JW1 高千穂の皇子
【神武東征編】エピソード1 高千穂の皇子
今は昔の物語。
地上世界を治めるため、高天原より、天孫が降り立った。
神の名は、天津彦彦火瓊瓊杵尊(以下、ニニギ)。
降り立った地は、吾田の長屋の笠狭崎という。
今の宮崎県は、高千穂峰といわれている。







「ニニギ」は、この地を治めることから始めた。
そしてそれは、子、孫へと受け継がれていった。
子の名前は、彦火火出見尊(山幸彦)(以下、ヤマピー)。
孫の名前は、彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊(以下、ウーガ)。
そして、紀元前711年、高千穂国に、一人の男の子が、産まれようとしていた。


ウーガ「読者のみなさん、お初にお目にかかるっちゃ。我が『ウーガ』や。此度は、我が妻、玉依姫こと『タマ』の身身(出産のこと)に立ち会ってくださり、真に、かたじけない。」
するとそこに、「ウーガ」の三人の息子がやって来た。
すなわち、彦五瀬(以下、イツセ)、稲飯、三毛入野(以下、ミケ)である。

イツセ「父上? 読者に語りかけながら、何をしちょるんです?」
ウーガ「ん? 石を背負っちょるんや。」
稲飯「なして、そんげなコツを?」
ウーガ「身身の時、夫は、臼を背負って、産屋を廻るという『習わし』が有ってな・・・。此度は、石になったが・・・。」

ミケ「何の為に?」
ウーガ「苦しみを、夫婦で分かち合う為っちゃ。」
イツセ「では、我らの時も、そうやって?」
ウーガ「じゃが。そんげなコツより、『タマちゃん』について、解説を致せ。」
イツセ「御意。まず、母上は、父上の叔母に当たる御方なんや。」
稲飯「海神の娘でもあるんやじ。」
ミケ「すなわち、我らは、海神の孫でもあるんや!」

稲飯「じゃっどん、母親の妹を、妻に迎えるって、かなり凄いことっちゃが。」
ミケ「兄者? それだけじゃないじ。母上は、父上の育ての親でもあるんや。」
稲飯「たしか『おばあさま』の豊玉姫こと『トト姉ちゃん』が、海に帰ったんで、代わりに育てたんやったな?」
ミケ「じゃが。『おばあさま』は、父上を産んだ時、『おじいさま』の『ヤマピー』に、鰐(鮫のこと)の姿を見られたんで、恥ずかしさのあまり、帰ってしまったんやじ。」


ウーガ「その話は、止せ。我の『トラウマ』なんや。」
イツセ「きっと、今ごろ、母上も、鰐の姿に・・・。」
ウーガ「だから、その話は、止せ!」
そこに、一人の采女(侍女のこと)がやって来た。
采女「我が君! 産まれました! 健やかな、男童にござりまする。」
ウーガ「おお! 産まれたか!」
四人は、すぐさま、産屋を訪ねた。
ウーガ「タマちゃん! でかした!」
タマ「此度も、男童にござりました。」
男童「おぎゃあぁ! おぎゃぁぁ!」
イツセ「おお! 小さいのう。」
稲飯「こんげな、小さい子が、我が国の初代天皇になるんやなぁ。」
ミケ「兄者? それは、異国の言の葉でいう『フライング』やじ?」
タマ「初代天皇ですか・・・。行末が、楽しみですねぇ。」
稲飯「じゃが。」
ミケ「母上! 兄者に合わせちゃ、ダメやじ!」
タマ「はいはい。分かりました(^-^)」
ウーガ「ところで、体の方は、大事ないか?」
タマ「はい。それより、この子に、名を、お与えくださりませ。」
ウーガ「そうやったな・・・。では、狭野と、名付けようぞ。」
タマ「サノちゃん・・・。良き名かと、存じまする。」
こうして、高千穂に、一人の皇子が誕生したのであった。
つづく
