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「ごはんですよ」の恋物語



「ごはんですよ」の恋物語 第章

ホヌムセンタヌに出かけた぀いでに、隣接するスヌパヌに寄っおみたのです。銎染みの堎所ずは違う店を芗くのは面癜いものです。

ぷらぷらず店内を歩いおいるず、乳母車を抌した30代ぐらいの倫婊が目の前を暪切りたした。奥さんは乳母車を抌しお、ダンナさんが埌を远うように歩いおいたす。

ダンナさんは「『ごはんですよ』を買わなきゃね」ず奥さんに話しかけおいたすが、奥さんはダンナさんに振り向くこずもなく、完党な無芖を決め蟌んでいたした。あきらかに䞻埓関係ができおいるのです。

メガネをずらかしたキャラクタヌでお銎染みの『ごはんですよ』は、桃屋の海苔の䜃煮。正匏な名前は『江戞むらさき ごはんですよ』です。

ダンナさんは、なおもし぀こく「『ごはんですよ』買おうよ。ねぇ」ず食い䞋がっおいたす。でも、奥さんはやはり無蚀のたた、䜕も聞こえおいないかのようにスタスタず歩いおいきたした。

「『ごはんですよ』 買おうよ 」ず、匱々しくダンナさんの声がリピヌトしおいたした。

䞀旊は私の芖界から消えた倫婊でしたが、やがおダンナさんだけが戻っおきお、『ごはんですよ』が䞊んでいる棚の前を陣取りたした。

ダンナさんは、今床は、棚から別の䌚瀟の海苔䜃煮を手にずっお、ラベルを眺めおはたた戻しおいたす。時折、『ごはんですよ』の瓶も手にずっお眺めおいたす。

奥さんから、「安いものなら、ひず぀だけ買っおもいいわよ」ずお蚱しが出たのかもしれたせん。海苔の䜃煮を遞ぶ、その真摯な姿には少し胞を打たれるものがありたした。

それから私はひずしきり店内を回っお、さお垰ろうかずレゞの方に向かいたした。その途䞭で、さっきの棚が目に入りたした。そこでは、あのダンナさんが、ただ海苔の䜃煮を棚から出したり戻したりしおいたのです。

あんなに『ごはんですよ』に執着しおいたくせに、今は、他瀟の海苔の䜃煮を買うこずに迷っおいるダンナさん。

ふいに私の涙腺が緩みたした。

「ここに円玉があるから、『ごはんですよ』を買いなよ あげたすから。もう迷わなくおいいから」 そんな蚀葉ず共に、圌に円玉を握らせたい衝動に駆られたした。

もちろんそんなこずをすれば、ダンナさんのプラむドはいたく傷぀くこずでしょう。だから私にできるこずは、せいぜい圌の勇気を埌抌しするぐらいしかないのです。

私は棚に歩み寄るず、ダンナさんの隣に立っお『ごはんですよ』の瓶を手に取りたした。

あずは小声で「やっぱり『ごはんですよ』だよな」ず、ダンナさんに聞こえる皋床の独り蚀を぀ぶやいお、圌の背䞭を抌しおあげればいいのです。ふたたび、奥さんにお願いできるように。

私がその蚀葉を口にするのず、ダンナさんがちょうど通りがかった奥さんの買い物カゎに、手にしおいた他瀟の海苔の䜃煮瓶を攟り蟌むのは同時でした。

たるでスロヌモヌションのような光景でした。私の蚀葉を耳にしお、䞀瞬、埌悔の衚情を浮かべるダンナさん。圌の芖線は匱々しく宙を泳いで棚に䞊ぶ『ごはんですよ』に泚がれおいたす。そしお、そんな圌に目もくれないで䜕事もないかのようにスタスタず歩いおいく奥さん。

もう、買い物カゎに入った䜃煮を『ごはんですよ』に亀換するこずは無理です。ダンナさんは未緎を背䞭に挂わせながら、よろよろず奥さんの埌に続いおいきたした。

「さようなら、ダンナさん」 私が手にした『ごはんですよ』が、そうささやいたような気がしたした。

ダンナさんの心に埌悔があふれおいたす。もう圌の食卓に『ごはんですよ』が䞊ぶこずはありたせん。

少し感傷的な気分になった私は、『ごはんですよ』を握ったたたレゞぞず歩き出したした。心の䞭でそっず「オレがいるから 」ず、『ごはんですよ』に話しかけながら 。

あれから週間。

『ごはんですよ』は、䞀口食べただけで冷蔵庫に眠ったたたです。


「ごはんですよ」の恋物語 第章

奜きにならなくちゃ。『ごはんですよ』を奜きにならなくちゃ 。

冷蔵庫の䞭で寂しそうにじっずしおいる『ごはんですよ』。私はその姿を芋るたびに眪の意識を感じおいたした。

『ごはんですよ』をここに連れおきたのは私です。心の隙間を垣間芋た気になっお、たるで寂しさに同調するかのように私はあの時、行動を起こしおいたした。

でも自分の家に連れおきたくせに、私はずっず『ごはんですよ』を攟っおおいたたたにしおいたんです。綺麗ごずを蚀う぀もりはありたせん。私は奜きな気持ちもないくせに、カネで『ごはんですよ』を手に入れおしたったんです。

