SCM用語:飛行機(汎用技術)
平成30年版情報通信白書でまとめられた汎用技術(GPT)の中の、「飛行機」について解説します。
飛行機は、1903年にライト兄弟によって世界で初めて動力飛行に成功して以来、現代社会を支える不可欠な汎用技術となりました。
飛行機が生まれた背景と技術
飛行機の発明は、ライト兄弟のひらめきだけでなく、それ以前の多くの先行技術の集大成でした。
ドイツのオットー・リリエンタールがグライダーの研究で飛行の安定性に関する貴重なデータを得ていたように、多くの研究者が空を飛ぶ夢を追い求めていました。
ライト兄弟はこれらの研究から学び、特に「操縦の重要性」に着目しました。ただ揚力を得るだけでなく、風やバランスを制御する技術が必要だと考えたのです。彼らは、鳥が翼をわずかにねじることでバランスをとる様子を観察し、これを「翼のねじり(ウィング・ワーピング)」という操縦方法に結びつけました。
飛行機が変えた世界
飛行機は、地球上の「地理的・時間的な制約」を劇的に縮小し、サプライチェーン・マネジメント(SCM)に革命を起こしました。
例えば、イギリスからニューヨークへの移動は、船で7日以上かかっていたものが、飛行機ではわずか7〜8時間に短縮されました。このリードタイムの短縮は、以下の大きな効果を生み出しました。
・半導体や医薬品、生鮮食品といった「高価値・時間厳守な品物」の国際輸送を可能にした
・戦争に「空」という新たな戦場をもたらし、上空からの偵察や、敵の生産拠点への戦略爆撃が可能になった
・災害や紛争の際、飛行機は緊急支援物資や医療チームを迅速に届ける「空のインフラ」ができた
飛行機がもたらした次の技術
飛行機の発展は、他の分野でも役立つ「次世代の汎用技術」を生み出しました。
ガスタービン技術: ジェットエンジンの技術は、発電所のタービンや高速船のエンジンに応用され、エネルギー産業や海運業に革命を起こしました。
新素材: 飛行機の軽量化のために開発されたチタン合金や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、自動車、高層ビル、スポーツ用品など、多くの製品に活用されています。
GPS: もともと軍事目的で開発されたGPSは、航空機の精密な航行に不可欠となり、その後カーナビやスマートフォンの地図アプリなど、私たちの生活に欠かせないインフラとなりました。
飛行機は、たった120年ほどで私たちの生活や経済活動を根底から変えました。それは、グローバル化を加速させ、私たちの世界を物理的にも経済的にも結びつけた、まさに現代の「空飛ぶ汎用技術」なのです。
