⑭バーゲン航空301便 墜落事故(1996年2月6日、乗客乗員189名全員死亡)
1 事故発生に至るまでの状況
ドミニカ共和国のアラス・ナショナル航空のALW301便は、「ラスト・ミニッツ」と呼ばれる出発間際でも空港窓口で申し込める格安ツアーのチャーター便で、トルコのバー ゲン・エア・アビエーション・チャーター・グループからリースしたB757を使用し、乗員13名(運航乗務員は、正・副操縦士及びジャ ンプ・シートに位置する交代機長(リリーフ・キャプテン)の計3名)、乗客176名を乗せていた。
現地時間23:40、ドイツのフランクフルトに向け、ドミニカ共和国の街、 プエト・プラタのジェネラル・グレゴリオ・ルペロン国際空港を飛び立とうとしていた。301便は、同空港を離陸後、計器飛行方式で夜間洋上を飛行し、カナダのニュー ファンドランド島(ガンダー)で給油後、ベルリン経由でフランクフルトに向かう予 定であった。なお、乗客の大半はドイツ人観光客で、帰国途中に事故に遭遇することになった。

301便の出発から遡ること2時間半前、バーゲン航空の運航部門は、当該B757の乗員を急遽呼び出した。301便としての運航を予定していたB767に故障が発生し、 代替機と乗員の変更が必要となったためであった。機体が大急ぎで準備され、アサインされた乗員は22:15頃に現地に到着したが、客室乗務員1名が遅れたため、出 発が更に1時間遅れることとなった。
かくして、23:42:11、301便は離陸滑走を開始した。
その後の、CVR(ボイス・レコーダ)に記録された内容は以下のとおりであった。
管 制 塔:良いフライトを!
≪エンジン音が高まる≫
副操縦士:パワーセット
機 長:副操縦士 オーケー、チェック
副操縦士:80kt
機 長:チェック、
こちらの速度計の指示が動いていない!
副操縦士:ええ、ちゃんと計測されていませんね。
120ktです。
機 長:そちらは大丈夫?
副操縦士:はい
機 長:それじゃ、速度を教えてくれ
副操縦士:V1(離陸決心速度)…。ローテイト(rotate:離陸滑走開始後、
操縦桿を引いて機首を引き起こす操作のこと)
機 長:ポジティブ・クライム、ギア・アップ
≪ギア・ハンドル作動音≫
副操縦士:フラップを上げる速度です。
機 長:フラップ、5度…、1度…、アップ
機 長:速度計が動き出した。
≪23:42:27 ≫
離陸滑走中、機長席の対気速度計が正常ではなかったため、機長は副操縦士に正常と思われる副操縦士席の速度計指示値の読み上げを指示し、飛行を中止する必要はないと考え、離陸継続を決心した。
離陸開始から約2分後の23:44:07、301便は、3,500ft、273ktに達しており、 機長はオート・パイロットをエンゲージするよう副操縦士に指示した。
23:44:25、EICAS(Engine-Indicating and Crew-Alerting System) に 「RUDDER RATIO」及び「MACH/SPD TRIM」のメッセージ( 「ラダー・レシオとマッハ数/速度に注意せよ」というメッセージで、この「ラダー・レシオ」は、高速になるとラダー(方向舵)の効きが増すので、その操舵に対し、機体が過敏に反応すること、垂直尾翼に過大な空気力がかかり構造に過負荷がかかることを防ぐため、ラダーの 動き(舵角)を制限することに注意を促すもの)が表示され、その3秒後に、再び対気速度計の異常に見舞われた。
機 長:何かおかしいぞ。オーケー、トラブルだ、見たか?
副操縦士:故障してますね。
私の速度計では、僅か200ktです。
どんどん減速していきます。
≪データ・レコーダでは、このとき、5,344ft、327kt、ピッチ角15.1°≫
機 長:速度計が左右で違うけど…。どうする?
サーキット・ブレーカをチェックしよう!
副操縦士:はい!
機 長:飛ぶ前だな
つまり、地上にいる時に何かがあったんだ…
この速度計はもうダメだ!
交代機長:サーキット・ブレーカをリセットしますか?
機 長:ああ、そうしてくれ。
交代機長:原因を探るためですか?
