町内会 改革ノート#6 とある町内会の話を聞いたら、、、すごかった!
前回、かなりネガティブな記事を書きました。
「もう町内会に疲れ切った」
「やるだけやった」
「これで次の人が出てこないなら、もうしょうがない」
そんな記事です。
書いたときは、本当にそう思っていました。
というか、今も基本的にはそう思っています(笑)。
僕は来年の春で任期が終わったら、町内会長を辞めるつもりです。
ただ、その記事を書いた数日後。
ちょっとだけ、僕の見方が変わる出来事がありました。
■■ 新潟市中央区の「ある町内会」の会長に話を聞きに行った
新潟市中央区に、町内会の運営をかなり工夫している地域があります。
具体的な町内会名や会長さんの名前は、この記事では伏せたいと思います。その会長さんの年齢は僕と同じくらいの50代くらいの男性。
この記事を読んだ人から問い合わせが行ったりしたら申し訳ないので、
「新潟市中央区のある町内会」
としておきます。
そこで、会長さんからいろいろ話を聞かせてもらいました。
僕と、うちの町内会の事務局長の二人で行きました。
いや~
話を聞けば聞くほど、
「俺、全然違うこと考えてたな……」
と思いました。
■■ 僕のスタートは「次の役員がいない」
僕が町内会長になって、最初に危機感を持ったのは、
「このままだと、次の役員がいなくなる」
ということでした。
実際、僕が引き継いだときの役員は高齢の方が多く、中には10年、20年と続けている人もいました。
だから、
「役員が交代できる仕組みをつくる」
ということをずっと考えてきました。
・仕事をマニュアル化する。
・不要と思える事業をやめる。
・会計をクラウド化する。
・外注できるものは外注する。
・役員の仕事を明確化する。
・役員手当も増やす。
・輪番制も考える。 ⇒ 強固な反対で挫折
・委員会制も導入する。
要するに、
「どうしたら、この町内会という組織を次の人に引き継げるだろう」
ということを考えていたんです。
それはそれで、間違ってはいなかったと思います。
でも、今回話を聞いた町内会の会長さんは、
スタート地点が全然違いました。
■■ 「将来、どんな町にしたいですか?」
その会長さんが考えていたのは、
「次の役員をどうやって探すか」
ではありませんでした。
もっと先。
「将来、この町がどんな町だったらいいか」
だったんです。
例えば、
子どもが大人になって、この地域に住み続ける。
そのとき、どんな町だったらいいのか。
近所の人同士が、全員ベタベタに仲良くする必要はない。
でも、お互い顔くらいは知っている。
会えば挨拶する。
災害が起きたら、
「あのおばあちゃん、大丈夫かな」
と少し気にする。
知らない人がウロウロしていたら、
「あれ?」と気づく。
必要なときには助け合える。
でも、昔ながらの面倒なしがらみはない。
そんな町を作りたい。
まず、そこなんです。
そこから逆算して、
「じゃあ、今何をしたらいいんだろう」
と考えている。
話を聞きながら、
「ああ……俺、そこ考えてなかったわ」
と思いました。
■■ 僕は、ずっと「組織」を見ていた
僕は、
「町内会をどうやって存続させるか」
を考えていました。組織の内部ばかり見ていたんですね。
組織を通じて、町内を見ていた感じ。
でも、その会長さんは、
「地域をどうしたいか」
を考えていた。
似ているようで、全然違います。
僕の頭の中は、
役員がいない
↓
このままでは町内会が続かない
↓
役員を増やさなきゃ
↓
どうやったら役員になってもらえる?
でした。
一方、その町内会では、
こんな町にしたい
↓
そのためには、住民同士が少しつながっていた方がいい
↓
どうやったら地域に関わる人が増える?
↓
子どもの頃から地域に関わってもらったらいいんじゃない?
という発想なんです。
スタートが全然違う。
僕は、
「次の役員を探す」
ことを考えていた。
向こうは、
「20年後、30年後に地域を担う人を育てる」
ことを考えていた。
そりゃ、違うわ(笑)。
■■ 小学生から町内会に参加してもらう
その町内会で、僕が一番面白いと思ったのが、
子どもたちの参加です。
まず、小学生が町内会の活動に関わります。
ただし、「草刈りを手伝ってください」
ではありません(笑)。
子どもたち自身が、
「何をやりたい?」
と考えるんです。 企画して実行する。
ハロウィンだったり、
お祭りだったり、
運動会だったり。
しかも、大人が企画して、
「はい、子どもたち参加してください」
ではない。
子どもたち自身が話し合う。
自分たちで考える。
大人は、それを手伝う。
つまり、「町内会って面倒くさいところ」ではなく、
「町内会って、なんか面白いことができるところ」
というところから始めるんです。
これ、メチャクチャ大事じゃない?
