行動を習慣化させるには何をしたらいいの?〜(セルフ)コーチングのススメ〜
過去に記事を書いたのですが、あまりに長すぎるのと、かつ、整理が十分でなかったのが気になっていたので、改めてまとめ直しました。
今回のものは、勉強(やそれ以外でも)を習慣化させるために、どのような意識を持ってコーチングをすればよいのかが順序立てて説明できた(ような気がする)ので、ぜひご参考いただければと思います。
なお、今回の記事のは以下の書籍をかなり参考にさせていただいています。
この手のモチベーション系の書籍の中では、研究結果やエピソードが豊富で良著だと思います。
気になった方は是非ご一読ください。
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コーチングの目的
コーチングの最大の目的は「学習者の目的のための手段を実行させること」にあります。
「コーチング」とネットで調べると、「傾聴」や「共感」という言葉が良く出てきます。また「答えは学習者の中にある」という心構えはコーチングの基本姿勢です。
これらは非常に正しいと思うのですが、一方で、上記に沿って考えを整理した「だけ」では、現状は何も変わりません。
現状は、行動して初めて変化するのです。
コーチングは話を聞くだけではもちろんなく、そのあとの目的に対しての行動を促して初めて価値があります。
そのためには、以下の3点がコーチングの基本的なアクションになると考えられます。
①目的の共有
コーチは学習者の理解者になり、客観的な情報を伝えながら、本人の中での行動する意味を明確にすることが大切です。
目的こそが心が折れそうになったときの戻り先になります。
②手段の検討
実行される手段は納得できて、かつ、正しい努力になるものを設定すべきです。
信頼できる根拠はあるのか?という点は学習者が理解・納得できるように、定量的かつ定性的な根拠を一緒に見つけておきましょう。
③実行環境の構築
意志があればより強く効率的に動けますが、何より環境があれば人は動きます。
実行におけるコーチングとは、行動を細分化して、今の環境を明らかにして、実行プロセスを整理した上で、嫌でもできる環境に一緒に改善していくことです。
コーチングの段階
コーチングはざっくり4つの段階に分けられると考えます。
いわゆる「コーチ」としての仕事は、特に3段階目までが重要です。
1段階目「習慣をつくる」
最初の1ヶ月くらいで最低限の行動の習慣化を目指します。
後述するポイントを軸に、気持ちや意志ではなく、具体的なアクションや環境を整理していきます。
2段階目「習慣を維持する」
3ヶ月目くらいまで学習者が習慣化しやすいアクションや環境を自身で理解してもらいます。
やる気が無くとも目的のために習慣的に動ける、もしくは、嫌でも自動的に動ける環境を強化していきます。
3段階目「実行の質を上げる」
「ただやる」という状況から「よりその意味を意識してやる」という状況に変化させていきます。そのために、定期的に共有した目的を意識させます。
学習者は懸命に前進しているときこそ目的を見失うことがあります。
コーチングの時間は自身を省みてもらう時間として、自分のやっていることを客観的に確認してもらいましょう。
4段階目「手段を最適化する」
より価値のあるコーチングを行うために、学習者の状況に合わせて目的達成の手段の検討や最適化を行います。
ただし、手段の最適化は、コーチングの視点よりもティーチング的視点やつ専門的な知見が必要になります。
「手段の実行」という意味では、3段階目までのコーチングの意義が非常に大きいので、知識がない中では無理に行う必要はありません。
コーチングの心構え
実行させるコーチングの大前提として「実行力は資質ではなく技術である」ということを肝に銘じてほしいです。
実行できないのは「やる気が無いから」ではなく「やるべきと思える環境を構築できていないから」です。
もちろん最後の最後にやるかやらないかは意志の問題はありますが、とはいえ、この「環境を構築する」という点は気持ちの問題ではなくテクニックの話です。
再現性のある技術だからこそ、誰でも習得ができますし、資質や才能の問題ではないのです。
今回は、実行するコーチングとして重要な以下の3段階、
・1段階目「習慣をつくる」
・2段階目「習慣を継続する」
・3段階目「実行の質を上げる」
の流れでそれぞれ意識してほしいポイントをまとめました。
※4段階目「手段を最適化する」については、専門知識ありきでコーチングの主軸からはずれるため今回は触れないこととします
特に大切なテーマはタイトルの後に【☆】をつけていますが、とはいえ、コーチそれぞれの経験があるので使いやすい/使いにくいはあると思います。
それぞれのポイントを軸に、自分が使いやすいテーマを扱ってコーチングしてもらえると嬉しいです。
コーチングポイント:1段階目「習慣をつくる」
