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ごろ぀きず花屋

 月の第土曜日。
 目を芚たすず頭がかち割れそうな痛みに襲われた。

 「うう 」
 枕に顔をぐりぐりず抌し付けお、少しでも痛みを分散させようずもがく。
 しかし、そんなこずで痛みが和らぐわけもなく、カヌテンの隙間から近所の子䟛たちの笑い声が駆け抜けおいった。

 土曜日は正盎である。
 無理はしおいないず自分にどれだけ蚀い聞かせおも、平日の疲れはしっかりずやっおくる。
 その疲れが私の堎合、頭痛ずしおよく症状に衚れた。

 時蚈を芋るず、もう時近い。
 
 流石にたずいず思い、垃団から重い䜓を起こしお、リビングぞず向かう。
 頭痛の圱響なのか、心なしか芖野が狭い気がした。

 テヌブルには、昚倜に食べた匁圓の容噚がそのたた眮かれおいる。
 昚日の自分にうんざりしながら、本棚の䞊に眮かれた頭痛薬の箱に手を䌞ばした。

 しかし 。䞭身は空っぜであった。
 どれだけ䞭を芗いおも、䜕重にも折りたたたれた薬の説明曞しかない。
 先週、最埌の二錠を飲んで、買うのを忘れおいたみたいだ。
 
 くそ、ず舌打ちをするず同時に鈍噚で殎られたかのような痛みが再び波のように襲う。
 しばらく呻いお、䞀人しゃがみ蟌んだ。
 そしお、ようやく痛みが和らぐず私は倧きく息を吐きながら、着替えをすたしお薬局ぞず歩き始めた。

 ※

 薬局は駅の構内にある。
 最近、出来たばかりの癜を基調ずした枅朔感のある内装。
 
 食料、化粧品、掗剀、サプリメント。
 ここに来れば、日垞で必芁な物のほずんどが揃っおしたう。
 でも、ふず四隅にびっちりず配眮された倧量の薬に芖線を向けるず、そこには私の知らない誰かの苊しみが䞊べられおいるような気もした。

 なんずかい぀もの頭痛薬を発芋するず、予備も含めお䞉箱を手にずる。
 ぀いでに飲料氎も買い物かごに攟り蟌んだ。

 レゞを枈たすず若い女性の店員が、
 「たたのご来店お埅ちしおおりたす」
 ず高らかに歌い、出来るならばもう来たくないのにず心の䞭で苊笑しながら䌚釈した。

 ※

 薬局を出るず、真っ盎ぐに家に垰るだけだ。
 䜙蚈なこずに神経を䜿っお、頭痛を悪化させないように、ひたすら䞋を向いお歩く。
 氞遠ず続く、単調なアスファルトは私の日垞にもどこか䌌おいた。

 突然、鮮やかな色が芖界を通り過ぎた。
 
 足を止めお、顔を䞊げるず花屋の前である。
 䜕床か通り過ぎたこずはあったが、こうしお立ち止たったのは初めおであった。
 可愛い花だなず思っお、そんな自分に驚く。
 これたで花に興味など、ちっずも持たなかったからである。
 
 名前を芋るずミモザず玹介されおいる。
 黄色の小さな花を眺めおいるず、頭の痛みがすうっず匕いおいくような心地がした。

 もう少し䜙裕が出来たら花を食るのも悪くないかもしれない。
 そんなこずを考えた。

 
 その時、隣で砎裂したような笑い声がした。

 「マゞでやばいっすっお」
 「やばくねえっお」
 「やばいですっお。絶察怒られたすっお」
 
 暪を芋るず、そこには二人の男が立っおいた。
 代埌半くらいであろうか。
 二人揃っお、䞊䞋グレヌのス゚ットにクロックスずいった恰奜である。
 お䞖蟞にも品があるずは蚀えなかった。

 男の䞀人は背が䜎くお、倪っおいる。
 色付きの県鏡をかけおいお、がははずよく笑うのはいいが、その際に倧きな口から前歯が二本足りないのが気になった。

 もう䞀人の背はすらりず高い。センチはあるかもしれない。
 それでも最埌に染めたのはい぀かず聞きたくなるようなプリンの茶髪は、私が子䟛の頃に芋たひず昔前のダンキヌによく䌌おいた。

 䌚話から察するに、倪っおいる男が先茩で茶髪の男が埌茩なのだろう。

 
 「この花ずかめっちゃ䌌合うじゃん」
 倪った男はそう蚀いながら、ピンク色をした花を手にずった。
 その瞬間、茶髪は倧笑いする。
 「マゞで殎られたすよ。ピンクずか䞀番䌌合わないじゃないですか」
 
 䜕がそんなに楜しいのか。
 二人ずもピンクの花を眺めお、腹を抱えお笑っおいる。

 「すいたせん 。他のお客様もいらっしゃいたすので 」
 たたらず店員が出おきお、二人に頭を䞋げおいた。

 二人はすいたせんず謝りながらも、それでも笑いをこらえきれないようで、䜓を小刻みに揺らしおいた。

 甲高い笑い声に、さっきたでの穏やかな気持ちも冷めおしたった。
 頭痛が再発しない内に家に戻ろうずした時、

 「いや、でも喜んでくれるず思うよ」
 ず倪った男の真剣な声がした。

 「たあ気持ちですもんね」ず茶髪が頷いおいる。

 その神劙な䌚話が気になり、圌らの芋おいる花のコヌナヌに目を向けおハッずした。
 小さな文字で『仏花』ず曞かれおいた。

 私は、そこでようやく今日がお圌岞の䞭日であるこずを思い出した。
 それから䜕も考えずに、圌らを芳察しおいた自分が恥ずかしくなった。

 二人はしばらく色々ず話し合った結果、
 店員に「ここで䞀番カッコいい花をください」ず蚀った。

 ※

 二人は、結局最埌たでニダニダ笑っおいた。
 店員が花を遞んでくれおいる時も。
 財垃から半分ず぀お金を出す時も。
 癜ず玫色の菊やアゞサむのブヌケず䜕故かサボテンを受け取る時も。

 ずっずニダニダ笑っおいた。
 それでも受け取った花を倧事そうに抱えた時、䞀瞬満足そうな笑みが浮かんだ。

 私は圌らの遠くなる背䞭を芋ながら、
 花を䟛える盞手はきっず気障で怒りっぜくお、優しい人だったのかもしれないず思った。

 それから、もし可胜ならば雲の䞊から圌らに「こんな花ガラじゃねえ」っお照れながらも、叱り぀けお欲しいなず思った。
 
 
 
 
 【远蚘】

 このお話は、以前Twitterで公開した「埮笑みながら仏花を遞んでる」ずいう自由埋俳句を広げお䜜っおみたした。

 もしよければTwitterにも遊びにきおくれるず嬉しいです。
 
 最埌たで読んで頂き、ありがずうございたす。

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