🍀No.177 息子の病気の告知を受けたとき
同じ病気で集まるグループホーム構想の中で、
もうひとつ、
とても大事だと思っていることがあります。
それは、
「患者の拠点になるかもしれない。」
ということです。
それを考えていたとき、
次男が病気を告知されたときのことを
思い出しました。
今回はそのことを書きたいと思います。
次男は、
生後7日で
体内のアンモニアが異常値になり、
救急で運ばれました。
救急車の中で、
私が震える声で、
「命に関わる状態ですか?」
と聞くと、
同席していた医師に
「覚悟はしておいてください。」
と言われました。
今でもよく、
覚えています。
治療のおかげで、
命は助かりました。
そして3日後、
尿素サイクル異常症と、
診断されました。
医師からは、
病気について丁寧な説明を受けました。
肝臓にある尿素サイクルという回路に異常があり、
たんぱく質が分解されるときにできるアンモニアを、
うまく処理できない病気だということ。
アンモニアが体内に溜まると、
命に関わること。
治療法がないこと。
一生薬を飲み続けること。
一生、
たんぱく質の摂取制限と、
十分なカロリーを保つという
食事の管理が必要になること。
インフルエンザや胃腸炎などの感染症でも、
アンモニアが高くなることがあること。
そのたびに、
命に関わる可能性があること。
知的障害になる可能性が高いこと。
てんかんを合併することもあること。
そして、
成人できないかもしれない。
一生、歩けないかもしれない。
一生、しゃべれないかもしれない。
そんな説明も受けました。
重い内容ばかりでした。
まだ、
生後10日でした。
すやすやと、
眠っているだけの、
普通の赤ちゃんに見えました。
見た目では、
何も分かりませんでした。
信じられませんでした。
病名を告知されてから
最初の1か月ほどは、
とにかく病気について必死に調べました。
尿素サイクル異常症は、
尿素サイクルの中の
どの酵素に異常があるかによって、
いくつかの病型に分かれています。
次男の病型は、
その中でも珍しいものでした。
担当医は、
50代の代謝の専門医だったけど、
「この病型の患者さんを診るのは、
次男くんが2人目です。」
と言いました。
「国内には20人いないかもしれません。」
「成人している患者さんは、
一人もいないかもしれません。」
そんなことを言われました。
病名をネットで調べると、
尿素サイクル異常症についての
専門的な説明は見つかりました。
でも、
次男の病型について書かれていたのは、
ほんの数行だけでした。
医師が読むような論文も、
専門の図書館に出向いてコピーして、
何度も読みました。
海外の専門医に、
メールを送ったこともありました。
でも、
わかるのは、
病気のことばかりでした。
そして、
重い症状や、
厳しい予後ばかりでした。
私が知りたかったのは、
そういうことではありませんでした。
この病気でも、
元気に生活している人はいるのか。
学校へ通っている子はいるのか。
大人になった人はいるのか。
お願いだから、いてほしい。
あるかどうかもわからない、
「そういう人がいる」
という情報を探していたのです。
そして、
もしいるなら、
毎日どんなふうに暮らしているのか。
その病気と、
どう付き合いながら生きているのか。
私は、
それが知りたかったのです。
でも、
そんな情報は、
どこにも見つかりませんでした。
だから私は今、
尿素サイクル異常症の人が住む
グループホームを作ることで、
私のような人が
最初にたどり着ける場所になったらいいな、
と思っています。
構想中のグループホーム
