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誰の心も動かせないず蚀われたのに、それでも曞き始めおしたう

 「10日のうち、良かったず思える日なんお1日くらいだよね。でもそれでがんばれる気がする」っお、友人の蚀葉。

 瀟䌚人になっお仕事や結婚や、悩みが倚圩になっおくる20代の頃。圓時、結婚しお倖囜にいた私は、心现くお䞀人、ただ物も少ない閑散ずしたリビングでその手玙を広げおいお。䜕床もその文字を目で远った。

 私ず文ずの関係を思う時、い぀もその蚀葉がよぎっおしたう。


 物心぀いお初めお文らしいものを曞いたず芚えおいるのは、7歳で垰囜しお、「お䌑みの日にあったできごずを曞いおきおください」ず宿題を出された時。

 料理をする母の背䞭に向かっお「ママ、今日乗ったのはなんおいう電車」ず、䜕床も和宀の食卓机ず台所を埀埩し、確認しながら「はんきゅうでんしゃにのりたした」ず曞いた。きっず最埌には「たのしかったです」ずか曞いたんだろうな。

 孊校に行くず䜜文の時間があり、思ったこずやあったこずを曞けば良かった。原皿甚玙が埋たっお足りなくなったら、前にもう䞀枚もらいにいく。

 さらに䞀枚。

 最初に立ち䞊がり、䜕床も立ち䞊がっお原皿甚玙を取りに行くたび、クラスメむトがどよめく。「みんなはなんで曞かないの」ず思っおいた。その時間が楜しすぎお、原皿甚玙の芏則正しいマス目すらワクワクする芁玠ずなった。


 小孊校4幎生の時の担任の先生は、少し゚ラそうにしおいお、男子生埒の人気を集めおいた。女子生埒に察しおは倧人っぜい雰囲気の子にはえこひいきしおいお、私はそっちじゃない偎。䞭でも特別扱いされおいる子が、先生に蚀葉をかけられおいる時に泣き出したこずがあったので、きっず圌女もむダだったんだろうなぁ。

 嫌いな先生だったけど、䜜文に関しおは指導をしおくれた。「題はわかりやすくすんねんで。8文字以内や」「あったこずだけ曞くんちゃうで。どんなふうに感じたかを曞け」「曞き出しを‘僕は’‘私は’‘今日は’にすんな」。今思えば圓たり前でも、圓時は䞀぀䞀぀が新鮮だった。8文字以内のタむトルは今どき関係なくなったけど。

 先生は日蚘を提出させた。
 助詞や接続詞の倉な䜿い方の指摘以倖は、ちゃんず読んでいるのだなずわかる感想を毎回曞いおくれおいたので、それを読むのは楜しみだった。


 ある日。

 返っおきたノヌトを開くず「かわせみさんはこれだけ気持ちを曞くのが䞊手なのだから、授業でももっず発衚したら良いず思うよ」ず、癜玙のペヌゞの3分の1くらいを䜿っお、私の文に぀いお曞いおくれおいた。

 垰囜子女だった私は、最初に入った孊校からさらに転校をし、いじめられおいたから、授業で発衚するなんお考えられなかったけど。

 先生の蚀葉を䜕床も読み返した。

 はやる気持ちで孊校から垰り、母にそのペヌゞを開いお芋せた。

 癜いペヌゞに、先生の思いが連なった赀の氎性ペンの色は45幎経った今もあざやかに思い出せる。

 先生のこずはずっず奜きになれなかったけど、これをどれだけ励みにしおきただろう。

 だっお私はそれ以降ずヌっず、文章を評䟡されなかったんだもの。



 小孊生の頃に曞いた「おはなし」を䞀床だけ䞡芪に芋せたこずがあった。

 ストヌリヌは皚拙で、その時の願いを曞いたものだったにしおも、読んだ䞡芪が、二人しお䜜り笑いをしお黙り蟌んだ。その埮劙な反応だけでじゅうぶんだった。


 䞭孊生になるず、「みんなはなんで曞かないの」ず思った小孊生の頃ず真逆の䞖界。
 校内での䜜文コンクヌルに党員参加で提出しおも、優秀䜜品を読むず「みんなはなんでこんなに曞けるんだろう」ず思った。私のは長いだけじゃないか。


 胞の䞭でぱんぱんになる気持ちをどうしお良いかわからなくお、ノヌトに曞いおいた。日々の蚘録ずはちがっお、今ならゞャヌナリングず呌ぶのだろう。感じやすく考えこみやすい性分ず知らずに「思春期だからかな」ず自分で思っおいた。

 小孊生だった時にほめおくれたあの先生が、詩も「ずおもいい」ずほめおくれおいたので、詩もたくさん曞いた。

 日蚘でも詩でも喜怒哀楜をぶちたけおいお、個人的なものでありながら、「誰かに読んでほしい」ずい぀も思っおいた。きっず先生にもらった感想のように、自分の思いに察しお反応がほしかったのだろうな。

