SCM用語:プライス(価格戦略)
ビジネスにおいて、「プライス(価格戦略)」は「売上」と「利益」を同時に左右する、ものすごく重要な要素です。ただ安くすれば売れる、という話ではありません。
マーケティング論には「4P」という有名な考え方があります。1960年代にアメリカのマッカーシーが提唱しました。
「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販促)」の4つです。
今回はそのうちの「Price(価格)」を深掘りします。
価格は、お客さんが「買うか、やめるか」を決める最後の判断基準です。
高すぎると売れません。
安すぎると利益が出ません。
そのバランスをどこに置くかが、価格戦略の核心です。
価格戦略として、有名な2つのやり方があります。
1つ目は「スキミング価格(上澄み価格)」です。
「スキミング」とは、液体の表面に浮かぶ上澄みをすくい取ることです。
最初に高い価格で売り出し、時間をかけて徐々に下げていく方法です。
価格が高くても買ってくれる「熱心なお客さん」から順番に取り込んでいくイメージです。
新商品の発売直後や、競合がまだ少ない市場でよく使われます。
この方法は、初期投資を速い段階から回収することを狙っています。
2つ目は「ペネトレーション価格(浸透価格)」です。
「ペネトレーション」とは、染み込む・浸透するという意味です。
最初から低い価格で市場に入り込み、シェアを素早く獲得する方法です。
水がスポンジに染み込むように、広く深く市場に広がっていくイメージです。
利幅が薄くても、競合が多い市場や、早く認知を広げたいときに有効です。
ここからがSCMの視点で重要な話です。
価格戦略は、サプライチェーン全体の動きに直結します。
例えば、安売りキャンペーンを打つと、一時的に需要が急増します。
工場や倉庫はその急増に対応しなければなりません。
これを「需要の変動」と呼びます。価格を下げるほど、この変動は激しくなります。
逆に高価格戦略を取ると、販売量は落ちますが、需要が安定します。
サプライチェーンの計画も立てやすくなります。
つまり「いくらで売るか」は、製造・在庫・物流のすべてに影響します。
「全体最適」の視点では、価格を決めるときに販売側だけで考えるのは危険です。
サプライチェーン全体でどんな影響が出るかを、同時に考える必要があります。
そうでないと、実際はどんなコストが発生するのか、わからないまま価格が決まってしまうからです。
価格は「数字の問題」ではなく、「サプライチェーンの設計問題」です。
この視点を持つだけで、日々の業務が戦略とつながっていきます。
