天才と精神医学(7): 天才は"これ"を食べていた!?~天才集団MENSAを対象とした海外研究を紹介~
皆様、こんにちは!
鹿冶梟介(かやほうすけ)です。
人気シリーズ「天才と精神医学」も今回で7回目を迎えることができました。
このシリーズを立ち上げた当初は、「果たして、天才に関する記事ってニーズあるんかいな...?」と逡巡していたことを告白いたします。
ところが、このシリーズを始めた所、予想以上の反響を頂き、世の人々がいかに「天才」という存在に強い関心を持っているのかあらためて実感いたしました(みんな、天才が好きね🥰)。
それにしても人は何故かくも”天才”という存在に惹きつけられるのでしょうか?
その問いに対する一つの答えは、天才というものが生まれながらにして常人がいくら背伸びしても到達しえぬ高みに棲む存在であるからだーー、と小生は以前のnote記事で記しました。
精神科医ヘンリー・モーズレイ曰くーー、
「地べたをは這いずり葉を食べる芋虫(常人)に対し、天才とはその上を自由に飛び回る蝶のような存在」
たとえその高みに到達できなくとも...、否、到達できないからこそ人は天才に憧憬を抱き、あるいは畏怖し、理解せんがために解体しようとしたのでしょう。
こうして幾世紀にもわたり「天才とは何か?」という命題は、尽きぬ議論の泉であり続けたのです。
もう少し先人たちの言葉を借りてみましょう。
哲学者シャフツベリーは天才を「宇宙精神の顕現」と呼び、作家ヴィーラントは「巨大な怪物」と喩えました。
数学者ライプニッツは天才の本質を「無意識」に見出し、一方、シェークスピアは「魔神のとりつかれたもの」と表現し、異質性を強調しました。
精神医学の領域においても、ドイツの精神科医クレッチマーは「天才とは積極的な価値感情を広い範囲の人々に永続的に、しかも稀に見るほど強く呼び起こすことの出来る人物」と冗漫ながらも的確な定義を与え、これに対し意、イタリアの精神科医ロンブローゾは一刀両断、「天才とは狂気だ」と喝破しています。
このように天才という存在は、理性と狂気、美と恐怖、神聖と異端といった、極端から極端へと、実にさまざまな角度から論じられてきましたが、今回はちょっと変わった視点から天才を考察した文献をご紹介いたします。
それは「天才の食卓」──すなわち、"食事"という極めて現世的な営みを通して、天才の実像に迫ろうとした海外文献です。
対象となるのは、メディアでもしばしば取り沙汰される高IQ集団「MENSA(メンサ)」ーー、
MENSAは、人口の上位2%に入る知能指数を持つ者のみが加入を許される、いわば現代の”知的貴族”であり、その支部は世界四十カ国以上に広がっているそうです。
今回ご紹介する研究は、このMENSA会員が日常的に摂取している食物や嗜好品について徹底的に調査した、きわめてユニークかつ貴重な報告であります。
天才とは、いかなる滋養によって思考を育み、精神を研ぎ澄ましているのか──、その片鱗が垣間見える... ....かもしれませんよ!
... ...あっ!それから、大切な前置きをひとつ。
断っておきますが、この研究で明かされた食事内容を真似したからといって、あなたがMENSA会員になれる保証など、勿論ございません。
あくまで「へぇ~、天才たちってこんなもん食っているんだ~」ぐらいの軽いノリで読んでいただくと幸いです。
【研究紹介】
Intelligence and Dietary Habits: An International Study of Mensa Members. Csak A and Ujma PP, J Intell, 2025
<目的>
高IQ者の食習慣を対照群と比較する。
<方法>
対象: ハンガリー、ドイツ、イギリスの高IQ集団MENSAの会員。対照群(非天才)としては一般的なSNS(Facebookなど)を介して参加者を募集した。
方法: オンラインによるアンケートを行った。
3カ国のメンサ会員(IQ130以上)と対照群参加者がオンラインアンケートに回答し、様々な生活習慣要因、特に食習慣を評価した
質問
①食事摂取量:半定量的食物摂取頻度調査票(SQ-FFQ)に記入した。質問票は70品目の食品リストで構成され、回答者はリストアップされた品目の摂取する頻度を報告するよう求められた(例:ある食品について「1日に何度も」、「1日に1度」、「週に6回以上だが毎日ではない」、「週に4~6回」、「週に1~3回」、「月に6~8回だが毎週ではない」、「月に4~5回だが毎週ではない」、「月に1~3回」、「あまり頻繁ではない」、「まったく摂取しない」)。1回の食事で摂取する各食品の量も記入させた。(例:「ヨーグルト小カップ1個」「大さじ1杯」「大さじ約2杯」など)。
②栄養関連行動: 食事日記をつけるか否かを質問した(スマホアプリなどで毎日食事内容を記録するなど)。
④特別な食事: 食事スタイルについて以下の様な項目を選択させた。「グルテンフリー」、「ラクトースフリー」、「デイリーフリー」、「シュガーフリー」、「その他」。さらにその理由として、「医学的アドバイス」、「診断」、「個人的な選択」、「その他」を選択させた。
⑤健康的な食習慣: 野菜と果物を定期的かつ豊富に摂取すること、低繊維質の代替品よりも全粒穀物を好むこと、魚介類を頻繁に摂取すること、油糧種子と豆類を定期的に摂取することを"健康的食習慣"とみなした。さらに、適度な肉の消費、加工肉製品の少ない消費、低脂肪でプレーンな乳製品の定期的な摂取、適度なカフェイン摂取(コーヒー1日4杯未満)については、"やや健康的な食習慣"とみなした。野菜や果物の摂取が少ない、魚介類の摂取が少ない、ナッツ類や豆類の摂取がたまにしかなく少ない、大量の肉を定期的に摂取する、"不健康な食習慣"とみなした。加工肉製品の頻繁かつ多量の摂取、高脂肪で風味のある乳製品の常食、カフェインの多量摂取(1日4杯以上のコーヒー)、過度のアルコール摂取も不健康な習慣とみなされた。
統計分析
対照群と比較して高IQ集団(MENSA)に典型的な食品消費パターンを発見するために、3つの別々のモデルで単純なOLS回帰により、各食事項目について、国際 vs 対照群とハンガリー、イギリス、ドイツのMENSA会員の自己報告消費量を比較した。
性構成と年齢におけるグループ差のため、解析したい主要予測変数として使用される二値グループ化変数に加えて、これらの人口統計学的変数を共変量として使用した。
正確な量(グラムなど)が計算できる項目については、通常の線形モデルを使用し、効果量は消費量の群間差とした。二値項目(例えば喫煙の有無)については、ロジスティック回帰を用い、効果量はオッズ比とした。
<結果>
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