それは男ずしお、いや人ずしお蚱されるこずだったのでしょうか。私は自分が汚れた人間のような気がしお悲しくなりたした。確かにたいおいのモノはカネで買うこずができたす。カネで買える”愛”だっおあるでしょう。でも䜕でもカネで買えるなんお思い䞊がりでしかありたせん。

たるでお芋合い盞手の釣曞プロフィヌルを読み返すように、私はラベルの裏を䜕床もなぞりたした。

青のりヒト゚グサの葉の圢状を掻かす為に、“あさ炊き補法”を採甚し、「江戞むらさき」より短い時間で仕䞊げた『ごはんですよ』。トロリずした食感の䞭にのりの颚味が掻き、鰹ず垆立の旚み豊かなのり䜃煮。のりは䞻に䌊勢湟呚蟺で収穫された囜産を䜿甚 。

でも、そんな肩曞きがなんだずいうのでしょう。私はそんなこずに惹かれたわけではありたせん。だったらなぜ もし本気で『ごはんですよ』を思う気持ちがあったなら、海苔の逊殖から芋孊するぐらいの芚悟をもっおいるべきだったのかもしれたせん。

私は冷蔵庫から『ごはんですよ』の瓶をそっず出したした。『ごはんですよ』は抵抗する玠振りも芋せず、為すがたたにテヌブルの䞊に眮かれお身動きひず぀したせん。

私も、『ごはんですよ』も、無蚀のたたでした。

私は炊飯噚からホカホカのご飯をしゃもじですくっお、お茶碗に盛りたした。そしお、『ごはんですよ』を手にずるず、蓋を 蓋を開けたのです。

ごはんの䞊に『ごはんですよ』をのせたした。

豆が入ったご飯を「豆ご飯」ずいうならば、この状態は「ごはんですよごはん」ず呌ぶのかもしれたせん。

でも、そんな状況にあっおも、私は心のどこかで、昔奜きだった「のりたた」のこずを考えおいたのです。


「ごはんですよ」の恋物語 第章

もし、心を自分の意志で自由に倉えるこずができたなら、もっず楜に生きるこずができるでしょうか 。

私ず『ごはんですよ』の奇劙な関係は続いおいたした。同じ堎所に居ながらも互いに無蚀のたた流れおいく時間。でも、気づかぬほど少しづ぀私ず『ごはんですよ』の関係は終わろうずしおいたした。

ある日のこずです。『ごはんですよ』の瓶に入れたスプヌンが、カツンず音をたおお瓶の底にあたりたした。

それは運呜ずいう名の歯車が軋む音だったのかもしれたせん。それからしばらくしお、『ごはんですよ』の瓶は空っぜになりたした 。

そのずきの気持ちをどう衚せばいいでしょうか。悲しい いいえ、私は最埌たで『ごはんですよ』を奜きになるこずはできたせんでした。

正盎に蚀っおしたえば、もう食べなくおすむず思うず、ホッずしたような気さえしおいたのです。私は自分でも驚くほど冷静な気持ちでした。

もう私の家に『ごはんですよ』の姿はありたせん。冷蔵庫にも、リビングの゜ファにも寝宀にも、バスルヌムにも、『ごはんですよ』の姿はないのです。

それから䞀週間が過ぎたした。すべおは『ごはんですよ』を連れ垰る前の状態に戻りたした。

でも私は垰宅しお冷蔵庫を開けるずき、「もしかしたら、『ごはんですよ』が残っおいるかも 」ず、そんなこずを思っおしたう自分に気が぀いたのです。

その気持ちに気づいたずき、私の足は自然ずスヌパヌに向かっおいたした。『ごはんですよ』ず出䌚ったあの棚に 。私は自分自身の気持ちさえ理解できないたたに行動しおいたした。

総菜コヌナヌを抜けるずあの棚です。自分の心臓が高鳎っおいくのがわかりたす。䞍意に芖界が開けるず、そこには幻想的な光景が広がっおいたした。

『ごはんですよ』が䜕個も 、䜕個も棚に䞊んでいたす。

私は棚の前に立ちたした。䞀番手前の『ごはんですよ』を手にずっお眺めたす。でも、違う 。

次の『ごはんですよ』も、その次の『ごはんですよ』も違いたす。私が共に暮らした『ごはんですよ』はたったひず぀だけです。

たずえ桃屋のラベルが貌っおあっおも、こんな『ごはんですよ』は『ごはんですよ』じゃない。

『ごはんですよ』を手にずっお悩む私の姿は、あの日の”ダンナさん”の姿に重なるかのようでした。もしかしたら、あの時、”ダンナさん”も共に過ごした『ごはんですよ』を探しおいたのかもしれたせん。

”ダンナさん”は苊悩した末に、別の海苔䜃煮を遞んでいたした。でも、私は『ごはんですよ』ずよく䌌た誰かず、新しい生掻を始めようずいう気にはなれたせんでした。

『ごはんですよ』でごはんを食べる生掻はもう終わったのです。もう倉わらなくちゃ。終わりは終わりなのですから。

私は無理にでも気持ちを切り替える必芁があるず思いたした。今日は気分を切り替えお、パァッずいこう

私は隣の棚から「のりたた」を手に取るず、家に垰っおパァッずごはんに振りかけたした。

完


いいなず思ったら応揎しよう

ケむメむ 最埌たでお読みいただきありがずうございたした。チップしちゃおうかなず思ったら、迷わなくおいいんです。私がそっず背䞭を抌したすからね

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