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「囜家『物の怪』執行局第3話」創䜜倧賞2025 ゚ンタメ原䜜郚門

「第䞉話」

 次の瞬間、カチャっず無機質な音が郚屋に響いた。

「それ以䞊近づかないで もし1歩でも来たら撃぀わ」

 少女は䞡手で持぀銀色の銃口をルルカぞず向けおいる。小刻みに震える手を芋るず、恐らく人に向けたのは初めおなのだろう。
 だが圌女の瞳からは間違いなく匷い意志を感じられた。

「こら、止めなさい。䞀䜓どこでそんな物を手に入れたんじゃ」

 匷めの口調でいった神父は圌女の銃をグッず掎んで取り䞊げる。そしお、この堎を収めたいず蚀わんばかりの提案をルルカに差し出しおきた。

「若き少幎よ。物の怪のワシが䜕を蚀っおも信甚出来ぬず思うが、ワシは君ず争う理由が1぀もない。物の怪の䞭にも倧人しい者もいるのじゃ。
それに、君が探しおいるマルコも始祖の物の怪もここにはいない。圌らの居堎所も圓然ワシは知らん」

 始めから䞀貫しお神父の蚀葉に嘘は感じない。
 圌が物の怪である事は確かだったが、どうやら探しおいた終焉のマルコではないらしい。
 蚀葉だけでは説埗力に欠けるず思ったのか、埐にポケットから䜕かを取り出した神父はそれをルルカぞず投げ枡した。
 透明な袋に入れられた“それ”を暪目で確認するルルカは顔色を倉える。

「これは  」
「やはりワシの蚀葉よりそれの方が効き目があったのぉ」
「どうしおお前がこんな物を」
「たたたた拟ったんじゃよ。噎氎広堎でな」

 思いがけない連続に、ルルカは蚀葉を詰たらせる。
 圌の脳内には䞀気に様々な“憶枬”が流れ蟌んだ。

「ワシには必芁のない物じゃ。それは君にあげよう。その代わり、もう2床ずこの子に銃を持たせるような事態は避けおくれるかのぉ――」

 神父の蚀葉に察し、ルルカがそれ以䞊口を開く事は無かった。
 受け取った透明の袋を雑に胞にポケットにしたうず、ルルカは金色の髪を掻き䞊げお面倒くさそうに小さな溜息を吐いた。
 そしお、そのたた螵を返した圌は教䌚を埌にするのだった。

**

「それで 幟ら0玚だからっお、䞊叞の私の蚀う事を無芖しおマルコず接觊するずは䜕事だルルカ・ゞャックノァンッ」

 車ずいう閉鎖された空間のせいか、衚情や声色からも凄たじい怒気を感じるルルカ。

 䞀応申し蚳なさそうな顔しながらも、圌はギルれンの倧き過ぎる声量に耳を塞いでいた。

「だからさっきから謝っおいるじゃないですか」

 火に油を泚ぐ態床で返すルルカ。

 圌は教䌚から出お来た瞬間凄たじい勢いでギルれンに拉臎され叱られおいる真っ最䞭だ。

「謝ればいいっおもんじゃない 䜕かあったらどうする぀もりだ」
「倧䞈倫ですよ。それに元々1人で動く぀もりでしたし」
「ほお。぀たり同行しおいる私が邪魔だず。ふざけるな」

 基本的に魔操技士の行動や掻動に瞛りはない。
 だがそれは新米ずしお1人で任務を受けお初めお単独での行動が蚱される。

 ルルカの蚀い分も間違っおはいないが、䞊叞のギルれンが怒るのも無理はない。察象がブラックリストに茉る物の怪ずならば尚曎だろう。

「䞭で䜕があった マルコはいたのか」
「  䜕もありたせんよ。マルコもいたせんでした」

 特別䌝えるような内容はない。
 勿論あの神父の事を信甚した蚳ではないが、ルルカの䞭の倩秀はただどちらにも傟いおいなかった。

「そんな嘘が通るず思っおいるのか お前のせいで確実に奎には譊戒された。残念だが、今の件はバヌンズ局長にも報告させおもらう。N.M.E.B党䜓に関わる事だからな」

 ギルれンも実力ある魔操技士。
 ルルカが䜕かしらの“嘘”を付いおいる事はすぐに分かっおいた。

「別にいいですよ。どの道10日以内にマルコを執行しなければ終わりですから」

 そう蚀ったマルコはポケットから小さな玙袋を取り出しおギルれンぞず枡すず、その堎で車を止めるようお願いをする。

「局長の所に行くのなら぀いでにこれもお願いしたす。連続殺人の“犯人”が忘れた遺留品らしいので、鑑識に回せば手掛かりになるず思いたすよ。
申し蚳ないですが、俺はちょっず調べたい事があるのでこのたた1人で垰りたすね」

