憧れの昆虫食PART2〜甘露煮は最強の調理法〜

前回に引き続き昆虫食のレビューをしていきたいと思う。
なぜ僕が昆虫を食べることになったのかは、前回の記事を読んでくれるとありがたい。
簡単に言うとティモンとプンバァとベア・グリルス、この御三方の影響だ。
用意したのは昆虫ミックスと幼虫ミックスと㊙︎のラスボス。
前回、昆虫ミックスを食べてみて全体的にあまり美味しくなく、スーパーワームという虫に関しては鶏のチャボの臭いがしてテンション駄々下がりだ。
幼虫ミックスの袋を手に取り、開封しようとするが手が震えて上手く開けられない。
これがトラウマというやつだろうか。
虎も馬も好んで食べない虫を食べようとしているヒト科ヒト目ヒト。
だが、成虫ではなく幼虫なら美味しいのではないかという一縷の望みにかけて袋を開封した(チャボ臭いスーパーワームは幼虫なので、美味しくない幼虫もいることはこの時既にわかっていたのです…)。

幼虫ミックスを開け、理科の時間に習ったアンモニアの嗅ぎ方で恐る恐る匂いを嗅いでみる。
あーっ!チャボがいる!
開口一番にコケコッコーだ。
勘弁してくれよ、こちとらスーパーワームの恐怖が頭にこびりついて忘れられねえのよ…。
三歩歩いたら忘れる鶏が羨ましいっすよ…。
しかし、開封した手前食べないわけにはいかない。
この命を無駄にしたら既に僕のお腹の中にいる昆虫ミックスたちも怒るだろう。
つまり僕の腹の虫の腹の虫がおさまらないってわけさ(マトリョーシカかな?)。
くだらないこと言ってないで中身を取り出そう。
幼虫ミックスは以下のラインナップだ。
ミルワーム、カイコ、サゴワーム、そしてチャボでおなじみスーパーワーム。
カイコとスーパーワームに関しては昆虫ミックスにも入っていたので、新顔はサゴワームとミルワームの二種。

まずはミルワームから試してみることに。
ミルワームは小さくて細長く、釣りの餌みたいな見た目だ。
小さいので大量に入っている。食欲はそそられない、なんてたって釣りの餌だ。
いっそのことこれで釣りをして魚を食べたい。
しかし、これを食べればエッセイのネタになるぞ!という甘い誘惑に打ち勝つことはできず、目の前にぶら下がっている餌付きの針にパクリと食らいついた。
おっ!見た目のわりに美味し……クッサ!!
来た来た来た!チャボが来たっ!
噛めば噛むほど全速力でチャボがこちらに向かってやって来る。
まんまとミルワームに釣られて哀れなり。
誰か今の僕の悶絶している表情の魚拓をとってくれ。
戒めとしてテレビの上の壁に貼って生活することを誓うよ。

さて、気を取り直して次はスーパーワーム…。
取り直した気をまた失いかけたのは言うまでもないだろう。
スーパーワーム警戒アラートが僕の頭の中で響き続けている。
自分の防衛本能に従うべきだ。
ここはチャボがやって来る前にコーラで流し込む作戦で突破した。
コーラがこんなにも頼もしい日は他にないだろう。
コカコーラさんありがとう。大好きです。
「チャボだからコケコーラかもしれない」なんて戯言が一瞬頭をよぎったのはここだけの話にしてほしい。
チャボが脳にまで届いてきてしまっている。重症だ。
続くカイコも昆虫ミックスで食べたのでコーラで流し込んだ。カイコカコーラだ。

さて、次は幼虫ミックス最後にして最大のサゴワームさんだ。
みなさん、できればサゴワームをネット検索していただきたい。
これぞ幼虫といったようなブリンブリンの丸っこい見た目。
これこれ!ティモンとプンバァでよく見るようなやつ!
正直今回はサゴワームさんのためだけに昆虫食に手を出したと言っても過言ではない。これが食べたかったのだ。
幼虫ミックス入っているものはブリンブリンしてなくショボくれた見た目になっているが、それでも他の幼虫に比べると大きい。
念願のサゴワーム…。今まではただの前座、ここから僕の昆虫食生活が始まるのだ。

「いただきます」

奥歯で噛み締めると、見た目の通りに中身が詰まっている。
肉厚だ。今までの虫よりも肉感がすごい。
そして肝心の味は…。
うん、可もなく不可もなくだ。
そんなことより聞いてほしいことがある。
奴だ。奴がいる。
噛めば噛むほど近付いてくる奴の気配。
皆さんお待たせしました。
そう、チャボさんのご登場です。
僕知らなかったよ。
チャボはどこにでもいるんだね。
スーパーワームにも、サゴワームにも、そして貴方の心にも…。
誰か今すぐカーネルサンダースを呼んでこい。
かの有名な白ひげステッキチキン紳士の前ならチャボだって一目散に逃げていくことだろう。
圧力鍋で高温で揚げておしまいっ!

