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賢者と共にあれ ——あるいは頭のモヤモヤを、人類の知の遺産で殴り飛ばす方法

頭のモヤモヤを、人類の知の遺産で殴り飛ばす方法


生きていれば、名前のつかない感情に出くわすことがある。

・もやもやする
・不安になる
・無性に腹が立つ
・狂いたくなる
あるいは、
・取り返しのつかない失敗をして、後悔がずっと喉に引っかかっている

こうしたとき、多くの人は「時間が解決する」と言う。
「忘れろ」「気にするな」「寝れば治る」だとか何だとか。

私は、それを信じていない。

整っていない状況を、整った状況に変えるための第一歩は、その状況を正確に言葉によって紡ぎ切ることだ。
言葉で表現し、言葉で整理し尽くす
それができて初めて「次に何を、何に対してすべきか」という明確な打ち手が導き出せる。

 *

何より、このように徹底した”言葉にする態度”は、副産物も大きい。

言葉にし尽くすたびに、
・理解できる物事が増える
・表現できる物事が増える

つまり、世界を見る解像度が一段上がるのだ。(もちろんこれに比例して、自分の発言の含蓄も高まる)

だからこそ、「望ましくない状況」に置かれたなら、好機だ。
そのものについて深く考える価値がある。

 *

しかし問題は、その深く考える際の「やり方」だ。

やみくもに考え込んでも、同じ場所をぐるぐる回るだけで終わってしまう。

そこで、私が最近あらためて整理した、「言語化の精度を飛躍的に高める3ステップ」を共有したい。(もちろんすべて無料です)



「言葉にし尽くす」ことの悦び


3ステップの紹介の前に、大切なことを。

一つの物事を言葉で深く掘っていくと、ある時点で理解がより精緻に「脳内で溶けていく」感覚がある。

白と黒しかなかった認識に、その間の”無数のレイヤー”が見えるようになる。
「なんとなく嫌」が、十の異なる認識に分解される。
新しい語彙が増え、一つの物事の中に、これまで気づかなかった区別を見出せるようになる。

文字通り、「世界の見え方」が少しだけ変わるのだ。

ちなみに、私にとって「飽きる」とは、言葉にし尽くしてしまうことと同義だ。
逆に言えば、まだ言葉にできる余地がある限り、その物事は面白い。
頭のモヤモヤがある限り、そこには「掘りがいのある鉱脈」が存在することを意味している。


要するに言語化は、できれば出来るほど楽しいのだ。

——それでは、その言語化にブーストをかける3ステップを見ていこう。


Phase 1 ——自分で、言葉にする


まず、誰の力も借りず、自分でひたすら書き出す。
頭にあるものを、順序も体裁も気にせず、ガッと吐き出す。

ここにはコツが3つある。


① 書き殴ったあと、それを階層ごとに束ねる

最初から整った文章を書こうとしない。断片でいい。思いついた順に殴り書きし、あとから「これは同じ話だな」という塊ごとにまとめ直していく。一周してみると、自分が本当は何に引っかかっていたのかが、少しずつ輪郭を持ちはじめる。


② 複数の視点や層を持ち替えて考える

一つの物事を、一つの視点だけで見ない。
たとえば「人間心理としてはどうだろう」と考えたあとに、「では経済合理性・生産性の観点ではどうか」と軸を持ち替える。
同じ出来事が、軸を変えるとまるで違う顔を見せることがある。
この多層的な往復が、理解のメッシュ(粗さ)を細かくする。



③ 理解できない他者の言動は、それが「どんな前提なら成立するか」を問う

もしかしたら、これが一番大事かもしれない。

人間関係において互いが「同じ理解」にたどり着けないとき、私たちはつい「あの人は考えがおかしい」と切り捨てる。
だが、そこで止めない。
相手の行動や主張が理解できないなら、「その人がどのような”前提”に立っていれば、その行動や主張が理解できる(納得感がある)行動になるのか」を言葉でこちらから埋めにいくのだ。

自分の円と相手の円は、初めは重なっていない。
しかしながら、相手が立つ「前提」、すなわち
・その人の常識
・その人の歴史
・その人が置かれる環境
・プライベートの生活など

