JW13 日嗣を定めて
【神武東征編】エピソード13 日嗣を定めて
ここは、高千穂国。

紀元前711年、一人の男の子が産まれた。
のちに、初代天皇、神武天皇となる、狭野尊(以下、サノ)である。
そして、紀元前697年、鸕鷀草葺不合尊(以下、ウーガ)は、日嗣(跡継ぎのこと)を定めた。
ここは、皇子原。
二千年後の皇子原神社(宮崎県高原町蒲牟田)。







ウーガ「汝に伝えたいことが有るっちゃ。」
サノ「父上? 如何なされました?」
ウーガ「汝を日嗣とする。」
サノ「は? 我が・・・日嗣?」
ウーガ「じゃが。」
サノ「お・・・お待ちくださりませ。兄上たちを差し置いて、我が、日嗣になど・・・。」
ウーガ「ん? 汝は知らんのか?」
サノ「えっ?」
ウーガ「おい。ジイ? 話しちょらんのか?」
ジイ「申し訳ないんですぞ。まだ、話してないんですぞ。」
サノ「ん? ジイ? どういうことじゃ?」
ジイ「実は、我らの御世は、末子相続なんですぞ。」
サノ「末っ子が、跡を継ぐと?」
ジイ「そういうことですぞ。」
ウーガ「ということで、汝は、妃を迎えねばならん。」
サノ「き・・・妃? それは・・・。」
ウーガ「吾平津媛と『逢わせる』(結婚させる)ことになったじ。喜べ。」

サノ「なっ!?」
ウーガ「ん? 嫌なんか?」
サノ「い・・・嫌では、ありませぬが・・・。」
ジイ「興世姫は、諦めるしかないですぞ。」
ウーガ「ん? 興世姫? それは、誰ね?」
ジイ「作者のオリジナル設定で、民の娘と恋仲になったんですぞ。」
サノ「で・・・ですから・・・。」
ウーガ「何言うちょるんや! 民の娘を妃になど、以ての外っちゃ!」
サノ「うっ・・・。」
ウーガ「ええか? 汝と媛を『逢わせる』んは、高千穂と襲国(今の鹿児島県)の蟠りを無くす為でもあるんや。」

サノ「で・・・では、兄上を日嗣に・・・。」
ウーガ「末子相続やじ。そんげなコツ、出来るわけないっちゃが。」
サノ「さ・・・されど・・・。」
ウーガ「サノ! 諦めろ。」
サノ「ち・・・父上なら、諦められまするか?! もし、母上と、夫婦となること能わぬ・・・と言われたら!?」
ウーガ「そんげなコツ・・・。我の時と、汝とでは、話が違うっちゃ。」
サノ「うっ・・・。」
ジイ「あのう?」
ウーガ「なんや?」
ジイ「妾ということでは?」
サノ「ん?」
ウーガ「おお! そんげなやり方が有ったな! 我は『タマちゃん』一筋やったかい、そこに、考えが及ばんかった・・・。」
ジイ「では、そういうことで、話を進めますぞ。」
こうして、「サノ」は、吾平津媛を妃に迎え、興世姫は、妾(側室)にすることとなった。
そして、数日後・・・。
ウーガ「『サノ』よ。もう知っちょると思うが、吾平津媛の兄、『吾田の小橋』は、油津を取り仕切っちょる。」
サノ「宮崎県日南市の港ですな?」
ウーガ「じゃが。ということで、油津の近くに、吾平津媛の宮を設けることになったじ。」



サノ「ん? どういうことです?」
ウーガ「我らの御世は、通い婚や。襲国まで通うわけにも、いかんやろ?」
サノ「さ・・・されど、皇子原から、油津も、なかなかの道程にござりまするぞ?」
ウーガ「分かっちょる。やかい、『サノ』も移り住むんや。」
サノ「何処に?」
ウーガ「我の宮っちゃ。」
サノ「鵜戸神宮に移り住めと?」
ウーガ「じゃが。」
日嗣となったことにより、「サノ」は、移住することになったのであった。
次回につづく