いや〜、悲しいっすね。
虫ってもっと美味しいものだと思ってましたよ。
でも、冷静に考えればわかることだったはず。
美味しかったら世間一般に普及してますものね。
身体に有害な芋を手間暇かけてこんにゃくにしたり、猛毒を持つフグを試行錯誤して食べる我々日本人。
そんな食に対する執念が強い民族である日本人でも虫は食べないのが基本なのだ。
そりゃあ、そんなに美味しくはないっすよね…。
そう考えると、時には生で虫を食べるベア・グリルス氏は本当に尊敬できる人物だ。
今回は憧れだった昆虫食が残念な結果に終わってしまった。
しかし、この苦い体験も僕を形作る "貴重なタンパク質" として生のまま摂取していかなければならないのだろう。

などと、綺麗に締めようとしているが、皆さんお忘れではないだろうか。
まだ㊙︎のラスボスがいることをっ…!!
えー、大変長らくお待たせいたしました。
最後にご登場するのはこのお方、"蜂の子の甘露煮" さんです!
わー!パチパチパチパチ!
いよいよ、来てしまいましたね。
我ら日本人にとっても馴染みが深い昆虫食「蜂の子」ですよ!
これも昔から食べてみたかった。
よくテレビ番組とかで蜂の子が食べられるのを見て、テレビの前の大橋少年は生唾を飲んでいたものだ。
その憧れの蜂の子が今目の前にある。
さっそく瓶詰めされている蜂の子を開封する。
うわっ、すっげえや…。
瓶の中には蜂の子がびっしりと詰まっていた。
中には成虫になりかけている個体もある。
そんな成虫になれずじまいの彼と目が合ってしまって少し気まずい…。

さて、食レポ開始だ。
完全な幼虫の方は醤油色に染まりプニプニしている。
先ほどまで食べていた昆虫、幼虫ミックスはカラカラに乾いていたが、こちらは生に近い感触があるのだ。
ただでさえチャボで参っているのに、蜂の子まで不味かったらまさに泣きっ面に蜂。
一番上の一匹を箸で慎重につまんで口に運ぶ。
奥歯でひと噛みした瞬間、口に広がる醤油の風味。
そして、蜂の子の甘さのあとに残るほどよいほろ苦さ。
チャボは……いないっ!
うまいっ!蜂の子はうまいっ!
クセが少しもないと言えば嘘になるが、蜂の子の独特な風味を甘露煮の味付けが上手く上書きしている。
成虫になりかけの方も同じような味だが、こちらは外骨格がしゃくしゃく食感で心地よい。
外骨格に少しのチャボ味を感じたが、コケコッコー!と主張が激しくはないので目をつぶってやろう。
しかし、この味どこかで食べたことがある。
なんだろうと記憶を辿っていたら思い出した。
シジミの佃煮の味だ。
後味のほろ苦さがシジミの佃煮のほろ苦さに似ているのだ。
これはご飯が進むやつだ。
米を炊いていないのが悔やまれる。

今回、憧れていた昆虫食を経験してみて様々な発見があった。
まずは虫にはチャボが潜んでいるということ。
そして、甘露煮は偉大な調理法だということだ。
スーパーワームも甘露煮にしてしまえば食べられるのかもしれない。
チャボも甘露煮にしよう。これでカーネルおじさんを呼ばなくても良い。
昆虫食という素晴らしい経験は、間違いなく僕の中で貴重なタンパク質として血肉に変わっていくだろう。
そして、昆虫食の夢を叶えてまた一つ、新たな夢ができた。
それはベア・グリルス氏に蜂の子の甘露煮を食べてもらうことだ。
"ハナクソ" や "膿" などが出てくる彼の食レポでは、蜂の子の甘露煮はどう評価されるのか気になるところである。



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