【keiko随想】春の香椎宮参拝記🌸神功皇后の御魂が宿る社へ⛩️
北部九州には神功皇后の足跡があちこちに残っています。
志賀島から船出し、宇美の地で子を産んだ。
香椎はその長い物語の、深く悲しい章にあたる場所です。
桜が咲き誇る春の日に、香椎宮を訪ねてからはや1か月以上が経ちます。
すぐそばに夏の気配を感じる今、神功皇后ゆかりの神社「香椎宮」に思いを馳せてみました。
🌸「香椎宮」桜咲くころ

福岡市東区に鎮座する香椎宮。
境内を埋め尽くす満開の桜は、まるで遠い神話の時代からの調べのように、優しく、そして厳かに私を迎え入れてくれました。
ここ香椎宮は、第14代天皇である仲哀天皇とその后の神功皇后を主祭神として祀る由緒ある神社です。
世界で唯一の建築様式である「香椎造」の本殿は、国の重要文化財に指定されており、境内には御神木である「綾杉」や、名水百選にも選ばれた霊泉「不老水」といった伝説ゆかりの史跡が数多く点在しています。
ここを訪れるのは2度目。
桜に彩られた大鳥居を目にした時、なんとなく背筋がすっと伸びるような気がしました。
🌸大鳥居から楼門まで

「官幣大社 香椎宮」と刻まれた石柱が鳥居のそばに静かに立ち、その背後には満開の桜が淡いピンク色の帯のように広がっています。

大鳥居をくぐると、左手にしょうぶ池が広がり、その池の中之島に弁財天社が鎮座しています。
池の緑深い静けさの中に朱色の小さな社が浮かぶ様子は、境内に入ってすぐ目に入る印象的な光景です。
弁財天社の御祭神は市杵嶋姫命(いちきしまひめのみこと)で、財運・開運招福・芸能上達の御神徳があると伝えられます。
まずは参拝をすませて、周辺の景色を楽しみました。


池には色とりどりの鯉たちが、暖かな春を味わうように優雅に泳いでいました。

参道の先に見える鳥居の向こうには、明治36年(1903年)に再建されたとされる楼門が桜に装飾され、その壮大な姿をより美しく際立たせています。
やや緊張した心持で本殿に向かうべく、境内を進みました。
🌸御神木「綾杉」との再会

楼門をくぐると圧倒的な存在感で天を突く御神木「綾杉」が目にとびこんできます。

平日にもかかわらず、大勢の参拝者が綾杉の周辺で写真撮影をし、手を合わせる姿が印象的でした。

神功皇后が海外への出兵から無事帰還された際、本朝鎮護の祈りを込めて鎧の袖の杉枝を植えられたと伝わるこの大杉は、新古今和歌集にも詠まれるほどの永い歴史を刻んできました 。
その前に佇んでいると、自分が重ねてきたこれまでの歳月さえも優しく肯定され、背中をそっと押されるような静かな勇気が湧いてきます。

ここ香椎宮は、第14代・仲哀天皇とその皇后である神功皇后の「夫婦の神様」を主祭神としてお祀りする、全国でも極めて稀な霊廟を起源とする神社です 。
かつては最高位の官幣大社であり、今なお10年に一度、天皇陛下からの使者である勅使を迎える全国16社の「勅祭社」の一つとして、格別の格式を誇っています 。

境内にひっそりとたたずむ木造の社がありました。
武内神社です。
神功皇后の最も信頼した家臣、武内宿禰を祀るお社です。

五代の天皇に仕え、三百余歳の長寿を保ったという伝説の人物。
神功皇后が夫を失い海を渡る決断をしたあのときも、きっとこの人が傍らにいたのだと思うと、古びた木肌がにわかに温かみを帯びて見えてきました。

本殿は724年に建立され、1801年に第十代福岡藩主黒田斉清(長頼)により再建された「香椎造」という名の日本唯一の建築様式です。
入母屋造平入に切妻屋根が複雑に連結し、正面の大千鳥破風、左右の車寄せなど、変化に富んだ造りとなっています。

「綾杉」の先には五穀豊穣・商売繁盛・殖産興業の御神徳があるとされる稲荷神社と、修理固成・五徳向上・養鶏・育児夜泣きの御神徳があるとされる鶏石神社が鎮座しています。

広い境内は多くの人が、四季折々の自然を楽しめるようきれいに整備されていますが、桜の時期は特にその美しさを際立たせる季節と言えるでしょう。
🌸参拝を終えて

境内を一巡した後、参拝者駐車場方面に来てみると、満開の桜が今が本番と言わんばかりに咲き誇っていました。

ここでは、お弁当を広げてお花見をする人たちや、車を止めて桜見物を楽しむ人たちが、春のひと時を心ゆくまで味わっているようです。

案内板を見ると、まだまだ見どころがたくさんあり、次回ゆっくりと訪れてみようと心に決めて帰路につきました。

参拝を終えた後は、大正時代に奉献されたという約800メートルに及ぶ楠木の並木が美しい参道(勅使道)をのんびりと歩きました 。
柔らかな木漏れ日が揺れる舗道を一歩一歩進むひとときは、歴史のロマンに火照った心を穏やかに鎮めてくれます。

参道沿いに温かく佇む「珈琲豆屋 Nanoの木(なんのき)」さん。
前回参拝した時もここでコーヒーをいただいたのですが、そのおいしさが忘れられず、今回も迷うことなくカフェタイムを楽しんできました。

鹿児島本線の踏切付近に大鳥居があり、すぐそばには「頓宮」があります。
頓宮とは、お祭りの際に出御した神輿が一時的に滞在するための「仮宮」のことで、香椎宮の頓宮は「香椎宮浜殿」とも呼ばれているようです。
ここ頓宮へも立ち寄りたかったのですが、次回の楽しみとすることにしました。
満開の桜に見送られながら、神功皇后という一人の女性の生きざまに思いを馳せて訪れた香椎宮参拝という小さな旅を終えました。
🌸まとめ
神功皇后は古事記や日本書紀にその名が記されており、かつては「神功皇后=卑弥呼」説が唱えられた時代もありました。
史実か伝説かという問いは、学者たちにお任せしておきましょう。
夫を亡くし、まだ見ぬ子を宿しながら、海を渡ることを決めた一人の女性「神功皇后」を思いながら歩いた境内の静けさ。
その静寂の奥に、そんな人間の強さのようなものが、ひっそりと宿っている気がしてなりませんでした。

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