①実行プロセスこそ具体的に検討【☆】
目的をイメージさせることよりも、実行すべきアクションをその前後も含めて具体的に検討しましょう。
◇解説◇
目的だけをイメージさせるコミュニケーションのみは絶対にダメです。
ゴール(目的)に行きつくための解決策が大切でありゴールは結果論です。
つまり、まずは実行すること自体が重要です。
例えば、「○時から△△を始める」という場合は、その30分前からのアクションを具体的に列挙させましょう。
なんとなく始める、ではなく、そこに行きつくまでの行動も明確にして初めて実行の目途が立ちます。
②先延ばしは「やらない」
先延ばしにした「やる」宣言は「やらない」と言っているのと同じです。
行動の切実性を今一度問い直してみましょう。
◇解説◇
コーチが意識すべきことは、口で言うことは必ずしも正しくないことがあり、そして、それを本人が気付いていない可能性があるということです。
「○○から始める」というのは積極的な意思表明のように見えて、実のところ先延ばしの言い訳をしているだけです。
なぜ「今から」ではないのか?それは自分が無意識に逃げようとしているのではないか?ということを敢えて問うことが大切です。
③始めるハードルは下げる
始める瞬間が最もハードルが高くなるときです。
作業や環境を整理して、習慣的に「まず始める」ことができるためのアクションを見つけましょう。
◇解説◇
どんなことでも1番大変なのはスタートのハードルを越えることです。
逆に、始めさえしてしまえばいくらかは続けられることがほとんどです。
本当に簡単なところからで良いので何よりスタートすることを意識しましょう。
成功する人は、自分にとって簡単に始めるというのが、どういう作業でどういう環境なのかを理解しているので、すぐ始めて行動して成果を出せるのです。
④続けられる負荷で
最初は高負荷(長時間)な計画してはいけません。
習慣化させるためには、まずは短時間で良いので、確実に実施できるアクションを考えましょう。
◇解説◇
まずは最低限から始めましょう。いきなり長時間で始めるのは三日坊主で終わってしまうのがオチです。
重要なことは長期的にやれる習慣を身につけることです。
最初は15分でも十分なので、その15分を確実に実行するためのアクションを考えましょう。
15分が習慣化できれば、そこをベースに30分、1時間と伸ばすことができます。
⑤すべては「実験」【☆】
アクションを整理したら、自分自身を使った実験と思って学習者に試してもらいましょう。
コーチは学習者と共にアクションを具体的に検討して、実験結果としてできたこと・できなかったことを一緒に確認して、次につなげます。
◇解説◇
すべての実行において大切な考え方です。
習慣化させていくフェーズでは、すべては学習者に合うかどうかの実験だと考えて、成否はどちらでもいので、ともかく試してもらいます。
自分自身を使った実験としてやってみることで実行のハードルが下がりますし、具体的な手順を意識して実行してみる中で新たに見えてくることも必ずあります。
例えば、意識して試してみることで、前回は想定していなかったアクションがあったなどが見つかることがあります。
コーチはその実験の報告を受ける存在として、できたこと・できなかったことを確認して、より良い習慣化のヒントを見つけてください。
コーチングポイント:2段階目「習慣を維持する」
①行動は定量的に確認する
計画を立てたときには予定と実績を時間などの定量的な数値で確認しましょう。
学習者には感覚ではなく「事実」として認識させることが大切です。
◇解説◇
予定と実績の記録は残すようにしましょう。
習慣化がうまく進めば確実に実績となる行動時間が増えていきますが、そのことを感覚的にではなく事実として捉えることに意味があります。
学習者1人だとやらなくなって自分の習慣を正しく認識できなくなるので、コーチが存在しているからこそ、予定と実績を確認する役割を果たしましょう。
②阻害する行動を特定する【☆】
実行がうまくいかないときは、アクション直前の阻害している行動を具体的に挙げさせましょう。
その上で、阻害行動を無くすためのアクションを検討しましょう。
◇解説◇
どうしても実行がうまくいかないときの反省点として、アクションの直前に何をしているのかを確認することは有効です。
習慣化のための実験を行う中で、具体的に何が邪魔しているのかがわかれば、次はその行動をさせないような環境やアクションを考えましょう。
ひたすらこれを繰り返ししていき、やるべきことをやらざるを得ない環境を構築していきます。
一例として、勉強をする前に毎回机の片付けをしてしまう逃避してしまうなどの場合、そもそも机で勉強することを避けるなどが対策としては考えられます。
③必ず代案を考える
想定通り実行ができないときの代案となる行動を検討させましょう。
◇解説◇