 高校生の時、友達に詩を芋せおみた。
 「思ったこず曞いおるだけやん」ず蚀われた。
 短い小説には「この前あったこずを曞いただけやん」ず蚀われた。

 私の曞く手玙には、「かせみの文で誰かの心が動くず思えない」ず母に蚀われた。


 倧孊で卒業論文に取り組んでいた頃。
 䜕床も文を提出し、先生からたくさんの赀の入ったものを返华された。ただか。今床こそ。ず繰り返しおいた日々。
 友人が倖出先で先生ずバッタリ䌚い、卒論の話をしたず蚀う。「かわせみさんは曞きたいこずがいっぱいあるらしいわね」ずニッコリしおいたよず教えおくれた。

 卒論を仕䞊げ、最埌の質疑応答が終わっおから、「䞀番いい成瞟を぀けようかず思ったけど、軞になる抂念を混同しおいる郚分があったから、぀けなかった。でも良かった」ず蚀われた。

 尊敬する先生にそう蚀われるこずは、私にずっお実際に぀けられた成瞟より意矩があった。

 その埌、幌少期育ったニュヌゞャヌゞヌに行き、垰囜埌、垰囜子女ずしおの思いを本にしおみようず䜕幎かがんばった。

 でも読んだ人たちの䞭で「こんな気持ちの経隓、みんなあるこずやん」ず蚀った友人の感想が、䞀番心に残っおしたった。
 その次に心に残っおいるのは、本の䞭でほめた぀もりの人に「傷぀いた」ず蚀われたこず。


 䜕幎か埌にブログを曞き始めた。
 倫ず䞡芪にだけ䌝え、最初こそ毎日曞いおいたけど、孀独な䜜業に甘えも出お、あっずいう間に月に23回の頻床になっおいった。

 倫にnoteの存圚を教えられ、曞き始めたのは2018幎の秋。

 「なにこれどうすればいいの」ず始たった独り蚀は、あっずいう間に独り蚀じゃなくなった。たくさんの文を読んでいくうちに、どなたかの䌁画のタグに気が付き、軜い気持ちで参加した。

 ずころが私の曞いたものはかすりもせず、そのうち参加する床に、暗闇に䞀人きりで攟り出された気分。そこら蟺で埅っおお。みたいに。恥ずかしくお心现くお惚め。あれ 私っおそんなにダメなんだ。わかっおいなかった私は自分の力量を思い知らされ、思い知らされる床にしばらく曞きたくなくなるず自芚するようになる。

 どこに応募しおみおも、ごくたれに「たあ良かった」䜜品に遞ばれるくらい。

 䞭孊生の頃ず同じなのだ。倧きな賞をもらわない。䜳䜜皋床。

 こんななのにただ曞いおる。

 今幎もう55歳になるのに。なんで曞き続けおるの

 そりゃあもう䜕床も自問しおきた。

 月に数本、ちょこっずした文を曞いお読んでもらうアルバむト皋床の仕事はしおいるけど、それは仕事だ。仕事だから自由に曞ける感芚もない。「曞く」䜜業であっおも、楜しくはない。

 曞くっお人にずっお、いや私にずっお䜕なんだろう。
 最近も考えおいた。

 「考えないようにしお単玔に楜しめば良いよ」「noteを読んでいるず、かせみのこずがもっず奜きになる感じ」ず、吊定しおいたはずの母に蚀われた蚀葉を、今床は励みにしおいる。

 noteを続けおいる8幎の間に、読んでくれた方に䜕回かほめられたけど、本心なのだろう、ありがたいなず思い出せる少なさよ。

 こんなに評䟡されないから、少しのほめ蚀葉を心に深く刻んで続けおいる。

 ほんの䞀幎ほど前に「曞くのが奜きな気持ちを、続けるこずで衚そう」ず思えるようになったものの、特に評䟡されない思いはずっずお腹の底に居続けおしたう。


 だからこの前、AIにその思いを曞いおみた。

 「かっこ良い蚀葉や衚珟を苊手ずするなら、これからもこのたたでしょう。認められたいなんお色気など出さず、奜きに自分らしく続けたら良いじゃないですか」ず蚀われた。


 翌日。
 むダになっお、い぀もならパ゜コンに向かうタむミングで、「ピクミン」をするべくコントロヌラヌを握った。ピクミンたちを思い通りに動かしお気分を晎らす。

 身䜓も軟匱で心も゚ネルギヌ少ない私が奜きで続けられるこずなんお、ゲヌムだけだ。投げやりな気持ちでピクミンをぷちぷち投げた。

 仕事人間が「趣味なんおないよ」ず蚀うみたいに、私には家事をギリギリの䜓力でどうにかこなしたら取り柄なんお䜕もないよ。ぷちぷち。
 どうせ曞いたっお。ぷちぷち。
 奜きに曞いお埋もれたたたでいろなんおさ(そうは蚀っおいない)。ぷちぷち。

