並んでいました。

苔は、
ふかふかのじゅうたんのようです。

森の中には、
木の香りと、
少し湿った土の匂いが
やさしく広がっていました。

一匹のちょうちょが、
こぎつねの前を
ひらひらと飛んでいきます。

「こっちだよ。」
と案内してくれているようでした。

木と木の間から、
やわらかな光が差し込みます。

その光は、
こぎつねの背中を
そっと包んでいました。

こぎつねは何だか楽しくなりました。

こぎつねは、
足を止めて、
空を見上げました。

「ぼくの道には、
ぼくにしか見られない景色があるんだ。」

「この道でよかった。」

こぎつねは、
そうつぶやきながら、
自分の歩幅で歩いていきます。

森の道しるべは、
今日も静かに立っています。

誰の道も比べることなく、
それぞれの一歩を、
やさしく見送っていました。


この物語を読み終えたあなたへ


森には、
たくさんの道があります。

小川へ続く道。

丘へ続く道。

木漏れ日の道。

どの道にも、
その道だけの景色がありました。

私たちも、
誰かと同じように歩けないことがあります。

「あの人のようになれたら。」

「もっと早く進めたら。」

そんなふうに思ってしまう日もあるでしょう。

でも、
あなたが歩いてきた道には、
あなただけが見てきた景色があります。

うれしかったこと。

悲しかったこと。

立ち止まった日。

また歩き始めた日。

その一つひとつが、
今のあなただけの風景になっています。

どうか、
誰かの道と比べるよりも、
あなたの足元に広がる景色を、
ゆっくり眺めてみてください。

きっとそこには、
あなただけの優しい道が、
静かに続いています。

おわりに


私たちは、
つい誰かと自分を比べてしまうことがあります。

「あの人のほうがうまくいっている。」

「もっと早く進めたらいいのに。」

そんなふうに思う日もあるでしょう。

でも、
森の道しるべは、
どの道にも「正解」や「不正解」はないことを、
静かに教えてくれました。

小川のせせらぎに出会う道。

遠くまで景色が広がる道。

木漏れ日に包まれる道。

どの道にも、
その道だけの美しさがあります。

私も、
自分の歩幅で、
自分の道を歩いていこうと思います。

そして、
あなたも、
ときどき立ち止まりながらでいいので、
あなたらしい景色を見つけてください。

その道は、
誰かと同じではないからこそ、
かけがえのない道なのだと思います。

この物語を書いた人


私は催眠療法士として活動しています。

以前はセッションの中で、 直接言葉をかけることが多かったのですが、
ある時、 物語の方が自然に心へ届く方がいることに気づきました。

物語を通して、心へ自然に届くような書き方を大切にするようになりました。
催眠療法で大切にしている「間接暗示」の考え方を取り入れた物語を書くようになりました。
この物語も、自分の道を歩きたい方の 心が、 少しだけ軽くなればと思いながら書いています。


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