Google NotebookLMで簡単に漫画が描けてしまった
「漫画を描いてみたいけれど、絵が描けない」
「エッセイのネタはあるのに、表現の幅を広げられない」
そんな悩みにもAIが応えてくれる時代が来ました。
漫画作成に使える様々なツールが登場していますが、今回は、Google製のAIツールの一つであるNotebookLMに着目してみます。
私が実際に過去のエッセイを素材にして漫画制作に挑戦した過程を、手順つきでご紹介します。
NotebookLMは漫画作成に「流用」できる
ChatGPTがアップデートして「吹き出し付きの漫画が描ける」と話題になったのは昨年の正月でした。そこからのAIの進歩は留まりを見せず、当初は難しかった長編の漫画さえも何とか作れるようになってきています。
「NotebookLM」は、ユーザーが与えた資料に基づいて情報整理を行うツールと理解できます。整理した情報からプレゼンテーション用資料を簡単に作れるように設計されています。
ところが、この機能を流用すると、自分の書いた文章をもとに「プレゼン資料」ならぬ「漫画」を生成できてしまうのです。
特別な画力も、AIの専門知識も要りません。
さっそく自分のネタを漫画化してみる
今回の素材には、私がかつてQuoraに投稿したエッセイを使いました。1998年の郵便番号7桁化にまつわるエピソードを紹介したものです。Quoraに投稿した本文を以下に引用しておきます。
新しい7桁の番号と5桁の番号の対照表を印刷したものが郵便局で配られていたのです。あるとき、とあるネットの掲示板を見ていたら、「新郵便番号をデジタル化したものを販売します。郵便局で配布しているものを数か月かけて苦労して打ち込みました! これでワープロ入力が断然楽になります!」とか言って、1000円だかでダウンロード販売しようとしている人がいたのですよ。
何を言っているのか分からないという人もいるでしょう。
実はマックやWin95が出てきて比較的簡単に自分のパソコンをネットに繋げるようになってから、wwwというものが普及するまでには数年かかっています。今やネット=www(ホームページ)という感じですが、当時はまだまだパソコン通信などの方が存在感は大きい時代でしたし、ホームページを運用している組織は限られていました。また、googleに匹敵する「検索エンジン」も整備されていませんでした(あるにはありましたが非常に低性能)。WWWが急速に普及しつつあったとはいえ、ホームページ上の情報をそう簡単に有効活用できる時代ではありませんでした。
件の人物も、本家の郵政省のホームページに最初から完璧なデータが用意されているとは思わず、チェックもしなかったのでしょう。
しかしながら、さすがに速攻で「それはホームページから無料ダウンロードできるものと何が違うのですか?」という突っ込みが入っていましたね。
その人、「いち早くデータを拵えて一儲けだ」と張り切って毎日頑張って作業していたのでしょうね。揚げ句にその苦労はまったく無意味だったと知らされた。彼の心境はいかばかりだったかと、今でも何かの折に思い出すのです。
手順
この記事テキストを「コピーしたテキストを貼り付ける」方式でソースとして読み込ませます(記事URLの直接指定ではダメでした)。
そして、画面右側の「Studio」から「スライド資料」を選択します。

