SCM用語:工場システム(汎用技術)
平成30年版情報通信白書でまとめられた汎用技術(GPT)の中の「工場システム」について解説します。
工場システムとは、原材料を入れるところから商品ができて出荷されるまでの流れを、機械や決まったやり方で計画的に管理し、一度にたくさんの製品を効率よく作る仕組みです。
工場システムができる前の製造は、職人や家族が小さな作業場や自宅で、道具を使って手作業で作るのが普通でした。たとえば、服や道具は村の仕立て屋や鍛冶屋が注文を受けて一つずつ作ります。材料の調達から完成まで一人または少人数が全工程を担当していたため、生産量は限られ、品質や納期は職人の腕や体調に大きく左右されました。この形を「手工業(マニュファクチュア)」や「家内制手工業」と呼びます。
18世紀後半、イギリスで蒸気機関が実用化され、手工業中心だった生産が機械化へと転換した産業革命により、工場システムは発展しました。
初期の工場は水力や蒸気機関を動力源とし、分業による単純な流れ作業が中心でした(第1次産業革命)。19世紀末から20世紀初頭には電力が普及し、より高度な大量生産が可能になります(第2次産業革命)。象徴的な事例が、1913年にフォード社が導入したベルトコンベア式ライン生産方式です。
それ以前の自動車製造では、熟練工が1台の全工程を担当し、完成まで約12〜13時間を要していました。1913年、フォード社は車体を動かし、作業員は固定位置で専門作業を繰り返す方式に切り替えました。その結果、T型フォードの製造時間はわずか1時間半と、従来の約8分の1に短縮。さらにコスト削減により、自動車は富裕層だけでなく一般市民にも手が届く大衆商品へと変わりました。これは単なる生産性向上にとどまらず、生活様式そのものを変えた革新でした。
工場システムは自動車や電子機器のみならず、食品、医薬品、アパレルなど多様な分野に広がり、産業横断的な応用性と社会基盤としての役割を持つ汎用技術なのです。
