私の秘密道具(耳ビジnote部)
私の秘密道具はClaudeである。2023年3月の公開と同時に使い始め、3年になる。
当時のAIはひどかった。1,000文字も打てばアップアップで、それ以上は会話が崩れた。私がClaudeを選んだ理由は簡単だ。文字数の処理量が他より多かった。それだけである。
いまでは「Claudeは日本語のニュアンスを理解する」というもっともらしい説明が並ぶ。私もその効用は否定しないが、選んだ理由はそこではない。ChatGPTやBardが1,000文字の日本語で壊れるのを、Claudeは何千文字でも処理できた。
2023年5月、Claudeの処理枠は10万トークンに拡張された。当時のChatGPTは4,000トークン前後である。日本語は1文字がほぼ1トークン以上を食う。2,000文字の原稿を入れたら、返答の余地はほとんど残らない。壊れるのは当然だった。
処理できる量が違えば、書けるプロンプトも違う。だから私は、かなり複雑なプロンプトを作成できた。おそらく、Anthropicも想定していなかった、一般的ではないプロンプトも当時は使っていたと思う。
その効果で、横組みの原稿を簡単に縦組みに変換できたし、記事内の誤字脱字や表記のゆらぎも正しく修正できた。一般的なオープン情報ではないクローズドな調査データや文献も調べることができた。
さらに当時から、文献調査をする際には、ハルシネーション(もっともらしい嘘)やシコファンシー(追従)を起こさないように依頼していた。この2つの言葉がビジネスの現場で語られるようになる、ずっと前からである。これが3年間のアドバンテージだろう。
じつは昨年の夏ごろ、Claudeがまだ日本の一般読者にほとんど知られていなかった時期に、出版社の依頼で原稿を書き始めた。ChatGPTでもGeminiでもないことが決定要因だった。原稿自体は1か月で完成し、編集が紙に落とす作業に入っていた。
様相が変わったのは、今年1月である。ベネズエラの大統領がアメリカの特殊部隊によって拘束された。2月、ウォール・ストリート・ジャーナルは、この作戦にClaudeが使われたと報じた。同じ2月の末、米国はイランへの攻撃に踏み切った。ここでもClaudeが使われたと同紙は報じ、3月には国防総省の高官が議会で使用を認めた。Claudeは、一部の利用者の道具から、世界のニュースになった。
この時点で、日本初のClaude実用書の称号を取りに行くために急いだ。日本経済新聞に広告を出す際には、「日本初」と表記するためのエビデンス提出が求められる。これも問題なくクリアした。よって、私の本は日本初のClaude実用書の称号を取ることができた。
秘密道具は、誰もが知る前に手にしてこそ秘密道具である。3年前の判断基準は文字数という素朴なものだった。素朴な基準ほど、あとで効いてくる。
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