機 長:そうだ!
≪23:45:04≫
機長は、「飛行機を長いこと地上に置いておけば、エレベーターが左右でズレるとか、何か起こるのは普通だ。(EICASのメッセージは)誤報だ!」と言った。しかし、再度の対気速度計異常から1分後の23:45:28、301便は、6,688ft、 352kt、ピッチ角15.1°、オート・パイロットがエンゲージの状態で、「オーバー・ スピード警報」が鳴った。
機 長:大丈夫だ、大したことじゃない、気にするな!
速度を減らして。それから…
≪「オーバー・スピード警報」のサーキット・ブレーカを抜き、その結果、オー バー・スピード警報」音が止む。DFDR(データ・レコーダでは、このとき、7,040ft、 349kt、ピッチ角14.8°≫
副操縦士:現在、350ktです。
機 長:とすると…
≪23:45:52≫
これ以降、CVRの録音終了までの間、4種類の警報音と失速を警告するスティック・シェーカの振動音が続いた。 301 便は、7,132ft、323kt、ピッチ角18.3°の状態で、突如として両エンジンの パワーが上がり、EPR(Engine Power Ratio:タービン排気圧力とコンプレッサ入口圧力の比)値が左エンジン1.144、右エンジン1.152から、5秒後にはそれぞれ、 1.162、1.585 に上昇、ピッチ角が21°に達したところで、オート・パイロットがディスコネクト(解除)され、ピッチ角が21~5°の間で変動した。機体は上下に激しく 揺れ動き、操縦室内は大混乱に陥った。
副操縦士:機長…、機首を下げて!
交代機長:ADI、ほら…
副操縦士:パワー(上げて)
機 長:オート・パイロットは切ってある?
副操縦士:もう切っています。切ってますよ、機長!
機 長:上がらない? じゃぁ、どうすればいいんだ?
副操縦士:水平飛行ですよ、高度はオーケーです。
この高度を維持します。
機 長:ああ、維持してくれ!
副操縦士:高度を維持します、5,000ft
機 長:パワー・レバー、パワー、パワー、パワー、パワー!
≪23:46:31≫
301便は、5,984ft、193kt、ピッチ角14.4°で、エンジン・パワーは再び絞られ(EPR値は左1.162、右1.146)、操縦室は危機的事態に陥った。機長は、 「降下できない、どうすればいいんだ?」と言い、副操縦士は、「降下をやめて下さ い! ALT HOLDに入れますよ」と答えた。それから約20秒後
≪23:46:52≫
機長は、パワー・レバーの位置を尋ねた。
副操縦士:絞ります。
機 長:パワー、絞るな、絞るな、絞るな、絞るな!
副操縦士:分かりました、(スロットルを)全開にします、
全開…その5秒後
≪23:46:57≫
両エンジンのEPRの値は左1.523、右1.646に達し、 推力は上がったが、その2秒後には、左エンジンの推力が急激に低下した(EPR値 1.089)。
機 長:戻すな、頼むから戻さないでくれ!
副操縦士:全開にします、機長、全開…
≪23:47:03≫
301便は3,500ft まで降下、ピッチ角は-53.5~ -80°まで下がっていき、左右のエンジン・パワーが揃わないまま、バンク角は-99.8°(左バンク)にまで達していた。
交代機長:機長、上げて下さい!
機 長:何があったんだ?
副操縦士:あー、何があったんだ?
