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元素シリーズ⑧ 《アルゴン》

絶対に働きたくないでござる!!


アルゴン (argon)
元素記号:Ar
原子番号:18

特徴

  • 無色 無臭 無味の気体

  • 非常に不活性 通常の条件下では他の物質とほとんど反応しない

  • 沸点が低い(約-186℃) 液体アルゴンとして利用することも可能


「アルゴン」という名前は、ギリシャ語で「怠惰」とか「働かない」という意味の言葉から来ています。
アルゴンさんは、貴ガス(18族)に分類され、誰とも積極的に関わろうとしません。「反応しない」を極めちゃってます。そのおかげで逆にアルゴンさんにしかできない事があり皮肉にも働いています。

🫛豆知識こーなー
「希ガス」なの?「貴ガス」なの?
以前は、希なガスなので「希ガス」と書いていたけど、アルゴンは大気中に窒素、酸素についで3番目に多い(と言っても1%未満)など、そこまでレアな元素ではないので、最近では「貴ガス」がメインで使われている。これは「貴族」から来ているらしい。やっぱ働かないから?
英語でも「rare gas」から「noble gas」に変更された(2005年)。

例えば、
溶接の現場。高温で金属同士をくっつける時、空気中の酸素が邪魔をして、せっかくの接合面が酸化してボロボロになることがあります。そこでアルゴンをシュッと吹き付けるだけで、酸素を追い払い、金属が安心して結合できる静かな環境を作ってくれます。
「働かない」って素晴らしい。

電球の中。フィラメントが光り輝くためには、邪魔者がいない静かな空間が必要です。ここでアルゴンさんが封入されていると、フィラメントが酸化したり、蒸発したりするのを防いで、電球の寿命をグンと伸ばしてくれます。
「何もしない」って素晴らしい。

北海道など寒い地域の、二重窓の間にも入ってます。
化学反応だけじゃなく、温度も通しません。

熱の移動を邪魔したり、食品の酸化を防いで鮮度を保ったり、精密機械の作業環境を作ったり、最先端の科学研究ではニュートリノを検出したり… アルゴンさんは、その「絶対に働かない」性質を活かして、ひっそりと役立っています。

何もしない。したら負けかな。( ʘ ө ʘ )


🫛豆知識コーナー
ヘリウムやアルゴンは「不活性雰囲気ガス」とも呼ばれています。
え?雰囲気?あの雰囲気?と思うかもしれませんが、化学界隈では、「雰囲気」は「ある特定の気体や、それで満たされた状態」のことを意味します。
なので、「不活性雰囲気」は「反応しないガスで制御された気体の環境」ということになります。紛らわしいですね。


以下おまけ


Deep Underground Neutrino Experiment (DUNE)

DUNE」(デューン)とは、ニュートリノという素粒子の謎を解き明かすことを目指した、国際的な大規模実験プロジェクトです。世界中から1000人以上の科学者が参加しています。

▶目的

・ ニュートリノ振動の精密測定: ニュートリノと反ニュートリノの振動の違いを調べることで、宇宙における物質と反物質の非対称性の謎に迫ります
 超新星爆発ニュートリノの観測: 宇宙で超新星爆発が起こると、大量のニュートリノが放出されます。DUNEは、これらのニュートリノを捉えることで、超新星爆発のメカニズムや、そこで作られる元素について研究します。
・ 陽子崩壊の探索: 陽子は、通常は安定な粒子と考えられていますが、非常に長い時間をかけて崩壊する可能性が示唆されています。DUNEは、陽子崩壊の兆候を探すことで、素粒子の統一理論の検証を目指します。

難しいことを言うておりますが、一言で言うと、
「そもそも我々はなぜ存在できてるのか?」という謎に迫ろうとしています。

▶実験施設

DUNEは、2つの検出器で構成されます。
近検出器(Near Detector): アメリカ合衆国イリノイ州にあるフェルミ国立加速器研究所に設置されます。ここでは、強力なニュートリノビームを生成し、その性質を詳しく調べます。
遠検出器(Far Detector): サウスダコタ州にあるサンフォード地下研究所の地下約1.6キロメートルに設置されます。フェルミ研究所から発射されたニュートリノビームは、地球の内部を1300キロメートル移動し、この遠検出器で観測されます。検出器は4つの巨大なタンクで構成され、それぞれ10000トンの液体アルゴンで満たされる予定です。

これは、史上最大の低温粒子検出器となります。
ライバルは岐阜県「ハイパーカミオカンデ」です。(2027年完成予定)

▶液体アルゴンの役割

DUNEの遠検出器では、ニュートリノの検出媒体として液体アルゴンが使用されます。その理由は以下。
高い密度: 液体アルゴンは密度が高いため、ニュートリノが原子核と相互作用する確率が高まる。
シンチレーション光と電離: ニュートリノが液体アルゴン中の原子核と衝突すると、微弱な光(シンチレーション光)と電荷が発生する。これらの信号を捉えることでニュートリノの種類やエネルギー、相互作用の起こった場所などを詳細に分析できる。
優れた追跡能力: 液体アルゴン検出器は、粒子が通過した軌跡を非常に高い精度で捉えることができる。

DUNEは、2030年代初頭の実験開始を目指しています。


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