これらを想像し、そこに歩み寄ると、自分の円が広がって、相手の円まで包み込めるようになる。

つまり、自分の理解の幅(や語彙)が広がり、表現できるものが増えるということだ。
「理解できない他者」は、自分を拡張してくれる貴重なキッカケでもある。

 *

このように、
・書き殴り
・階層で束ね
・多軸で眺め
・他者の前提を想像して埋めていく

すると、ある程度自力で、物事を体系的に整理できる。
そしていざ、その体系を眺めると、
・弱いところ(表現が不十分、不適切。また、理解が粗すぎるなど)
・足りないところ(そもそも言葉にしようとすらしていなかったエリア)
が浮かび上がる。
そこを、さらに言葉にするところまでがステップ1だ。


Phase 2 ——AI に、整理してもらう


自力で階層を作る(体系化)しようとすると、たいてい途中で詰まる。
・自分ではもう整理しようがない
・それ以上言葉で表現できない箇所が出てくる

そこで 、AI の出番だ(AIは、これまで戦略コンサルタントが得意としていたような「精緻な言語化」や「物事の秩序立った階層化」を得意とする)。

ただ、ここではまだ難しいことは頼まない。

これが◯◯に対する私の整理ですが、言語化ないし体系化を手伝ってください

この程度で良い。
Phase 1 で書き出した断片をAIに渡し、体系的に整理してもらう。
すると、自分だけでは絡まり手詰まりだった言葉の糸が、
・章立てされ、
・対応関係が見え、
「なんとなく理解がつく」状態に変わる。

ここまでで、もう十分に頭は軽くなる。
...... が、むしろ本番はここから。


Phase 3 ——賢人と共にあれ


ここが、今回紹介する手法の核心だ。

Phase 2 で整った内容を、今度は 哲学・心理学・社会学・生物学・文学が積み上げてきた「知の遺産」と交差させる。

ニュートンは「巨人の肩に乗れ」と言った。
あなたが一人で悩んでいる内容は、実のところ小さい。
同じ問いに、過去の賢人たちがそれぞれの領域で調べ尽くし、格闘し、言葉を残してきた。
その”膨大な語彙”の上に立って、自分のモヤモヤを整理し直してもらうのだ。

AIの優れたところは、そうした歴史上の賢人たちのアウトプット(著作、論文、作品など)を、学習済みであり、自在に出力できることだ。

 *

具体的には、
これまで各領域で語られてきた専門的な内容・思考の最先端を踏まえ、私の思考で至れていないところは修正・指摘し、足りないところは補足して、あらためて体系化してほしい」と頼むイメージ。

実際に使えるプロンプトは以下のとおり。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

以下は、私がある悩み・違和感について自分なりに言語化し、
体系的に整理したメモです。

―――
(Phase 2 で整理し終えた内容を貼る)
―――

このメモを、人類がこれまで哲学・心理学・社会学・生物学・文学などの領域で積み上げてきた知の遺産と交差させながら、以下の4ステップで整理・拡張してください。

【1. 体系化・学術的補助】
まず、私の直感や実感が、既存のどの概念・理論・思想家の議論に対応するかを「対応表」の形で示してください。
左列=私が使った生の言葉/右列=対応する概念(提唱者)
そのうえで、主要な対応をそれぞれ簡潔に解説してください。私の断片的な言葉が「どの概念の未整理版だったのか」が分かるように書いてください。

【2. ブラインドスポット(死角)の指摘】
私のメモに潜む「前提の罠」、論理の飛躍、見落としている視点を指摘してください。私が自明としている前提のうち、実は逆かもしれないものを名指ししてください。

【3. 構造的な反駁(異論)】
あえて私の説に反論を試みてください。私の思考をより強固にするため、最も鋭い反対意見を、思想家や作品を引きながら提示してください。慰めや同意は要りません。

【4. 再言語化】
以上を統合し、私の悩みを一段高い解像度で再構築してください。断片ではなく、全体の土台を持った体系として、章立てで記述してください。

制約:
- 迎合や慰めは不要。至れていない箇所は容赦なく指摘する。
- 抽象論で終わらせず、必ず固有名詞(思想家・概念・作品)で裏付ける。
- 最後に、私の最初の直感と食い違うであろう点を一つ挙げ、問い返してください。

↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑


アウトプットを受け取るとき、あなたは衝撃を受けるはずだ。

一つは、モヤモヤに言葉が付与される快さ
自分の生々しい苦悩や感覚が、固有名詞で裏打ちされていく感覚には、絵も言えぬ喜びがある。

もう一つは、理解のメッシュが決定的に細かくなる快さ。
思考が、浅く幼稚なものから、「確かな構造」と「正確な表現」を持つものに変わる。
また、思考が断片的なものではなく、全体の土台を持ち、その上で「自分が全体の中でどのエリアについて考えているのか」が分かる。


このプロンプトの肝は、③の「反駁」を命じることだ。
AI は放っておくと同意しがちで、慰めてくる。
だが「巨人の肩」に乗るとは、賢人に同意してもらうことではない。
賢人に、一度殴られることだ。
自分の説に”最も鋭い反対意見”をぶつけてもらってこそ、思考は鍛えられる。


まとめ


モヤモヤや不安を整えるには、まず言葉にし尽くすこと。
そのための有力な手段の一つが、今回紹介したこの3step だ。

・Phase 1:自分で書き殴り、階層ごとに束ね、複数の軸で眺め、理解できない他者には「どんな前提なら成立するか」を問うて、自分の円を広げる

・Phase 2:AI に、その断片を体系的に整理してもらう

・Phase 3:整った体系を、人類の知の遺産と交差させる。体系化・死角の指摘・反駁・再言語化の四点で、巨人の肩に乗る

 *

これらを一周すると、「何となく不快なこと」といった淡いことも、対策を導き出せる「具体的な問い」に変わる。

理解のメッシュは細かくなり、
語彙は増え、
白と黒の間の無数のレイヤーが見えるようになる。

もやもやは、片づけるべきゴミではない。掘るべき鉱脈だ。

次にあなたが名前のつかない感情に出くわしたとき、逃げずに、賢人と共にあってほしい。

読者の皆さまのより鮮やかな未来を祈って。
本日は以上です。


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このアカウントについて



もともと私は、繊細で考えすぎてしまう不器用なタイプの人間でした。

会議で手を挙げようとしても、「間違っていたらどうしよう」と思い、一歩が踏み出せない。
デキる上司の前で、緊張して言葉が出てこない。
海外拠点のメンバーからは、まくし立てられて、何とか片言で返事をするので手一杯。

できない奴」と思われることを恐れて、深夜まで仕事をし、何とか”作業量”でごまかしていました。

極めつけは、無名大学卒、TOEIC400台、加えて入社後にパワハラを受けるという、「初期値: ゼロ」の頼りなさすぎるスタート。
自信など、あるはずがなかったのです。……

ちょうど、その頃、私の逃避先だったのが「読書」でした。
ビジネス書というより、好奇心をくすぐるような変わった本を好んで読みました。

哲学、文化人類学、生物学、社会学、文学、芸術評論、などなど。……
実務とは何の関係もないはずのものでした。

が、不思議とその「関係ないもの」が、役立つものでした。

「あの会議での違和感は、この発想を軸にみると納得できる」
「この視点を踏まえて自分の動きを見ると、まだ〇〇が足りていない」
…… だからまず、xxに対して自分の行動を変えてみよう。……
といった具合です。

やがて気づけば、読了した本は500冊を超え、私はGAFAMのエリート社員と英語でタフな交渉をリード出来るようになっていました。

これは英語が話せるようになったからでも、地頭が良くなったからでもなく、
かけている「眼鏡」が変わったからだと分析しています。

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このアカウントは、その「眼鏡」を置いていく遊び場です。

いわゆる「ノウハウ」は少なめで、
何かを過度に売り込むことはしません。

代わりに、あなたが”当たり前”だと思っている視野を0.5歩だけ広げたり、ズラしたりする「発想」を、週に一度必ずおいていきます。

読了後、いつもの身の回りや職場が、少しだけでも違って見えたらなら「成功」と思っています。

もしあなたが、

・モヤモヤはあるけれど、うまく対策まで落とし込めずに悶々とすることがある
・多感で疲れ、一人になりたいときがある
・頭の中に考えはあるのに、会話のなかでうまく言葉にできず、言われるままになってしまう
・世の中の違和感を、誰かと分かち合いたい

このように少しでも考えていたら、おそらくここは、居心地がいい場所になると考えています。

実際私も、まだ探検の途中ですので
「これ面白くないですか?」と色々な”眼鏡”を渡しあえる仲間が増えたら本当にうれしいと感じています。

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