副操縦士:今のをもう一度やろう…
【録音終了】
≪23:47:09≫
301便は、高度 2,368ft、ピッチ角-17.6°、バンク角-9.0°の状態になった 時点で、GPWS(対地接近警報装置)の警報音“WHOOP, WHOOP, POLL UP”が鳴り始めた。その後も 姿勢を変化させながら降下し、2秒後、プエルト・プラタ北西14NM の大西洋に、ピッチ角-34.3°、バ ンク角-34.6°で激突し、機体は衝撃で全壊したのであった。
~ システムと人との不整合が、新たな事故を起こす ~
2 事故調査の概要
この事故は、DFDRとCVRが回収されなかったとしたら、 原因不明になっていたかもしれない。
墜落現場は、海岸から約8NM(15km)の大西洋洋上だった。破片は、3km四方に渡って散らばって浮遊しているのが発見された。この海域にはサメが多く、水深は1,400m以上と深いため、米国沿岸警備隊とドミニカ軍による救助活動は困難を極め、80名の遺体と機体の残がいが一部回収されただけであった。
DFDRとCVRは、水深2,200mの海底に沈んでいた。事故から約3週間後の2月28日、約6,200mまで潜水可能な米海軍の深海救助艇CURVⅢが出動して、光ファイバー・ケーブルによるリモート捜索を行った。わずか2時間の捜索で、両記録装置は回収され、直ちにワシントンのNTSBに送られた。
空港の施設、航空交通管制業務、空地無線交信は正常に機能しており、事故の要因ではなかった。回収されたDFDRから得られたデータの分析では、301便は墜落までの間、火災、爆発などの異常が発生した形跡はなく、エンジンや操縦系統は正常であったと認められたものの、対気速度が335ktとなっており、レー ダーの航跡から計算した速度よりも、かなり速いことが判明した。
また、CVRからの分析では、墜落の瞬間まで失速の警報音が鳴り続けてい ることから、実際の飛行速度よりも過大に表示された速度計の値を、実際の対気速度と信じ込んだため失速状態となり、状況を把握できないまま、失速状態から脱することができず、墜落に至ったと推察された。
3 操縦上の問題
離陸滑走中、副操縦士がエンジン・パワーと飛行計器の作動状況をチェックするため、自分の速度計を読んで、「80kt」とコールした際、機長は「チェック。こちらの速度計の指示が動いていない!」と答えたにも関わらず、副操縦士に速度の読み上げを指示し、離陸を継続した。ドミニカの事故調査委員会による調査では、80ktから停止するには2,280ftあればよく、V1から離陸中止(RTO: Reject Take Off)をしたとしても、十分な余裕を残して停止ができたことが判明した。
DFDRの記録によると、23:42:27、機長は離陸中に不作動状態だった速度計が、「動き出した」と言った(この際、機長席側計器では、 高度約500ft、速度約120ktであった。)。この、一見正常な速度表示に一時的な回復したように見えた状況が、機長に速度計の指示不良から注意を逸らすことにつながってしまった。
その約2分後の23:44:25、EICASに「RUDDER RATIO」及び「MACH/SPD TRIM」のメッセージが出た際、機長は、「何かおかしいぞ! オーケー、トラブルだ。 見たか?」と言ったが、クルーは、メッセージの意味や対応措置の確認を実施しなかった。この時点で、機長席側速度計は327ktで、副操縦士席側は200ktから減速していた状況であったから、運航乗務員のうち一人でも、スタンバイ速度計かEFIS(Electronic Flight Instrument System)の対地速度と比較していれば、機長席側速度計の異常に容易に気付くはずであった。
事故機には、次のとおり、速度情報を表示する計器が5つあった。なお、DFDRに記録される速度は、この中では機長席側のADC (Air Data Computer)が算出した対気速度①だけであり、対地速度はIRS (Inertial Reference System)から算出したものである。
① 機長席側対気速度計
② 副操縦士席側対気速度計
③ スタンバイ対気速度計
④ EFIS 左側に表示される対地速度
⑤ EFIS 右側に表示される対地速度

(ピトー管で得た全圧データから、静圧孔で得た
静圧データを差し引くことで、対気速度を得る。)
