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【展覧会レポート】 令和8年 新指定 国宝・重要文化財 /京都文化博物館

 毎度おなじみ、新たに国宝・重要文化財の仲間入りを果たす美術工芸品のお披露目展に行ってきた。
 文化庁の京都移転にともない、昨年度より東京国立博物館から京都府京都文化博物館での開催となっている本展。
 今回は新国宝の全3件・新重文38件とともに、不出品8件のパネルや追加指定品、参考品、文化庁の新規購入文化財などに関しても陳列している。
 気になった作品・資料を、独断と偏見によりご紹介してみたい。

本展リーフレット

 冒頭をかざるのは新国宝、東福寺の明兆《五百羅漢図》。いまだ記憶に新しい、国立博物館を巡回した「東福寺」展(2023年)の目玉作品である。そのお隣には新重文、香雪美術館の長谷川等伯《柳橋水車図屏風》。
 いずれも、同画題の類例が多数伝わるうちの最重要作。前者は納得、後者は「あれ、未指定だったのか」という感じである。

 行灯ケースには加納夏雄《銀百鶴図花瓶》(皇居三の丸尚蔵館)。近代工芸の再評価、また国立文化財機構移管後の皇居三の丸尚蔵館の収蔵品の指定というのは、近年顕著にみられる傾向。その合わせ技である。

 展示室では、湿地から飛び立つ無数の鶴たちの姿が刻まれた《銀百鶴図花瓶》越しに、等伯《柳橋水車図屏風》がみえ、水辺の風景がみごとに重なっていた。狙った効果なのかわからないが、いいコラボレーションだなと思った。
 東京・調布の深大寺が所蔵する《銅孔雀文磬》。同寺の創建に関わる深沙大王堂の什物であったことが銘によりわかる。つい昨年、ようやく深大寺に里帰りし話題を呼んだ。

 そのお隣、兵庫・神河町の七寳寺が所蔵する《線刻阿弥陀浄土図鏡像》は、初見の作品。
 鏡面に彫りこまれた阿弥陀浄土の光景がきわめて高密度・細密で、絵画的な完成度も高く、「こんな作品があったのか!」と驚かされた。

 山梨は甲府・甲斐善光寺が所蔵する肖像彫刻《源頼朝坐像》《源実朝坐像》も、やっと重文に新指定。現地が懐かしく思い出される。
 頼朝はギョロッとした目つきで体格よく、いかにも武人。対して3代将軍・実朝は小柄、細面でなよっとしており、どちらもイメージどおりのお姿といったところだ。
 京田辺・両讃寺の《薬師如来立像》は平安初期の木彫像で、困り顔のようにもみえる顔つき、肩幅の広いがっしりとした体軀など、きわめて個性的。ある種、異様な雰囲気すらまとう、魅力あふれるお像。なお、両讃寺のある大住(おおすみ)地区は、九州の隼人たちが移住した、歴史的に興味深い地でもある。

 考古資料は、1件あたりの点数が多い性格上、どれも部分的な展示にとどまるが、全国各地より貴重なものがいくつも来ていた。
 新潟からは、十日町市博物館で展示されている野首遺跡出土の縄文土器。火焔型・王冠型の深鉢が各3点並ぶさまは必見。

 岐阜からは、縄文の石棒を製作した塩屋金清神社遺跡の出土品。石棒の加工・製作過程がまるごとわかる、たいへんおもしろい資料。

 中世古窯・越前焼の大釜屋西山窯跡群の出土品からは、特徴的な刻文・印文の施された陶片を抜粋。大甕の肩部には箆描きされた「いろは歌」が。こちらもやっぱり必見だ。

 岩手は平泉・柳之御所からの出土品には、二足歩行のカエルが墨書で描かれた木片が含まれていた。鳥獣戯画そっくりで、折敷(おしき)の底板に描かれたもの。扇を掲げる姿が、なんだか得意げだ。実物が観られてよかった。

 サイロのような形状、表面に吹いた緑青の美しい《銅骨蔵器》は、奈良・唐招提寺の西方院の土中に長くあったもの。唐招提寺の高僧・證玄の遺骨が納められており、その旨が表面に取り付けられた銅板の墓誌に刻まれている。

 骨壺であること、さらにはその遺骨が誰のものか、明確に判明しているわけだ。背筋を伸ばしながら、拝見した。
 
 未出品でパネル展示されるなかには、皇居三の丸尚蔵館の海北友松《浜松図屏風》(新重文)も。ああ、観たかったな……。

 なお、同じくパネル展示されている春日大社の新重文《競馬図屏風》は、現地の国宝殿にて別個にお披露目展示が開催中。奈良まで行けば、拝見が可能だ。

 5月17日まで。
 

※昨年度・一昨年度の同展レポート↓


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