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『犬がお伊勢参りをした国 VS「送迎」が当たり前の国々。日本人が受け継いできた「安全」という文化の行方

妻と交代で、娘を幼稚園へ送り迎えする日々の中で、
ふと考えさせられることがあります。

「日本のように、子供が安全に自立して登下校できる国は、
世界にどれほどあるのだろうか?」と。

先日、仕事で日本へ一時帰国した際、
駅や電車で小学生(中には幼稚園の年長さんと思われる子まで)が、
大人の付き添いなしで、
集団や一人で通学している姿を頻繁に目にしました。

日本で暮らしていた時は当たり前でしたが、
16年間の海外生活で感覚が麻痺していたせいか、
外国人のように目が覚めるような衝撃を受けました。

私がこれまで駐在生活で見てきた数十カ国(特に中南米諸国)では、
子供だけで外を歩かせる・登下校させるということは、
防犯上の理由から「あり得ない選択肢」だからです。


アジアや欧州でも「1人」は成り立たない

では、他の地域はどうでしょうか。
調べてみると、
かつて治安が良好とされた、
スイスやドイツなどの一部欧州には、
小学校から自力通学の推奨・習慣があります。
ただ近年は移民流入関連の治安への懸念から、
親の警戒心が年々強まり、
保護者同伴のグループ登校などに、
変化しつつあるという記事もみました。

また、治安自体は良い韓国や台湾であっても、
過酷な交通事情や誘拐への警戒心から、
子供の登下校時は親の送迎が基本と聞きます。

つまり、子供の一人歩きは単に、
「治安の良さ」だけでは成り立たず、
「整備された交通マナー」、
そして「社会全体への信頼」が揃わなければなりません。

Netflixのドキュメンタリー番組;
『はじめてのおつかい(スペイン語題:mi primer mandado)』が、
海外で配信された際、
現地の人々から
「これはフィクションではないのか?」と、
驚嘆された理由がよく分かります。

海外の親から見れば、
日本の幼少期からの自立と自由と、
それを支えるインフラが、
無意識に落とし込まれた世界はまさに「奇跡」と言えます。

「犬」がお伊勢参りをできた国

余談になりますがFactに基づいた好きな話を一つ。
古来より日本は歴史的にも、
世界に類を見ない治安の高さを誇ってきました。

18世紀後半(江戸時代中期)のヨーロッパでは、
女性が一人で長距離を旅するなど考えられない時代でした。

しかし同時代の日本では、
女性が一人で東海道を通って、
お伊勢参りに出かけられただけでなく、
「おかげ犬」と呼ばれる現象すら存在しました。

病気で行けない飼い主に代わり、
首に路銀とお札を入れた巾着を付けた「犬」が、
街道を行く旅人や宿場町の人々に餌や宿を提供され、
善意のリレーによって、
伊勢神宮まで参拝して戻ってくる。

そんな歴史的事実がいくつも記録として残っています。

大人が子供を温かく見守り、
他人を信頼する社会。
私たちが日常で何気なく受けている安心や安全、
高品質なインフラは、
こうした伝統や道徳観を、
代々受け継いできた日本人自身が、
丁寧に維持してきたからこそ、
成り立っている社会システムなのだと、
帰国のたびに噛みしめ感謝します。

私たちが守るべき「見えないインフラ」

しかしここ数年、
一時帰国する度にどこか違和感があります。

それは、日本が少しずつ、
「中南米のように警戒が必要な社会」へと、
変容しているのではないか、という懸念です。

もちろん、私が暮らす中南米を含め、
海外にはポジティブな面もたくさんあり、
現地を揶揄するつもりはありません。

それでも治安、清潔、安全安心という、
made in Japanの伝統とインフラが、
ここ最近急激に損なわれていっていないか。

不安を感じるのは私だけでしょうか。

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