『竹富方言辞典』
奈良市在住の定年退職教員で、やぶきひでお と申します。

『竹富方言辞典』(2011年8月23日の朝刊より)
前新(まえあら)透 さん(87)
生まれ故郷の沖縄県竹富島は進取の気性に富むとされる。ところが、それが災いしてか、方言を使う家庭が消えかけていた。「言葉を忘れたら生まれた島も忘れる」という諺が島にはある。危機感を抱いて方言の記録を始めたのは、1985年に石垣島の小学校長を退職した3日後だった。
以来26年。自宅のある石垣島からフェリーで竹富島に通い、お年寄りから聞き取った方言は大学ノート40冊に及んだ。教え子や沖縄県立芸大の言語研究者らが手伝いをかって出て、7年かけて音韻表記や文法の専門的解説を加えた。
出版は石垣島の「南山舎」が引き受け、このほど完成した「竹富方言辞典」は1500ページを超す大著となった。1万7千語余りを収め、石垣島や首里の方言、日本の古語との関連や用例も収録。共通語を方言でどう言うかがわかるよう、逆引きの索引もつけた。その精密さを研究者たちも高く評価する。増刷も決まった。
お年寄りを訪ねての方言聞き取りを「勉強会」と呼び、共通語は禁止した。お陰で、自身も「すっかり忘れていた方言がよく飛び出しました」。島の人々の高齢を気遣って日にちをあけると「励みになるから毎日来てもいいよ」と言われた。
竹富島は「芸能の宝庫」と呼ばれる。「言葉の宝庫でもあることが立証されました」と満足げだ。
(こういう地道な研究活動への憧憬を私は禁じ得ない。)
竹富方言辞典 島のもの屋
ムニバッキター(言葉を忘れたら)
シマバッキ (生まれ島をも忘れ)
シマバッキター(生まれ島を忘れたら)
ウヤバッキルン(親までも忘れる)