この約30秒後の23:45:04、機長が、「飛行機を長いこと地上に置いておけば、エ レベーターが左右でズレるとか、何か起こるのは普通だ。(EICASのメッセージ は)誤報だ」と他のクルーに言ったことは、事故の原因を象徴するものだ。この機長の発言の後、驚くことに、19秒間の沈黙が続いていた。この操縦室内を支配するかのような機長の発言に対し、ジャンプ・シートに位置していた交代機長が、 「サーキット・ブレーカを抜いて、様子を見ようか?」と反応するので精一杯の状況であった。しかし、実際には、機長か副操縦士のいずれかが、この沈黙の間にパワー ・ レバーを絞り、操縦桿を引いたことで、ピッチ角15°以上に増加していく状況が データ・レコーダに記録されており、この時点でも、機長席側速度計の異常に容易に気付く機会はあったのだが、逸してしまうことにつながった。
その後、23:45:52、「オーバー・スピード警報」が鳴り、その直後に失速警報音が出た際にも、直前の飛行諸元は、機長席側計器で高度7,040ft、対気速度349kt、ピッ チ角14.8°(バンクなし)に達していたから、姿勢指示器を見るだけでも、機首上げ姿勢であることが容易に判断でき、機首を下げれば姿勢の回復は容易だったはずである。しかし、機長が、オーバー・スピードの(誤)警報の指示にしたがって、副操縦士に計器を確認させることもなく、「大丈夫だ、大したことじゃない、気にするな。 速度を減らして」と指示したことにより、一層深刻な事態へ突入することが不可避となった。
その5秒後、ピッチ角が21°に達し、オート・パイロットがディスコネクトされたところで、副操縦士が「機長…、機首を下げて!」と言ったこと、交代機長が、 2 回にわたって「ADI(Attitude Director Indicator)」と言ったことが、最後に残された望みであったが、クルー間のちぐはぐな会話により、重要な言葉が聞き漏らさ れてしまった。機長は、慌ててエンジンのスロットルを最大にし、その判断は間違いではなかったものの、既に遅すぎた。
総じて、ピッチ角が高くなったこと、 操縦パネルに表示された速度情報に注意さえすれば、失速を回避することは可能であったが、クルーが状況確認や対処方法を話し合う様子、コミュニケーション(CM)やチーム・ワーク (TW)などCRM(ノン・テクニカル・スキル:NTSともいう)訓練の成果を発揮する姿は、権威勾配の影響に隠れてしまい、全く認められなかった。
しかし、それだけで操縦不能となり、墜落に至ったわけではない。クルーに、 航空機のシステムの理解が不足していたこと(設定したオート・パイロットのモー ドでは、後述する詰まったピトー管からの速度情報を使用していたため、ADCには速度が過大に入力されることとなり、自動的に速度を減らすため、機首上げ状態で、エンジン・パワーが絞られていたこと、EICASの(誤った)メッセージもこれによるものだとクルーが理解できていなかったこと、そもそも運航手順に反し ていたこと(速度計が不作動の状態で離陸を継続したこと)の方が、寧ろ直接的な原因だったと言えよう。なお、クルーの遺体は収容できなかったので、司法解剖による調査は、不可能であった。
4 整備の問題
301便として使用された機体は、飛行直前の20日間、地上に駐機された状態にあった。この間、エンジンの試運転は実施されていたが、機体製造メーカーが推奨するピトー圧・静圧系統の試験を行っていなかった。事故機のピトー管は回収できなかったので、同系統が正常に作動しなかった詳細な原因は特定されなかった。だが、事故調査において、ピトー管が詰まった状態でのシミュレータによる検証や計算上で再現を試みたところ、DFDRの諸元と一致した。事故調査委員会は、ピトー管の詰まりは、駐機した際、ピトー管にカバーを取り付けなかっ たことにより、雨水の浸入で泥が詰まったか、昆虫が巣を造ったことによるものと推定したのであった。
5 事故調査の結果
対気速度が増加するという誤指示、オーバー・スピード警報により、クルー間に混乱が生じたことで、ステック・シェーカの作動を、失速が間近の警報として正しく認識ができず、初期の失速状態から回避操作を行わなかったことが、事故の原因であったと結論付けられた。
また、次に示す一連の事象が、事故発生に関与する要因となったと指摘した。
① クルーの規律、CRM、プロシージャの遵守、飛行のベーシックな能力
② クルーの知識不足
(航空機システム、対気速度の指示、オート・パイロット、プロシージ
ャ、Alternate Source選択、対気速度計の指示が信頼できない場合の飛
行)
③ 整備の実施方法:機体を地上に駐機させていた期間に、バーゲン航空の
整備士が基準どおりカバーを取り付けなか ったこと、長期間に亘る駐機
