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衣食住という、いちばん確かな幸せ #48

「最近起きた小さな幸せを3つ」。

そう問われて、私はあらためて、自分の足元を見つめ直してみた。

声を大にするような出来事は、何ひとつ思い浮かばない。けれど、考えてみれば、いつも私を静かに支えているのは、ごく当たり前の三つだった。衣・食・住。つまるところ、それに尽きる。

一つめは、「衣」。私は、新調した一着より、着古した一枚のほうが好きだ。何度も袖を通し、すっかり身体になじんだシャツに腕を通すとき、ふっと心がほどける。朝、洗いたての服が、きちんとたたんで置いてある。

たったそれだけのことが、なんだか嬉しい。寒い日に暖かく、暑い日に涼しい。それ以上を、私はもう望まない。

二つめは、「食」。豪華な料理である必要は、まったくない。炊きたてのご飯に、味噌汁が一杯あれば、それでいい。あたたかいものを、あたたかいうちに食べられる。それが、しみじみとありがたいのだ。今日も無事に、一日三度の食事にありつけた。考えてみれば、これほど確かな幸せもない。

三つめは、「住」。一日の終わりに、帰る場所がある。明かりを灯せば、見慣れた部屋が、変わらず迎えてくれる。夜、自分の布団にもぐりこみ、安心して眠りにつける。そして朝、また同じ場所で目を覚ます。雨風をしのぐ屋根があるというのは、当たり前のようでいて、実は途方もない恵みなのだ。

衣・食・住。こうして並べてみれば、なんと地味な三つだろう。けれど私は、これこそが幸せの土台だと、本気で思っている。

幸せとは、特別な誰かや、特別な出来事が、どこかから運んでくるものではない。衣食住が足り、無理のない暮らしが、つつがなく続いていく。そのことを「ありがたい」と思える心さえあれば、人はもう、十分に幸せなのだ。

若い頃は、もっと多くを欲しがった。あれもこれもと手を伸ばし、手に入れては、また次を求めて落ち着かなかった。

けれど年を重ねて、ようやくわかってきた。欲を一つ満たすたびに、欲はまた一つ増える。きりがないのだ。むしろ、いま手のなかにあるものを数え、それで足りると思えたとき、人ははじめて、ほっと肩の力を抜ける。

結局のところ、幸せかどうかは、自分が決めればいい。背伸びをせず、足るを知る。今日も無理なく、一日を終えられた――そう思えたなら、それが私にとって、何よりの小さな幸せなのである。


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