SCM用語:組織運営の五原則
サプライチェーンで使われる専門用語をわかりやすく解説するシリーズ。
今回は「組織運営の五原則」です。
会社は、多くの人が協力して動いています。
しかし、ルールなく動くと混乱します。
そこで必要になるのが、「組織運営の五原則」です。
これは1900年代前半。
経営学者アンリ・ファヨールによって整理された考え方です。

まず重要なのが、「命令一元化の原則」です。
これは、「指示を出す上司は1人にする」という考え方です。
複数の上司から違う指示が来ると、現場は混乱します。
次に、「統制範囲の原則」です。
1人の管理者が抱えすぎると、管理ができなくなります。
適切な人数や範囲で運営することが重要です。
さらに、「権限責任一致の原則」も重要です。
責任だけ重く、決定権がない。
これでは仕事が進みません。
逆に、権限だけ強く責任がないと、組織は乱れます。
そして、「専門化の原則」。
人は専門分野に集中することで、生産性が上がります。
1950年代からの大量生産時代では、この考え方が大きな効果を発揮しました。
しかし、専門化しすぎると、「部分最適」が起きます。
最後が、「権限委譲の原則」です。
現場に判断を任せる考え方です。
SCMでは、現場で素早く判断できることが強みになります。
もっと踏み込んでこの原則を見るとき、SCMにおける「全体最適」の視点がとても重要になります。
たとえば、「専門化の原則」をガチガチに守りすぎると、作る人は「作る効率」だけを求め、接客する人は「売りやすさ」だけを求めるようになります。
その結果、売れない種類の商品が大量に作られて売れ残り、お店全体が赤字になるという「部分最適」の罠に陥ることがあります。
SCMは、調達、製造、物流、販売という異なる専門部署がバトンのようにつながる世界です。
だからこそ、どこか1つの原則が乱れるだけで、在庫が積み上がったり、納期が遅れたり、会社の利益が吹き飛んだりします。
全体のバランスを取りながら組織を運営していくことこそが、戦略を成功させるカギになります。
組織のルールを知ることは、守りのためではありません。
無駄な争いや遅れをなくし、チームとして最もスピーディーに行動を起こすための強力な武器になるのです。