実際のところ、立てた計画がうまくいくケースはほぼなく、だいたい途中で妨害が入ります。
ほとんどの人は思考停止のままできなかった言い訳にして、実行することを止めてしまいます。
このような状況を避けるために代案を検討しておいて、先に起こり得る状況を想定しておきます。
止まっている間にやらない理由を作ってしまうので、いつでもすぐに行動するために、想定通りにできないときの行動は考えておきましょう。
④失敗したときの対価を考える【☆】
失敗した場合に起こる「失敗することより嫌なこと」を設定しましょう。
特に、自分だけで完結せず、他人が関わること(=絶対にやらなければならないこと)にできるのがベストです。
◇解説◇
計画が失敗した場合にやることも決めておきます。これはできるだけやりたくないことを設定します。
実のところ、人は「やりたい」より「やりたくない」の気持ちを優先することが多いです。
失敗したときに「それよりもやりたくないこと」を設定し、それも含めて宣言することで、嫌でもやる状況を作ることができます。
例えば、お金を○○円払う、誰かに△△する、などが考えられます。
特に、他人が関わっていて自分だけでは完結しない、つまり、絶対にやらないといけないことにすることが、自分を追い込む環境としては適しています。
コーチングポイント:3段階目「実行の質を上げる」
①「なぜやらなくてはいけないか」を突き詰める
より良い行動ができないのは目的(やるべき理由)が切迫していないからです。
「やってみよう」よりも「なぜやらなければいけないか」にこだわって目的を深める問いかけを改めてしてください。
特に「できなかったら問題があること」に着目するとよいでしょう。
◇解説◇
結局行動に移せないのは行動に移すだけの理由が自分の中に無いからです。
目的が如何に切迫しているか、達成すれば価値があることなのかを確認するように努めましょう。
例えば、早起きの場合、特段強い動機がない状況だと、結局はダラダラ過ごしてしまうのがほとんどです。
逆に、朝早くから仕事が入っている、学校がある、など(嫌かもしれないけど)やらないいけない切迫した理由があれば起きることが多いはずです。
コーチは「できたら具体的に何が良いのか?」「できなかったら具体的にどんな問題があるのか?」「今のママだと具体的に何がダメなのか?」などを突き詰めていくと良いです。
②実行を続けるための目標を決めておく【☆】
長期的な目標(=最終的な目的)を戻り先として、それを実現するための短期的な目標(=中間目標)を決めさせましょう。
例)受験の場合
長期的な目標:志望校合格
短期的な目標①:△月の模試で□□点を取ること
短期的な目標②:2週間後までに××を覚えること
◇解説◇
①の「なぜやらなくてはいけないか?」を考える意味も含めて、長期的目標と短期的目標を整理しましょう。
長期的な目標は心が折れそうになったときの戻り先になる、元より掲げている目的です。
一方で、短期的な目標は、ひとつずつクリアしていくべき具体的なミッションになります。
できるだけ時期や点数など定量的に設定して、そのために何をするかを検討しましょう。
<注意>
学習者が初めから強い課題感や目的意識を持っている場合は、むしろ最初に行った方が良いです。
ただ、実際のケースでは、学習者はそこまで強い動機がないパターンも多いため、ある程度実行の目処が立ったタイミングで改めて確認するということでもOKです。
③目的に関連する情報を浴びる
目的に関連する情報に触れる機会を増やすように環境を整えたり声掛けをしましょう。
◇解説◇
学習者の環境を目的と関連したものだらけにしていく、ということは実は効果的です。
心理学的にも、目的に関連したものに多く触れることで、よりその目的を強く意識できるということはわかっています。
コーチ自身に余力があるなら、コーチングの度に目的に関する情報やニュースを伝えましょう。
また、環境としても、例えば、スマホの待ち受け画面を目的に合ったものにするなども考えられます。
何にせよ目的に近しい情報に触れる機会を増やすことを心掛けましょう。
まとめ
このような形でコーチングして「実行させる」ためのポイントをある程度まとめてみました。
もちろん他にもいろいろテクニックや考え方があるのは承知していますが、とはいえ今の私の中で具体的な方針として考えるべきことは、今回のような内容になるかなと思います。
今回の内容を元にスケジュールを一緒に立ててあげることで、学習者自身が自分が取り組みやすい形に気付く手助けができます。
コーチングは人を変えることはできませんが、人が変わる手助けができるものです。
最後は「自分自身がやる」ということがすべてです。
今回の記事がそこに行きつくためのサポートの一助になれば幸いです。
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