にも関わらず、機体を運航状態に戻す前にピトー系統の試験を行わなかっ
たこと
更に、その他の要因として、以下が挙げられた。
④ 当該クルーが急に呼び出された結果、身体的にも精神的にも休息が十分
ではなく、飛行業務に就ける状態ではなかった可能性がある。
⑤ バーゲン航空の訓練には、CRM訓練が含まれておらず、また、訓練が
複数の外部機関に委託されて統一性が無く、運航乗務員の能力が最大限に
生かされなかった。
⑥ EICAS に「RUDDER RATIO」と「MACH/SPD TRIM」の両方が表示された
場合は、対気速度が正しくないこととの関連がボーイング社のマニュアル
に記載されていなかった。
⑦ B757/767 の EICAS表示には、対気速度の信頼度低下を感知した場合の
CAUTION又はWARNINGが含まれていない。
6 事故調査報告書に対する反論
ドミニカ共和国政府の事故調査報告書に対して、トルコ航空局及びバーゲン航空は、次のような反論を行った。
① 事故発生は公海上であり、 調査管轄権は事故機の登録国であるトルコ
にあるにも関わらず、調査資料の提供や協議に不備がある)。
② 離陸を継続したことは、機長に許された裁量の範囲内。
バーゲン航空の運航規定や訓練マニュアルに書かれたRTO 条件に速度は
含まれていない。
③ 滑走路末端には、岩がゴロゴロあるし、空港の消火救難体制もお粗末
で、 RTOしなかった機長の判断は責められない。
④ EICAS の「RUDDER RATIO」及び「MACH/SPD TRIM」は、アドバイザリ
ーのメッセージで、CAUTIONやWARNINGではない。警報に対処しなか
ったかのような記述は誤解を生む。
⑤ クルーが、原因を探究しなかったというのは誤りで、突き止められなか
ったのは、運航規定の不備である。失速への対処も含め、クルーは運航規
定どおりの措置を行った。
⑥ クルーは、FAAが認定した訓練施設で訓練を受け、合格していた。
⑦ CVR音声記録の“Alternate”をスタンバイ速度計を視認していたと解釈す
るのはるのは誤り。“Air Data Source”の切り替え(機長席側速度計の入力
源を副操縦士席側のADCにつなぎ替える操作)を意味する。バーゲン航
空でもどこでも “STBY” を “Alternate” とは言わない。
⑧ CRM訓練は、義務ではなかった。
⑨ 駐機の期間は20日ではなく12日の誤り。事故2日前のエンジン試運転ま
では、ピトー管のカバーも装着されていた。
⑩ ボーイング社の整備マニュアルでは、ピトー系統のチェックが必要だと
は明確な形で規定していない。保存整備(非可働機の品質低下防止措置)
の定義や要件も曖昧である。
⑪ グランド・ハンドリング(空港での地上作業)を行ったAirline Services
社と契約したのは、リース先のアラス・ナショナル航空であり、バーゲン
航空の責任ではない。
ドミニカ共和国政府が事故調査を速やかに行った点は評価できるものの、上述の反論内容には同国政府による報告書が言及していない点も含まれているため、もし事故機登録国のトルコ航空局及びバーゲン航空と事故発生当初から緊密な連携が図られてい たら、事故の教訓は更に多くのものが得られたに違いない。
ICAO(国際民間航空機関)の国際民間航空条約第13付属書「航空事故及びインシデント調査」第5章「いかなる国の領域にも属さない区域で発生した事故又は重大なインシデント」には、次の規定がある。
「5.3 登録国は、事故又は重大インシデントの位置がいかなる国の領域内であるかを明確に決定できないときは、事故又は重大なインシデントの必要な調査を開始し、 実施しなければならない。しかし、その調査の全部又は一部を相互の取決めと合意により他国に委任することができる。 」「5.3.1 公海における事故の現場に最も近い国は、可能な援助を行うとともに、登録国の要求に応じなければならない。」
■ 参考資料
全日本空輸株式会社 総合安全推進委員会事務局
『Contiributing Factors(Vol.1)』 (1998年)
遠藤浩『ハイテク機はなぜ落ちるか』講談社ブルーバックス(1998年)
デイビッド・ゲロー(清水保俊 訳)『航空事故(増改訂版)』
イカロス出版(1997年)
マルコム・マクファーソン(山本光信 訳)『墜落!の瞬間』
ソニー・マガジンズ(2002年)
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