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🌱No.187 積極的な治療をどこまでするか

次男と三男には、
尿素サイクル異常症という
病気があります。

何かきっかけがあると
血中のアンモニアが増えてしまい、
アンモニアが高い状態が続くと、
脳に障害が残ったり、
命に関わったりする難病です。


次男が18歳を超えたあと、
いつもの定期受診で、
医師からこんなことを言われました。
 
「今後、
高アンモニア血症を起こして
入院するようなことがあったら、
積極的な治療をどこまでするかを、
家族で相談しておいてください。」
 
先生は、
話し続けました。
 
今までは、子どもだった。
 
風邪をひいても、
胃腸炎になっても、
回復する力が強かった。
 
でも、
これからは違う。
 
一般的な話として、
年齢的に、身体は衰えていく。
 
今までと同じようには
回復できないこともあるかもしれない。
 
点滴を刺せる血管も、
少しずつ減っている。

もし今後大きな発作が起きたら、
救命はできても
重い障害が残るかもしれないし、
寝たきりになるかもしれない。

それは、
本人にとって
ご家族にとって
どうなのか。
 
もしそうなったときに、
一生面倒を見る覚悟ができるのか。
 
それを踏まえて、
もし今後大きく体調を崩したときに、 
どこまで治療をするのか。
 
どんなことを望むのか。
 
家族でよく話し合っておいてほしい。
 
そんな話でした。

主治医のことは、
心から信頼しています。

話し方も優しくて、丁寧で、
私の気持ちに配慮するような
言葉選びをてくれている、
と感じました。
 
でも、
内容は、
とても厳しいものでした。
 
私は話を聞きながら、
そういえば私も、
風邪が治りにくくなったなあ、
と思いました。
 
若い頃は、
一晩寝れば
だいたい元気になっていました。
 
でも最近は、
咳が長引いたり、
本調子に戻るまで
数週間もかかったりします。
 
そりゃそうか、
と思いました。
 
次男の体も18歳になって、
少しずつ変わっていくのでしょう。
 
先生の話は、
特別なことを言っているわけでは
ありませんでした。
 
とても、
当たり前のことでした。


患者会の中には、
お子さんを亡くされた親も、
何人かいます。
 
だから私は、
この病気で亡くなる人がいることを、
わかっているつもりでした。
 
でも、
普段はあまり考えていませんでした。
 
次男は元気だったからです。
 
学校へ行って、
ご飯を食べて、
好きなことをして、
時々困らせて、
わがままも言う。
 
大変なことは、
たくさんあります。

入院もするし、
経鼻チューブも
しょっちゅう必要になります。
 
でも、
命に関わるようなことは、
ずっとありませんでした。
 
だから私は、
意識的に考えないように
していたのだと思います。
 
「死」を考え続けながら暮らすのは、
しんどいです。
 
だから、
どこか頭の隅にしまい込んで、
普段は開けないようにする。

それと同じように、
次男の病気の難しさのことも、
私はどこか意識の奥の方に
しまいこんでいたのだと思います。

 
診察室では、
なんとか気持ちを保って、
冷静に話を聞きました。
 
できるだけ深く考えないように、
意識して。
 
うなずいて、
質問に答えて、
次回の予約を取って。
 
いつも通り、
診察の流れを終えて、
先生にお礼を言って、
診察室を出ました。
 


 
続きます。
 

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