「いろんな人に読んでほしい」が、いちばん読まれない発信をつくる
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「できるだけ多くの人に届けたい」。商品やサービスを世に出すとき、誰もが一度はそう考えると思います。私自身も、発信を始めたばかりの頃は、まさにそう思っていました。
ところが何年か続けてみて、私はだんだん逆のことを意識するようになりました。「みんなに届けよう」とするほど、かえって誰の心にも届かなくなる。今日は、なぜ届け先を広げると伝わらなくなるのか、というお話をさせてください。
「みんな向け」の言葉は、誰の言葉でもなくなる
まずお伝えしたいのは、対象を広げるほど、言葉はぼんやりしていく、ということです。
たとえば「すべての方におすすめです」と言われても、自分のことだとは思いませんよね。誰にでも当てはまる言葉は、裏を返せば、特定の誰かに刺さる要素が抜け落ちているということなんです。
反対に、「毎日忙しくて、自分の事業を見直す時間が取れない経営者の方へ」と言われたら、当てはまる人はドキッとします。範囲を狭めたぶん、その人にとっては「これは自分の話だ」と感じられる。狭めることは、届く深さを増やすことなんですね。
私が「広げすぎて」失敗した頃の話
発信を始めた当初、私は「いろんな人に読んでほしい」という思いが強すぎました。
その結果、書く内容がどんどん当たり障りのないものになっていったんです。誰も傷つけない、誰にでも当てはまる、けれども誰の記憶にも残らない。今読み返すと、自分でも何が言いたかったのか分からない文章が並んでいました。
転機になったのは、「たった一人」を思い浮かべて書くようにしてからです。かつての自分のように、忙しさに追われ、収益が安定せずに悩んでいる人。その一人に向けて手紙を書くつもりで言葉を選ぶと、不思議と反応が変わっていきました。一人に向けた言葉のほうが、結果的に多くの人に届く。これは、頭では分かっていても、実際にやってみるまで腹落ちしなかったことでした。
「全員に好かれよう」とすると、誰も動かない
対象を絞れない背景には、「断られたくない」「嫌われたくない」という気持ちがあるのだと思います。私もそうでした。
ですが、全員に好かれようとすると、メッセージは必ず薄まります。八方美人な発信は、安心感はあっても、人を動かす力を持ちません。「自分のことだ」と思ってもらえて、はじめて人は耳を傾け、行動してくれるんですね。
絞るというのは、合わない人を切り捨てることではありません。本当に役に立てる相手に、まっすぐ向き合うと決めることです。そう考え方を変えてから、私は対象を狭めることへの怖さが、ずいぶん和らぎました。
「たった一人」を決めると、何を言うかが決まる
届ける相手を一人に絞ると、もう一つ良いことがあります。発信や商品の中身そのものが、自然と定まってくるんです。
相手がはっきりしていれば、その人が何に困っていて、どんな言葉なら響くのかが見えてきます。逆に「みんな」が相手だと、何を話せばいいのかが永遠に定まりません。あれもこれもと盛り込んだ挙句、軸のないぼんやりした内容になってしまいます。
これはマーケティングの話に限りません。商品の設計でも、価格の決め方でも、まず「誰のためか」がはっきりしているほど、その後の判断はぶれなくなります。相手が決まれば、中身が決まる。順番が逆になると、いつまでも迷い続けることになります。
絞ったからといって、お客様が減るわけではない
「対象を狭めたら、お客様も減ってしまうのでは」と心配される方がいます。気持ちはよく分かります。私も最初はそう思っていました。
ですが実際は逆でした。一人に深く刺さる言葉は、その人の周りにいる「似た悩みを持つ人」にも届いていきます。「これはまさに私のことだ」と感じてくれた人が、自然とつながりを広げてくれるんですね。
広く浅く呼びかけて誰の心も動かさないより、狭く深く届けて一人を本気にさせるほうが、結局は多くの人に広がっていく。急がば回れで、遠回りに見える絞り込みのほうが、長い目で見れば確かな道だと、私は感じています。
まとめ
「みんなに届けよう」とするほど、言葉はぼんやりして、かえって誰の心にも届かなくなります。対象を広げることは、届く深さを手放すことでもあるんです。
大切なのは、たった一人を思い浮かべて、その人に手紙を書くつもりで言葉を選ぶこと。相手が決まれば、何を言うかが決まり、発信も商品も自然と軸が定まります。そして一人に深く刺さった言葉は、似た悩みを持つ人たちへと、おのずと広がっていきます。
もし最近、発信や商品の方向性に迷っているなら、一度「これは誰のためのものか」を、たった一人の顔が浮かぶところまで絞ってみてはいかがでしょうか。そこから、伝わり方が変わっていくはずです。
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