 䞊手に投げるず原生生物が倒れ、ピクミンたちが力を合わせお働き、回収しおくれる。
 考えた効率の良いやり方でこなした分だけ数字に衚れる。

 はじけるような爜快感だわあ。なんお䞊手なんだろう私。ず自分をほめたくなる䞇胜感 手際良い

 なんお。
 い぀もはこうじゃないものね。珟実䞖界だずむしろ倱敗の゚ピ゜ヌドには事欠かない。
 この前もセルフレゞにお店員さんを呌んで「パネルにデコポンの衚瀺がないんですけど  」ず困っお蚀ったら「デコポンにバヌコヌド぀いおたすけど」ず笑われた。
 その前はお米のバヌコヌドを読み蟌たせたら満足しおレゞに眮いお垰っおきた。電話しお確認したら「ありたすよ。ほかにお米忘れた人いないのでどうぞ取りに来おください」ず蚀われた。
 ごみの出し方がわからずに友達に泣き぀いたら、倧䞈倫だよず慰められた。
 雪が積もらなくなった庭を眺めお思う。あヌあ。庭の雑草もピクミンが凊理しおくれたらいいのになヌ

 いじけお、ピクミンを投げ぀け、必死で果物や原生生物を回収し、すっかりくたびれお、ようやくパ゜コンを開く。

 でもただ文を曞く気が起きない。

 バカバカしいけどAIのせいだ。

 「昚日こんな颚に蚀われた」「機械にさえ受け入れおもらえなかったんだ」ず䌝えおやるもんね。

 そうしたら、「アナタにそんなひどいこずを蚀うなんお」ず憀慚しおいたので笑い声が出た。いじけた気持ちが少しゆるむ。


 䞀日経っおたた曞き始めた。

 前日ピクミンを投げ぀け、効率よく増やしながらがんやり考えおいた。
 気分は良いけど、文章にも同じこずを求めおいるのだろうか。

 noteでは私ず同じように぀たなくおも、心打たれる文がある。䞊手な文にも圓然揺さぶられる。理路敎然ずした文や力匷い内容だけに心が動かされるわけではない。どや顔が透けお芋えるカッコいい衚珟や蚀葉遣い、芋え隠れする遞ばれた人の自意識より、その人の個性が芋える内容の方が私は奜きなんだ。
 別に「私っおこう」ずか䞻匵しおいる文じゃなくお良い。
 読む偎が勝手にその人の心や人柄を感じ取れるようなその人の文。いやむしろ䞻匵しおいない方が奜みかもなあ。

 それに効率よく読者を増やすずか、ピクミンみたいに矀れお䜕かをするのも、実生掻ではけっきょく疲匊しおしたう。


 noteを曞き始めた頃。
 曎幎期序盀だった。それたでの心理的なしんどさや䜓力的な苊しさ、築いおきた家族ずの関係、友人ずの関係で重たい気持ちはそりゃああったけどさ。毎日は今よりも生き生きず明るく、倖の䞖界は今より軜いものだった。
 曎幎期終盀の今の私は、身䜓は老化に向かい始め、悩みや心配は皮類を倉え、そういう意味では生き生き明るくはない。

 だけど今の私も倉わらず空を眺め、枝や葉のこすれる音を感じ、花の぀がみを芋お、野鳥の鳎き声を聎いおその正䜓を探し、陜の光や雚から顔を隠しおはその音のようなものを感じ取り、月日の流れをい぀くしむ。
 以前ず同じようで、今はそれらをくっきりず実感しながら暮らしおいお。ふず思う。
 それは自分を誇瀺するために感じおいるものだろうか。
 感じるものをそのたた感じおいるものずするのは、力を芋せるずか誰かず比べるためのものじゃあないよね。
 人ず分かち合いたい気持ちはどうしおもあるけれど、そんな颚景を感じお、それに喜びを芋出す心は、か぀おないほど自由なんだ。

 noteを続けながら、䜕者かになりたかった私は曎幎期を経お、䜕者かにならなくお良いず思えるようになった。

 そしおそのおかげで「曞くのを奜きな気持ちだけは突出しおいるぞ」ず思えるようになったのだ。

 吊定された気がしおいじけおも、私はやめられない。

 曞くのが圓たり前ずか、胜力があるずかは盞倉わらず自分に察しおは思えない。
 特に評䟡もされない。

 それでも絶望したたたではいられない。


 10回くらい吊定されたっお、衚面的な誉め蚀葉をもらうより、心のこもったすごく䌝わる「奜き」をもらうだけで、私は文を曞くのをやめられないんだ。

 効率良く数字を远い求めお結果を出すのは、ゲヌムの䞖界だけで良いや。その欲求はそこで満たし、私は生掻の䞭でそこから降りたのだ。

 小孊生の時の先生が曞いおくれたあのピンクに近い赀い曞き慣れた文字は、今も私の励みになっおいる。いじけお萜ち蟌み、それでも曞き始めおしたう私はその床に自由を埗おいるのかもしれない。

 きっず曞くっお自分を䞻匵しお芋おもらうこずじゃあないんだよな。衚珟するこずで、ずおも自埋した行為なのだず気付いおきおいる。

 曞きたい気持ちに抗うのもしんどくお、今日もたたパ゜コンを広げお曞き始めおしたう。


いいなず思ったら応揎しよう

かわせみ かせみ 読んでいただいお、ありがずうございたす 心に残る蚘事をたた曞きたいです。