■■ 小学生、中学生、高校生、そして大人へ
そして、その仕組みは小学生で終わりません。
小学生のときに地域活動を経験する。
中学生になったら、補助的な役員として参加する。
高校生になったら、自治会の本当の役員として参加することもできる。
そして、その子たちはやがて、
20代になり、
30代になり、
親になっていく。
そうすると、
町内会というものが、
「ある日突然、知らないおじさんから役員をやってくれと言われる謎の組織」
じゃないんですよね(笑)。
子どもの頃から、
「ああ、あれね」
と知っている。
自分も参加したことがある。
楽しかった記憶もある。
一緒に活動した大人も知っている。
つまりこれは、
役員を「募集」しているんじゃない。
何十年もかけて、
地域に関わる人を「育てている」んです。
これを聞いたとき、
「ああ、持続可能って、こういうことか」
と思いました。
■■ 子どもが動くと、親も動く
もう一つ面白い。子どもが地域活動に参加すると、親も一緒に地域に出てきます。
大人に、
「町内会のイベントを手伝ってください」
と言ったら、まあ、来ません(笑)。
うちも募集しました。
来ない(笑)。来るわけがない(苦笑)
でも、
自分の子どもが、
「ハロウィンやりたい!」
と言ったらどうでしょう。
たぶん親は、
「あ、手伝わなきゃ」
と来るんですよ。
そして、そこで他の親と話す。
近所の人とも知り合う。
子ども
↓
親
↓
地域
という流れができる。
なるほどなあ。僕はずっと、
町内会
↓
大人
に働きかけていました。
でも、
子ども
↓
親
↓
地域
というルートもあるんですね。
■■ 妻に話したら「これはすごくいい視点だね」
家に帰って、この話を妻にもしました。
妻は大学で地域活動について研究しています。
その妻が一番反応したのも、
やっぱりこの部分でした。
小学生の頃に、
「地域活動って楽しい」
という経験をする。
そのまま中学生、高校生と少しずつ関わり続ける。
そして、その子たちが大人になる。
「これは持続可能な地域活動を考えるうえで、すごくいい視点だと思う」
と言っていました。
確かにそうですよね。
「役員がいなくなりました。募集しましょう」
では、いつまでたっても同じことの繰り返しです。
人がいなくなってから探すのではなく、
地域に関わる人が自然に育つ環境を作る。
時間はかかります。
10年、20年単位の話です。
でも、本当の意味で「持続可能」にしようと思ったら、
それくらいの時間軸が必要なのかもしれません。
■■ 防災士の資格取得の補助も面白い
最近って、災害が多いじゃないですか。
そこで、防災士の資格を取る費用を100%補助する。
何か義務はナシ。ただ資格を取るだけ。
1年で6人定員ですぐ埋まったそうです。
それを10年続けるとどうなるか?
町内に防災士の資格を持った人が60人いるんですよ!
これってすごくないですか?
そして資格を取った人は、町内会の費用で取ったことに恩を感じている。
そうすると、町内で防災的な活動をするときは協力的になってくれる。
これもすごい循環だなって思いました。
■■ とはいえ、僕はもう疲れている(笑)
ここまで読むと、
「川嵜さん、やる気復活しましたね!」
と思うかもしれません。
いや。
そんな単純な話ではありません(笑)。
僕は今でも疲れています。
前回の記事に書いた、
「もう十分やっただろう」
という気持ちも変わっていません。
今から、
「よし!ここから20年計画だ!」
とは、とても思えない(笑)。
僕は来年の春で会長を辞めるつもりです。
そこは今のところ変わっていません。
ただ、
「もう何をやってもダメなんだ」
と思っていたところから、
「まだ違うやり方はあるのかもしれない」
くらいには変わりました。
落ち込んだ状態から、
少しだけ前を向いた感じかな。
■■ じゃあ、ハロウィンでやってみるか
今年の秋のハロウィン。
昨年はイベントをやりました。実は一時期、
「もうやる人いないし、中止でいいんじゃない?」
と思っていました。
でも、先日やった町内会のBBQで、
何人かの小学生が、
「ハロウィン手伝いたい!」
と言ってくれたんです。
そういえば、いたんですよ。
僕はそれを、
「お、手伝ってくれる子がいるんだ」
くらいにしか考えていませんでした。
でも今回の話を聞いたあとだと、見え方が変わりました。
手伝ってもらうんじゃない。
いっそのこと、
子どもたちに考えてもらったらいいんじゃない?
「今年のハロウィン、何やりたい?」
「どうしたら楽しいと思う?」
「自分たちで考えてみない?」
大人は、それを実現するためのサポートをする。
もちろん、いきなりうまくいくとは思いません。
子どもが何人集まるのかもわからない。
途中で、
「やっぱゲームやるから帰る!」
と言うかもしれない(笑)。
でも、それでいいのかもしれない。
まず一回、やってみる。
■■ ハロウィンが成功するかどうかより
今までの僕だったら、
イベントをやると、
「何人参加したか」
「無事に終わったか」
「来年もできるか」
みたいなことを考えていたと思います。
でも、もし今回子どもたちに企画してもらうなら、
少し違うところを見てもいいのかもしれません。
終わったあとに、
「楽しかった!」
と言ってくれたか。
「またやりたい」
と言ってくれた子がいたか。
中学生になっても、
「ちょっと手伝うよ」
と言ってくれる子が一人でもいたか。
その親が、
近所の人と一人でも知り合いになったか。
そういうものの方が、
本当は大切なのかもしれない。
その子が10年後、20年後、
この地域に住んでいる保証なんてありません。
でも、
「地域の活動って、自分たちで作れるんだ」
という経験は残る。
それだけでも十分意味がある気がします。
■■ 「次の役員は誰?」ではなく、「どんな町にしたい?」
今回のヒアリングで、
僕自身、一番反省したところです。
僕は4年間、
「どうしたら町内会を残せるか」
を必死に考えてきました。
でもその前に、
「どんな町を残したいのか」
を、もっと考えてもよかった。
次の役員は誰?
ではなく、
10年後、20年後、
ここがどんな町だったらいい?
たぶん、本当はそこからだったんですね。
まあ、4年目の終盤になって気づいたんだけど(笑)。
遅いわ!
でも、まだ今年度は残っています。
とりあえず、
ハロウィン。
子どもたちと一緒に、ちょっとやってみようかな。
前回の記事を書いたときよりは、
ほんの少しだけ、
前向きになっています。
