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TSMCの先にあるもの―日本が勝つための条件

台湾の成長は、日本の危機であり、日本のチャンスでもあります。

かつてアジアのリーダーだった日本。 しかし今、台湾の輸出額が日本の背中を捉えています。

背景にあるのは、台湾の「選択と集中」の投資戦略。 彼らは自らを「シリコンシールド」、そして「AIアイランド」へと変貌させました。
前回は、その軌跡を追いかけていきました。

こんにちは、サプライチェーン・マニアの瀬崎健です。

今回は、背後にせまられた日本が、この先どうするべきなのかと言う話。

日本と台湾、モノのやり取りの現在地

現在、日本から台湾へ送られるもの。
その主役は「製造装置」や「電子部品」です。 そして高品質な「素材」も欠かせません。

台湾が世界をリードする半導体工場。
そこで不可欠な最先端の機械
シリコンウェハーなどの材料
これらは多くが日本から供給されています。
日本の技術力なくして、台湾の半導体は作れません。
これは紛れもない事実です。

逆に、台湾から日本へやってくるもの。
圧倒的なのは「半導体」そのものです。
加えて、パソコンやサーバーなどの「IT機器」
これらが私たちの生活やビジネスを支えています。

まさに「不可欠な供給源」。 それが今の台湾の立ち位置です。

しかし、手放しでは喜べません。
かつて日本は、台湾にとって圧倒的な供給元でした。

今やその関係性は、対等かそれ以上に変化しています。
モノの流れを見るだけで、勢力図の変化が分かります。

数字で見る25年のドラマ

二つの時点を並べてみましょう。 その変遷がより鮮明になります。

2000年当時、日本から台湾への輸出は約450億ドルでした。
それが2025年には、約780億ドルへと拡大しています。 25年間で堅調に伸びた形です。

一方で、台湾から日本への輸入はどうでしょうか。
2000年の約310億ドルから、2025年には約620億ドルへと急増。
なんと、ほぼ「2倍」にまで膨らみました。

2025年のカテゴリー別 対台湾輸出入金額

この25年間で、貿易の規模は一気に拡大したわけです。
注目すべきは、単なる金額の増加ではありません。 中身の「高度化」です。

2000年当時、台湾はまだ成長途上の製造拠点でした。
しかし現在、台湾は世界最先端の「技術ハブ」へと進化。
それとともに、双方が送り合うモノの価値も、劇的に上がっています。

ここで、日本が直視すべきファクトがあります。
それは、電子・半導体カテゴリーにおける「日本の貿易収支の赤字」です。

かつては技術を売って稼いでいた日本。
今や、最先端の半導体を台湾から買わなければ、自動車も家電も作れません。

パートナーシップは大事。 しかし、その先に日本の発展がなければ、本当の「Win-Win」にはなれません。 

TSMC誘致から先を見据えること


2021年、日本政府は半導体の競争力を取り戻すため、動きました。

熊本に工場を建てるTSMCに対し、総投資額の約半額にあたる「4760億円」の補助金を提供
さらに第2工場では、「7320億円」の追加支援を決定しました。

巨額の税金が投入されたわけです。
効果はすぐに現れました。 第1工場の稼働後、関連企業34社が九州に進出。
2024年時点で、約1.7兆円の経済効果を生み出しています。
地元企業の受注が「前年比3倍」に急増した事例もあるほどです。

次なる一手も始まっています。
北海道で建設が進む国策会社「ラピダス」がその象徴。
ここでは、世界がまだ量産できていない「2ナノメートル」という超最先端半導体の生産を目指します。 未来の技術で再び世界のリーダーになるための、壮大な挑戦です。

しかし、手放しで自画自賛はできません。影の課題にも目を向ける必要があります。
例えば、工場の「廃液処理技術」です。 地下水の枯渇リスクや「PFAS汚染」の進行といった深刻な問題。 これらへの対策が、今まさに求められています。


日本から台湾への「輸出強化」

狙うべきは、日本の強みが凝縮された「精密機器」や「素材」です。
どれほど台湾の半導体製造技術が進化しようとも、それを支える超高純度の化学素材や、寸分の狂いもない測定装置は、日本にしか作れないものが数多く存在します。

さらに強力な武器となるのが、「環境配慮型の製造技術」です。
AIの処理に必要なデータセンターや半導体工場は、膨大な電力を消費します。
日本の得意分野である「省エネ技術」や「効率的な冷却システム」を台湾のAIインフラへ売り込むチャンスがあります。

変化の波を、味方につけること。

台湾の急速な「AI実装」の流れ。 これは日本企業にとって脅威でしょうか?

あなたの会社のサプライチェーン戦略。 今、台湾をどう位置づけていますか。

変化の波を、味方にできるか。 
私たちのサプライチェーン戦略は、今、大きな分岐点を迎えています。


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