『ザ・ゴール』に学ぶ! 仕事の生産性を上げる考え方:第8回 「ボトルネックの能力を高める」
こんにちは!サプライチェーン・マニアの瀬崎健です!
『ザ・ゴール』をガイドブックに進む生産性向上の旅、第8回です。
前回は「あえてゆっくり働く」という勇気のいるステップ、「その他をボトルネックに従属させる」というお話しでした。
チームの足並みを揃えることで、無駄な在庫(やりかけの仕事)を減らす準備が整いましたね。
今回は、いよいよ攻めのフェーズ。 5つのステップの第4段階、「ボトルネックの能力を高める」を深掘りします!
今回は、その次のステップ、「ボトルネックの能力を高める」についてみていきます。
😱 ボトルネックが1時間休むと、1000万円の損!?
『ザ・ゴール』の主人公アレックスは、師匠のジョナから衝撃的な事実を突きつけられます。
「ボトルネックでの1時間のロスは、工場全体の1時間のロスである」
これ、どういう意味かわかりますか? 例えば100人が働く工場で、一番細い工程(ボトルネック)が1時間止まったとします。 「止まったのはその機械1台だけでしょ?」と思うかもしれません。
でも違うんです。 ボトルネックが止まれば、後工程の人たち全員に仕事が回らなくなり、工場全体の「出荷(スループット)」が1時間分減ってしまうのです。
もし、その1時間で本来なら10台の製品が完成し、1台100万円の利益が出るなら、ボトルネックを1時間遊ばせただけで「1000万円」をドブに捨てたのと同じなんです!
そう考えると、ボトルネックでタバコ休憩なんて怖くてできませんよね(笑)。
🛠️ お金をかけずに「能力」を上げる3つの工夫
「能力を上げる」と言うと、すぐ「新しい機械を買おう!」「人を雇おう!」と考えがち。
でもアレックスは、今あるリソースだけで驚くべき成果を出しました。
① 不良品をボトルネックに通さない これ、盲点です。ボトルネックで一生懸命加工した後に「あ、これ不良品だった」と気づくのは最悪。 ボトルネックの手前に品質チェックを置くことで、貴重な時間を100%「売れる商品」のためだけに使うようにしました。
② 休憩時間をズラす(アイドルタイムの撲滅) 「お昼休みだから全員休憩!」ではなく、ボトルネックの機械だけは交代制で動かし続ける。 「機械を1秒も眠らせない」という執念です。
③ エース(熟練工)を配置する 一番大事な工程には、一番ミスの少ないベテランを置く。 バスケで言えば、勝負どころのシュートは一番確率の高いエースに託すのと同じです。
他にも、昔使っていた古い機械を引っ張り出してきて2ラインにするなど、現場の知恵を総動員しました。
🔄 なぜ「従属」が先で、「能力向上」が後なのか?
ここで改めて、5つのステップの順番を思い出してください。
見つける
徹底活用する
従属させる
能力を高める
なぜステップ3(従属)の後にステップ4(能力向上)が来るのでしょうか?
もし、チームのリズムを合わせる前に、いきなりボトルネックの能力だけを上げたらどうなるか。 他の「非ボトルネック」の人たちが「おっ、あいつが早くなったぞ!」と、それ以上のスピードでまた勝手に走り出し、結局また無駄な仕事の山(仕掛品)を作ってしまうからです。
「全員がボトルネックの太鼓に合わせて歩く」というルールを徹底した上で、初めて太鼓のリズムを速める。 この順番こそが、スループットを最大化する黄金律なのです。
🚩 ボトルネックは「移動」する!
ボトルネックの能力を上げていくと、ある時、そこがボトルネックではなくなります。 全体の処理能力が上がった結果、「別の場所」が一番細い場所になるからです。
そしたらステップ5、つまり「1に戻る」の出番です! 新たなハービー君(ボトルネック)をまた探しに行きましょう。
これは終わりなき旅ですが、このサイクルを回すたびに、あなたのチームは確実に強く、速くなっていきます。
💡 今回のポイント
ボトルネックの能力を上げることは、チーム全員の努力を「形」にするための唯一の方法です。
あなたのチームの「エース」が、誰でもできる雑用で時間を潰していませんか?
決定権を持つ上司(ボトルネック)が、会議の合間に「判断」するための情報を探して右往左往していませんか?
「ボトルネックの時間を1分も無駄にしない」。 この視点を持つだけで、高価なシステムを導入するよりずっと早く成果が出ますよ!
🎯 次回予告:理想の工場という「幻想」
「全員が100%フル稼働している職場」こそが理想だと思っていませんか? 実は、それが組織の生産性を下げる最大のワナだとしたら……。
次回は、これまでの常識をひっくり返す「理想の工場という幻想」について語ります。
それでは、また次回お会いしましょう!
サプライチェーン・マネジメントの名著「ザ・ゴール」。コミック版もぜひ。