「作成するスライドについて説明」の欄に一切の指定をせずに普通にスライドを作らせると、確かにいかにもプレゼン資料という態のスライド群が出てきます。

しかし、スライドのスタイルとして「漫画」でやれと指定してやると、ちゃんと漫画を描いてくれるのでした。
## 主人公の設定
* 30歳代日本人男性
* 3流大学を卒業したものの就活に失敗し、フリーター生活を余儀なくされている
* 生活は苦しく、外見には疲れがにじみ出ている
## 舞台設定
* 1990年代末期の日本
* パソコン通信が盛んで、インターネットはまだ一般的ではないが、徐々に普及し始めている
* 主人公はパソコン通信の掲示板で、同じような境遇の人たちと交流している
# スライドのスタイル
* 青年向け漫画のスタイルで出力する
* 1ページ目は表紙、2ページ目以降にストーリーを展開する
* モノクロの線画で、セリフは吹き出しに入れる
* セリフはシンプルな日本語とする
* 読む方向は右から左
# ストーリーの展開
* ソースで語られているエピソードに基づく
* 起承転結の構造を考慮する。
- 起:一儲けしようと思い立つ
- 承:パソコンに向かって必死に作業する
- 転:できた商品をいよいよ売ろうとネットに公表する
- 結:努力が無駄だったことを即座に思い知らされる。衝撃を受け絶望する主人公の姿で終幕とする。
* 一儲けしようとたくらんだ主人公の目線で描く本当に漫画を作ってくれた
16ページからなる「スライド」が生成されました。以下が、その出力内容です。




たしかに「漫画」です!
見事に「青年漫画」風の絵柄で、主人公の悲哀が伝わってくるような作品が生成されました。AIがコマ割りから作画、セリフの配置まで、すべて自動で行ってくれたのです。
残念ながら完ぺきではないので修正していく
しかし、これで一発OKとはいきません。
たとえば、セリフが不自然だったり、意味不明な文章が混じっていたり、コマの配置がしっくりこなかったりすることがあります。
ここは修正しなければなりません。人間の出番です。
修正には Canva を使いました。生成された画像をCanvaにアップロードし、テキストの差し替えやコマの並べ替えを行います。

たとえば上の「スライド」では左上の吹き出しの中身が完全に破綻していますね。
Canvaで画像を読み込んだ後、問題のセリフの上に新たな文字枠を被せて上書きします。

このように不自然なセリフを修正したり、コマの順番を入れ替えたり、あるいは、説明用のテキストや図表を別途用意してつけ加えたり……。
AIが描いた「素材」を元に、監督であるあなたが最終的な仕上げを行うのです。AIを優秀なアシスタントとして使えば、創作のハードルはぐっと下がります。絵そのものには手を入れる必要がないので、画力は不要です。
完成版
それではご覧いただきましょう。一枚目のみ画像でお見せします。作品全体はPDFとしてダウンロードできるようにしておきます。

全編は下のリンクからどうぞ。
とにかく誰もが漫画を作れる時代が来た
プレゼン用資料作成ツールで終わらせるのはもったいないNotebookLM
NotebookLMで、漫画のような創作物の下地まで作れることがわかりました。
絵が描けなくても大丈夫。まずはネタをテキストとしてNotebookLMに渡すだけです。そして、最後まで我々はストーリーとセリフに集中すればいい。
素材は何でもよいでしょう。変に気取ったテーマで無理するのではなく、日常のちょっとした出来事、昔の思い出話、友人から聞いた面白い話──手元にある「語りたいエピソード」を下書きにした方が面白い作品を生み出せるかもしれません。
そしてChatGPTの逆襲
さて、実はこの記事の下書きを描き始めた後で衝撃的なニュースが出てきました。ChatGPTがアップデートしてChatGPT Images 2.0とかいうものが使えるようになり、漫画作成能力が飛躍的に向上したとか。
まあここまで書いて知らんぷりもできません。ChatGPTにも同じテーマで漫画を描いてもらいましたよ。

人力修正なしのポン出しでこのクオリティ。日本語に全く文字化けがありませんし、ふつうに違和感なく読み通せました。やや淡泊すぎるような気もしますが、解説漫画の類を作りたいならこれでいいのでしょう。
完成度としてはNoteBookLMとほぼ同等に見えますが、日本語の扱いはややChatGPTが優位か。とはいえ、たった一例で結論を出すのは早計ですし、半月後には双方アップデートしてまた図式が変わっているかもしれません。
すごいことになりました。単ページで3-4コマの漫画作成がやっとできるようになってまだ1年少ししか経っていないのにこの進展です。来年にはどうなっているのか…。
とにかくあなたにも漫画は描けます。まずは身近な話題で、気軽に一本、試してみてください。
