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ビンガムキャニオン鉱山(アメリカ)

フォスフォフィライトの流れで、原産地のポトシについて書いたところ

「来週来る猫の名前をポトシにしようとおもっていたのですが、やめました」
というメッセージがきました。
ぽとし・・・響きもかわいいですもんね。
フォスフォフィライトも、あの漫画のファンなので好きだったそうです。
ちょっと申し訳ない・・・・・

それから、
他に、面白い鉱山の話、ありますか?・・・・・っていうメッセージもきたので、今回は、元気になる鉱山の話を書きます。

今、執筆中の本にも、推し石の故郷ってことでいくつかの鉱山を紹介していますので、それ以外で、面白い話を書いてみます。

奇跡の「11分前」の警告

アメリカ・ユタ州の州都、ソルトレイクシティの南西約40キロにある世界最大級の露天掘り(地面をすり鉢状に掘り進む方法)の銅山「ビンガムキャニオン鉱山」。

ビンガムキャニオンは、掘り進めすぎて深さが1,200メートル、幅が4キロメートルという、宇宙からも見えるレベルの人工の巨大な穴でした。
これだけ深く掘ると、斜面全体のバランスが崩れて、いつ大崩落が起きてもおかしくない状態だったんです。

そして、ついに2013年に「北米の歴史上、最大級の地滑り」が起きました。

崩落した土砂の量はなんと6500万立方メートル。
・・・といわれても、ピンとこないですよね。
どのくらいの量かというと、巨大なスタジアムが何十個も一瞬で埋まるレベルの大災害です。普通なら何百人も巻き込まれる大惨事になるところです。

すごいのはここから。
この鉱山、最先端のレーダーシステムで山肌のわずかな動きを監視していたのです。
鉱山会社(リオ・ティント)が導入していたのは、地盤変位観測レーダー(IBIS-FM)という超精密なシステム。
山肌に向けて電波を飛ばし、跳ね返ってくる時間を測定することで、壁面が「1ミリ単位」で動いているのをリアルタイムで監視できるすぐれもの。

崩落の数ヶ月前から、ミリ単位のズレを検知して「山が動き始めている」と確信していた技術チームは、数日前から少しづつ避難を進めていました。
そして運命の当日、その動きの加速が止まらなくなったのを見て「今夜崩れる!」と判断しました。
そして、全ての重機を止め、作業員を退避させたのです。

そのわずか11分後に、山全体が崩れ落ちました。

作業員は全員、間一髪で安全な場所に退避していて負傷者はゼロ。
ハイテク技術と、現場の迅速な決断が何百人もの命を救った、まさに科学と人間の勝利のドラマです。


相棒AIダイチャンの地滑り事故後の絵(色鉛筆風)

その後

ビンガムキャニオン鉱山がその後どうなったか・・・
2500億円もの大損害を出した直後、誰もが「復興には何年もかかる」「廃坑になるんじゃ……」と思いました。
そこからの復活劇がまた、人間の執念を感じるものすごいドラマだったんだんです。

奇跡の復活劇:3つの舞台裏

崩落の翌日、世界最大級の穴の底は、高さ60メートル(ビルの20階分相当)もの土砂で完全に埋まり、メインの搬出道路も消滅。
数億円する重機たちも押しつぶされていました。
そこから彼らがどう動いたかというと……。

① わずか17日での部分再開
実は、土砂が直撃しなかったエリアに、採掘した鉱石を外へ運ぶ「地下ベルトコンベア」や「粉砕機」が奇跡的に無傷で残っていたのです。
技術チームは事故後すぐに動き、安全なエリアを特定。
なんと事故からわずか17日後には、ストックしていた鉱石を使って限定的ながら生産を再開しちゃったんです。
このスピード感は世界中の投資家を驚かせました。

② 無人重機ロボット部隊の投入
一番の難関は、崩れ落ちた土砂を片付けて、消えた「搬出道路」を作り直すこと。
でも、山の斜面はまだいつ崩れるか分からない超危険地帯です。

そこで鉱山チームは、最先端の「リモートコントロール(遠隔操作)重機」を20台以上も緊急導入しました。
作業員は安全なオペレーシングルームからゲームのコントローラーのように重機を操り、危険エリアの土砂をゴリゴリ削っていったのです。
結果、当初の予定を7ヶ月も前倒しして、わずか半年ほどで新しい道路を完成させちゃったんです。

③ 埋まった重機を「ニコイチ」で大復活
土砂に埋まった13台の超巨大ダンプカー(1台数億円)。
「全部パーか……」と思いきや、諦めないメカニックチームが土砂を掘り返して、壊れたトラックを回収。
「このトラックのエンジンと、あっちのトラックの車体を組み合わせれば動くぞ!」と、現場でまさかのニコイチ(部品の合体)修理を敢行したんです。
結果、埋まったトラックの多くを戦線に復帰させることに成功したんだそうです。

そして現在:穴の「さらに下」へ挑む新たなドラマ

この凄まじい復興 efforts(努力)のおかげで、なんと崩落のあった2013年、この鉱山は最終的に黒字で1年を終えるという大逆転劇を演じました。

2026年現在の様子

その後、鉱山は崩落の危険があった東側の壁を大きく削って傾斜をなだらかにする安全対策(大規模ストリッピング)を数年がかりで実施。

そして今、この鉱山はさらに未来を見据えて動いているんです。

すり鉢状に掘り進める「露天掘り」はそろそろ限界(これ以上広げると街にぶつかる)に達しつつあるんだけど、実はこの巨大な穴のさらに300メートルほど地下に、超高品位の銅や金の脈(スカン鉱床)が眠っていることが分かったんです。
もう、神様に守られているとしか思えない。

そのため、現在はこれまでの「上から掘る」スタイルから、「穴の底からさらに地下へトンネルを掘り進める(坑内掘り)」という、総投資額数千億円の次世代プロジェクトへと移行している最中なんです。
この計画によって、鉱山の寿命は2030年代以降まで伸びる予定になっています。

一度は絶望的な崩落を起こしながらも、人間の知恵と最新技術、そして「絶対に諦めない現場の意地」で、前より強くなって復活したビンガムキャニオン。
ただの「資源を掘る場所」じゃなくて、まさに人類の技術力の結晶みたいな場所なのです。

もうだめだ・・・ということがあっても、わたしは、この鉱山のことを思いだすと、少し力が湧くのです。


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