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みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

6月6日に新潟県立大学で開催された日本国際経済学会春季大会において、トランプ関税に関する研究発表を行いました。

報告要旨はこちらです。

https://www.jsie.jp/Annual_Meeting/2026s_Niigata_Prefecture_Univ/pdf/5-1.Abstract_Sako.pdf

今回の報告では、既に刊行されたトランプ関税に関する前稿を踏まえつつ、

「トランプ2.0」における関税政策を再検討しました。特に、国際緊急経済権限法(IEEPA)および通商拡大法122条に基づく大統領主導型の関税措置と、通商拡大法232条に基づく安全保障を理由とした輸入制限措置を区別して分析した点が、本報告の中心です。

IEEPAや122条に基づく関税措置は、外交交渉上の即時的な圧力手段として用いられてきましたが、司法判断や制度上の制約に直面しています。他方で、232条は鉄鋼・アルミ、自動車、半導体、医療品、重要鉱物などを対象に、安全保障、供給網再編、国内生産回帰と結びつく政策手段として重要性を増している可能性があります。

また、関税によって貿易赤字を大きく削減することや、製造業雇用を大幅に回復させることには限界があります。貿易赤字は国内の貯蓄・投資バランスや為替要因と関係しており、製造業雇用についてもICT化、自動化、グローバル生産体制の進展が大きく影響しています。その一方で、関税は企業の投資判断やサプライチェーン再編に影響を及ぼす政策装置として機能しうる点を、今回の報告では整理しました。

討論では、トランプ政権の関税政策をどのように位置づけるべきか、232条の対象品目や適用状況をどのように整理すべきか、半導体関連政策と経済安全保障政策との関係をどのように捉えるべきかなどについて、討論者およびフロアの先生方から大変有益なご意見をいただきました。

特に、今後の検討課題として、以下の点が明確になりました。

・「産業政策」という用語をどのように位置づけるか
・232条の運用をどこまで戦略的と評価できるか
・適用済みの措置、調査中の措置、未発効の措置をどのように区別するか
・NVIDIA等の半導体関連事例と232条との関係をどのように整理するか
・ファクト、政策意図、戦略的帰結をどのように分けて論じるか

今後は、232条を「完成された戦略」としてではなく、企業行動やサプライチェーン再編に影響を及ぼす政策手段として、より慎重に位置づけていく必要があると考えています。また、バイデン政権下の補助金・国内支援型の政策から、トランプ政権下の関税・規制を用いた政策への転換という観点から、議論を再構成していく予定です。

あわせて、232条の対象品目については、適用済み、調査中、未発効の措置を明確に区分し、半導体関連の事例についても、232条そのものの事例として扱うのではなく、より広い経済安全保障政策の文脈で整理していきたいと考えています。

今回の学会報告を通じて、トランプ関税をめぐる論点は一筋縄では整理できないことを改めて実感しました。同時に、専門の先生方との討論を通じて、今後の研究を精緻化するための多くの示唆を得ることができました。

ご準備いただいた先生方、座長・討論者の先生、ならびにフロアから貴重なご意見をいただいた先生方に、心より御礼申し上げます。今後も、トランプ政権の関税政策と企業対応、サプライチェーン再編、経済安全保障の関係について、引き続き研究を進めてまいります。


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