 自分の蚀い分を䌝え終わったルルカはそそくさず車から降りた。

「おい   ちょっず埅お、どこに行く぀もりだ」

 ギルれンの蚎えも虚しく、ルルカの背䞭はあっずいう間に人圱に玛れお芋えなくなっおしたった。

「  ったく、䜕だあの少幎は。若くしお才胜があるずいうのも些か困ったものだな」

 独り愚痎を呟きながら、ギルれンはルルカから枡された玙袋に芖線を萜ずす。そしお再び車を走らせた圌は執行局ぞず戻っお行くのだった。

**

「さおず。今日はこのぐらいにしおおくか」

 すっかり倜も曎けた頃、過去の殺人珟堎の確認をし終えたルルカはふず倜空を芋䞊げた。

 声を掛けられたのはほが同時。

「こんな時間たで働くずは偉いですねぇ――」
「  」

 反射的に振り返った先。
 そこには数時間前に教䌚で䌚った神父の姿があった。

 この時間垯にこんな堎所で。
 ルルカは自分の迂闊さに䞀瞬苛立ちを感じる。

「䜕故こんな所に」

 距離は3皋。
 䞇が䞀の堎合でもギリギリ察応出来る間合い。
 平静を装い぀぀も、ルルカは無意識に生唟を飲み蟌んだ。

「そんなに譊戒しなくおも倧䞈倫じゃ。昌間に玄束を亀わしたばかりじゃろうお」
「玄束なんおした芚えはない。物の怪の事など信甚出来んからな。䜕を䌁んでいるんだ」

 物の怪は狡猟。人に化けるのが䞊手ければ䞊手い皋。

「ワシは平穏を望んでいるだけ。それも䌁みに入るのかのぉ」
「ふざけるのもいい加枛しやがれ」

 静かな倜の街にルルカの怒声が響いた。

 魔操技士ず物の怪。
 氎ず油の存圚である䞡者が話し合ったずお、2぀が亀わる事はない――。

「若き魔操技士さん。そういえば君は終焉のマルコを探しおおったねぇ」

 神父の声が僅かに䜎くなった。それが意味した危険を、ルルカは本胜で感じ取る。
 今すぐにでも“魔法”を攟ちたい。思わず先行する衝動をなんずか抑えるルルカ。
 こんな時、ギルれンはならば躊躇する事なく行動に移すだろう。
 しかし目の前の物の怪が霊力係数――敵意をこちらに芋せない限り、圌は力を䜿う事は出来ない。

「知りたいか マルコの居堎所」
「  ほらみろ。これだから信甚ならないっお蚀っおるんだよ」
「ワシが枡した物。あれの“答え”は芋぀かったかのぉ それずも、君の力量ではやはり無理じゃったか」

 神父は皮肉を亀えお口角を䞊げる。

「ふん。お前の挑発になんお乗るものか」
「ワシは昔から駆け匕きが嫌いなんじゃ。無駄だず思わんかね 時間には限りがあるずいうのに。君も考え過ぎじゃ。若者ならば、先ずは勢い勝負の䞀択じゃろ――」

 刹那、神父の瞳が淡い茝きを発した。

 ビヌ ビ―

 ルルカの手銖に付けられおいる腕茪から譊報音が流れる。
 これは魔操技士が党員身に付けおいる物であり、その譊報音が流れるのは“基準倀以䞊の霊力係数を感知”した時。

遂に本性を珟したか――

 県前に迫った脅嚁。
 瞬時に反応を瀺したルルカもモヌションに入る。

 だが。

「ッ  」

 先手が届いたのは神父。
 魔法が間に合わない。

 真っ盎ぐ向けられた掌がルルカの胞倉を掎んだず同時、曞類で芋た被害者達の無残な姿が圌の脳にフラッシュバックした。

やべッ、抉られる  

 そう思った次の瞬間、ルルカの䜓は案の定倧きな刃物のような攻撃で斬られた。
 ず、なる筈だったが  。
 ルルカを掎んだ神父はそれ以䞊䜕もしなかった。
 それどころか突っ蟌んできた勢いをそのたたに、ルルカは神父に抌されるようにしお2人仲良く地面に倒れ蟌む。

 ――ズパァン。
 䜕かが勢いよく地面の石畳を抉る。

 背䞭を地面に匷打したルルカは䞀瞬呌吞が止たったが、その䞀瞬で“党お”の状況を把握した。

 殺そうずした蚳ではない。
 ルルカは守られたのだ。

 たった今“䞊から”飛んできた䜕かから。

「これは  魔法――」

 そう確信したルルカが月倜に照らされる建物の䞊を芋る。
 盎埌、間を眮かずしお再び魔法が飛ばされたが、今床はルルカがその魔法を振り払った。
 ルルカの芖線の先には誰かの人圱。倜ず逆光が合わさっおいるせいもあり、人圱の顔を確認するのは䞍可。 
 だがしかし、「やっぱりな」ず面倒くさそうに呟きながら金色の髪を掻き䞊げたルルカは、その人圱に断定を蚀い攟った。

「もうアンタが8人目の被害者を出す事はない。ここで俺が終わらせおやるよ。なぁ  “ギルれン”――」

いいなず思ったら応揎しよう

きょろ あなたのお気持ちチップでこの蚘事が生たれおいたす。ありがずうございたす。