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ちょび 39 おばあちゃんとオジさんの妖精のお話

「ドォン! ドォン! ドドン!!」

5月の快晴な休日。

朝の6時に、のろしが上がった。

「よし、いぐど!(よし、いくよ!)」

おばあちゃんは気合いたっぷりで、きれいな着物を身にまとった。

今日は、里山の麓の町内が合同で開催する「五月会(さつきかい)」。

いわば、大人の学芸発表会だ。

ハロウィンかと思うほど、様々な仮装をしている年寄りが多い。

花魁道中を繰り広げるおじいちゃんに、

マツケンサンバで踊りまくるおばあちゃんチーム。

パン屋の若夫婦は二人場織で、場内の笑いをかっさらった。

ヨシさんは民謡で自慢ののどを披露。

合いの手を入れるのはもちろんおばあちゃん!

「歌手みたーい!」と、感嘆の声が漏れる。

ドリフターズのコントのものまねには、

おばあちゃんとヨシさんも大爆笑。

「ぁああーー、笑った笑った!おもしぇがったなー」

と二人で帰路に就いた。

おばあちゃん家の前で、

「ヨシさん、飲んでいがねが?」

ヨシさんは、待ってましたとばかりにニコッとした。

玄関を開けたら、

小さな文字で「会場はこちら」と矢印が書かれた紙が置かれていた。

「?」と首をかしげるヨシさん。

「ちょびだなー」

おばあちゃんは台所で、お酒とおつまみを準備する。

「わらびど、筍ゆでだばっかりだから、刺身にするが?」

おぼんにおつまみたちをのせて居間に行くと——

テーブルを壇上にして「ちょび会」と称し、

何やら始める気満々で、デカパンを胸までずり上げている。

「エントリナンバー1、バカ殿!」

白塗りにちょんまげを付けたちょび。

「エントリーナンバー2、たけちゃんマンと、あみだばばぁ!」

おばあちゃんとヨシさんは手をたたいて大喜び。

「エントリナンバー3、どじょうすくい!」

豆絞りで頬かむり、鼻あてをつけて踊る姿に、

二人は、

「あぃーしかだね!(あぁ、どうしようもない!)」

「エントリナンバー4、ゴールドフィンガー ナインティ・ナイン!」

スーツ姿のちょびが歌って踊る。

見事なジャケットパフォーマンスでキメる……はずが、

ジャケットが頭に引っかかったまま。

「ぷふっ!あははははっつーーー!」

「あぃーしたげ、うげるー!(すごく、ウケるー!)」

おばあちゃんとヨシさんは、

お腹を抱えて笑い転げた。

里山の静かな深夜、

二人の笑い声と田んぼのカエルが、やさしく共鳴していた。

こうして、ちょびの春は静かに幕を閉じた。






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