【第7話】いまの僕をつくっている“仕事の哲学”──エンジニア × Biz × コンサルの統合
20年以上この業界で働いてきたけれど、
振り返ると、僕のキャリアは一見すると一貫性がないように見える。
エンジニアから始まり、
プリセールス、PM、業務コンサル、プロダクト開発、海外採用。
携わった業務も、触れた業界も、役割も変わり続けてきた。
でも、そのすべてがひとつの線でつながっている。
そして、その線が“いまの僕をつくっている核”になっている。
■ 1. 技術は“目的”ではなく“手段”である
エンジニアとして働き始めた頃、技術がすべてだった。
新しい言語、フレームワーク、ミドルウェア。
学んだ分だけ世界が広がり、成果につながった。
でも、長く働く中で気づいたことがある。
技術は目的ではなく、価値を実現するための道具でしかない。
ERPの炎上現場では、技術力だけでは前に進めなかった。
顧客の業務理解、前提条件の把握、ルールの整備、部署間の利害調整…。
技術では解決できない“構造の問題”の方が大きかった。
若手エンジニアが技術に夢中になるのは当然だし、とても良いことだ。
でも、どこかで必ず気づく。
技術は「価値を届けるための手段」であり、
その価値を定義できる人が強い。
この視点を持てるようになったことは、僕の転機のひとつだった。
■ 2. 問題は“構造”で解決する
ERP炎上で学んだ最大のことは、
問題のほとんどは“構造化されていないこと”が原因だということだ。
情報が整理されていない
認識が揃っていない
決定ルールが曖昧
部署間の前提が違う
優先順位が矛盾している
これでは、どれだけ優秀な人を投入しても改善しない。
逆に、
情報を整理し、構造を整え、ルールを定義し、共通の土台を作れば、
たとえ混乱している現場でも、必ず前へ進む。
エンジニアとしての技術よりも、
“問題そのものを構造で解決する力”
が、どのプロジェクトでも求められていた。
■ 3. 現場に寄り添い、上流で戦う
多国籍チーム、物流・製造・流通の現場、ERPの現場…。
色んなタイプの現場に入り込んだことで、確信したことがある。
良い上流は「現場の痛み」を理解している。
これは、技術力の高さとは別の軸だ。
Bizの視点とも少し違う。
誰が
どのタイミングで
どんな情報を使い
どんな判断をしているのか
これを理解できる人だけが、
本当の意味での“要件定義”を作れる。
現場を知らずに仕様は作れない。
現場に寄り添えない人が、プロジェクトをまとめることもできない。
炎上を通して、
現場と上流をつなぐ役割こそ、自分の価値領域だ
という感覚が強まった。
■ 4. キャリアは“積み上げ”と“手放し”の両方でつくられる
キャリアは「積み上げれば伸びる」という単純なものではなかった。
僕の場合、
プロダクト開発で「やり切ること」を学び
次のフェーズは「自分でなくてもいい」と手放し
ERP炎上で「芯」をつくり
業務コンサルとして「視野を広げ」
Bizと技術を統合する方向へ進んだ
このように、
積み上げたものが次を呼び、
手放したものが新しい役割を生む
という連鎖でキャリアが育っていった。
若手に伝えたいのは、
「やり切ること」と「手放すこと」
どちらもキャリアを前に進める力になる
ということだ。
■ 5. 人と仕組みを動かす人は、どの時代でも強い
技術は進化し、ツールも変わっていく。
今学んだ技術が、5年後には使われていないことも多い。
でも、変わらないものがある。
人を動かす力
チームを機能させる力
複雑なものを整理する力
問題の本質を見抜く力
Bizと技術を翻訳する力
プロジェクトを前に進める力
これらは、どの時代でも確実に価値を生む。
僕がキャリアの後半で評価されるようになったのは、
技術力が理由ではなく、
“人と仕組みを動かす力” が磨かれたからだ。
■ 6. 成長曲線は“外側へ広げる”ことで加速する
技術だけ、Bizだけ、PMだけ──という一本線ではなく、
複数の領域を横断してきたことで、
キャリアの選択肢が飛躍的に広がった。
技術 → 海外→業務 →プロダクト→ コンサル
異分野の経験が“複利”になっていく
エンジニアは技術だけを掘り下げる必要はない。
外側へ広げることが、成長の加速になる。
■ まとめ
いま僕が仕事で大切にしていることは、とてもシンプルだ。
“Why” を見失わない
技術は手段として使う
問題は構造で解決する
現場に寄り添い、上流で戦う
キャリアは自分でデザインする
そして、人と仕組みを動かす
この核がある限り、どんな現場でも迷わず戦える。
■ 次回(最終話)
この連載のラストは、
「エンジニアが幸せに働くために必要なこと」
について書くつもりだ。
20年以上働いてきて気づいた、本当の“仕事の本質”をまとめる。
次回へ続きます。
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