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熊本復興支援ダンス6:イビザ祭

福岡市から車で南東へ約二時間走ると、大分との県境に位置する浮羽(うきは)市がある。その山中で行われた『イビザ祭2016』で、楽しく踊らせてもらった。

到着した会場の『浮羽イビザ・スモーク・レストラン』は、尾花兄弟のお父さまが最初にオープンした。こんな山奥に住もうとしたその発想が、何とも素敵ではないか。

この自然は厳しくも、美しく保たれていて、ここに生きる人々は自然との共存を選び、味わいながら学び、成長している。そんな印象を受けた。


店先の広場では火を焚いていた。巨大な鉄鍋で振る舞われた名物のパエリアは絶品だった。店名にも含まれている、美味しい燻製もすべて自家製。そこで執り行われる『イビザ祭』というフェスは、この7月に30周年という目出度い節目を迎えた。

目的地への道中には、対向車と譲り合わないと通行できない細い道が続く。山が険しくなる頃には、国の重要文化財に指定されている「くど造り」と呼ばれる特徴的な屋根の住宅が視界に入る。

筑後川の上流には、時が止まっているかのような透き通った水の穏やかな景色が広がり、環境省が「名水百選」に認定している、良質な湧き水「清水湧水(きよみずゆうすい)」も、脇道へ少しそれると汲むことができる。

同じく百選入りしている、「つづら」と呼ばれる美しい棚田の色も目に優しい。

車を駐車して、博多市内にある『デシデラータ』のオーナーである、マスオさん達と敷地内へ入った。野外マーケットが並び、手作りの小物やキャンドル、タイダイTシャツに、アクセサリー等が、カラフルで可愛らしく、どれも目を惹いた。

私は、丁度必要だった「漁師が履いているサンダルの原型」から作られた履きやすいビーチサンダルと、母が気に入ってくれた、つばの大きい日よけ帽を、『ククルジャム』のカナさんから購入。

イベントは午前11時から深夜12時まで、6人のDJに10バンドが参加する規模。このパーティーで演奏するために、日本の各地からアーティストたちが集まってきた。

例えば、けもの&塚本功の塚本さんのギター・プレイは、この二ヶ月前に、渋谷の『ザ・ルーム』で開催された、大貫憲章さんのパーティー『ロック・キャラバン』に出演した際のライブで、偶然、拝聴していた。

大阪のクンビア・バンド『ロージョ・レガーロ』のコロンビア舞曲がハマった、多国籍な融合リズムを聴いたとき、これが進化系大御所DJ小林径さんから、以前に教えてもらっていた「クンビア」という音なのだと興奮した。

DJシィィィィ氏もウネリのある異次元選曲を繰り広げて、持っていかれた。

車中で、みんなが噂していた通り『クロマニヨン』も恐ろしくファンキーなバンドで、完全に踊り込ませてもらった。

そんな見どころ満載のラインアップのなか、トリを飾ったバンド『蝉』のフリー・ジャズのエネルギーはカオスな銀河系だった。この特別な空間で聴いたからこそ、感動もひとしお。

山中の坂沿いに建てられた平屋のレストラン。その裏のテラスにも低いテーブル席が用意されていた。そのテラスの真横下を流れる透き通った川の音が涼しげ。

そこで、娘さんを抱っこしながら、手作りジャムやシロップを販売していた『江口農園』のユウコさんから、お土産用に瓶詰めのジャムを購入。

テラスの端で振り返って、さっき来た道を眺めれば、両側に山を抱えた川が真ん中を走り、注連原(しめばる)公民館と、その周りには先ほどの「くど造り」の民家が数件並ぶ。

まるで『まんが日本昔ばなし』に出てくるような集落。そこへ森や林、すべての生き物を目覚めさせるような大雨が降り出した。風の音を聴き、土や木々の香りを嗅ぎ、肩にあたる水滴の冷たさに、息づいている自然を体感した。

パーティーの終わり頃、マスオさんから紹介を受けた、多才なタツイシさん。彼は、ひょうたんを育て、刈り取って加工し、スピーカーやランプを制作している。

笑顔がステキな彼は『カラヴィンカ・ミュージック』というレコード店の経営者でもあり、この日は息子さんと一緒に遊びに来ていた。

そう、このパーティーには、たくさんの子供も参加し、親と一緒になって遊んでいた。その様子に、国内シーンの可能性を感じた。ここにいるパーティー・ピープルを「山の人」と呼んだ。

自然と人と音楽、そして自給自足して、生活することを楽しんでいる仲間が集う環境。

長年にわたってこの土地を愛し、あたたかいコミュニティーを作り上げてきた、尾花一家にマッシブ・リスペクト!

この夜は参議院選挙の開票日でもあった。新世代を中心に熱い支持を集めていた『犬式 INUSHIKI』のボーカル、三宅洋平さん。

彼のサポーターである若いママやパパたちが、野外の大画面スクリーンの前に人だかりを作り、パーティー中も釘付けになって、開票結果を見守っていた姿が強く印象に残っている。

南阿蘇村のゴミ集積所で、少々おセンチな気分になっていた私だが、この山中でDIYパーティーを楽しみ、自らの人生をハンドメイドで実践している、現代の日本人達の姿に、胸が熱くなった。

国の政治に関心を持ち、親としての責任ある行動を「投票」を通して体現し、社会へ彼らの声を届けていく。その前向きな態度に、日本の政治に無関心だった私でさえも静かに興奮した。

未知だった日本の山奥のシーン。 なぜか帰ってきたような懐かしい匂いがした場所。また必ず戻ってきたい、深い緑に包まれた日本の景色。

浮羽の「夜霧よ、今夜もありがとう」。

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