芋出し画像

自分の郚屋のトむレに誰かが入っおくるアパヌトに、幎間䜏んでいた話

もしかしたら、幻だったのだろうかず思うこずがある。
でも、自分は、確かにその郚屋で幎間暮らしおいた。
久しぶりに蚪れたら、すでに取り壊されおいた䞋北沢のあの建物に。


孊✣時代に䜏んでいた䞋北沢のアパヌトは、奇劙な構造の建物だった。
自宅を改修したアパヌトで、1階ず2階に2郚屋ず぀の貞し郚屋がある。

それだけなら、よくあるこず。
奇劙なのはトむレだ。

オレが借りおいた1階のワンルヌムは、6畳皋床の広さ。
シャワヌルヌムはないけれど、郚屋にはトむレが぀いおいる。
このトむレは、隣⌈ず共同で䜿✀する「共同トむレ」だ。

オレの郚屋ず、隣の郚屋は、トむレで぀ながっおいる。

䜕を蚀っおるかわからないず思うが、たずはこの図をご芧いただきたい。

䞋北沢のアパヌト

オレの郚屋は道路に⟯した1階。
この郚屋のトむレは、隣宀ずの間にあっお、オレの郚屋からも隣宀からも入れるようになっおいた。

トむレには぀のドアが぀いおいる。
それぞれの郚屋専✀のドアで、倖鍵ず内鍵が぀いおいる。

オレの郚屋からドアを開ければ、䟿噚の巊偎になる。
隣の郚屋からドアをあければ、䟿噚の正面になる。


このトむレを䜿うためには、次のように特別なお䜜法があった。

たずトむレをノックする
※隣⌈が䜿甚しおいるかもしれない

誰かが⌊っおいる気配がなければ、トむレの倖偎のカギをあける
※ドアには、倖鍵ず内鍵が぀いおいる

⌊ったら、隣人の郚屋偎のドアの内鍵をかける
※和匏䟿噚なので、これを忘れるず、しゃがんでいる最䞭にいきなり埌ろのドアを開けられおしたう

「どうかノックされたせんように」ず祈りながらコトをすたせる。

コトを終えたら、隣人の郚屋偎の内鍵をはずす
※これを忘れるず、隣人は、⟃分の郚屋のトむレを利✀するこずができなくなる

トむレからでたら倖偎からカギをかける
※これを忘れるず隣⌈がトむレ経由で䟵⌊できおしたう


もちろん、隣⌈だっお、この䜜法を守るんだけど、なんで⟃分の郚屋のトむレに⌊るだけでこんなにも気を䜿うのか。

だが問題は、それだけではなかった。

孊生だったオレを圓惑させた最⌀の問題は、「このトむレを共同で䜿っおいる隣⌈は、就職したばかりのOL」倧家さん情報ずいうこずだった。

トむレットペヌパヌで亀換日蚘なんお䜙裕はない。
⌥性ず共同でトむレを䜿うこずが恥ずかしくおたたらなかった。
もちろん、向こうは、もっずむダだったず思う。

このトむレは⟃分の郚屋の⌀郚でありながら、隣宀のOLさんの郚屋の⌀郚でもあるわけで、オレはトむレに⌊るたびに、「隣のOLの郚屋にこっそりず忍び蟌んで、トむレに朜んでいる気持ち悪い男」になった気がした。
眪悪感ず背埳感ず、「埌ろのドアが開くのではないか」ずいう恐怖。


もちろん、こんなトむレが防⟳構造になっおいるわけもない。

✊補のドアは平気で⟳を通すから、トむレにしゃがんでいる時に、隣宀のドア偎から、女性たちがワむワむず話す声が聞こえたりするず、オレの緊匵は⌀気にピヌクに達しお、「神様 どうか誰も来たせんように」ずお祈りにも⌒が⌊った。

もし、そんな状況のずきに、「ぷぅ〜」っお⟳が挏れお、同時にそれたで盛り䞊がっおいた隣宀が沈黙したら 。
そう考えるだけで恐ろしさに震えた。
震えるこずで音が出そうになっおた。

その埌の人生で、あたり願い事がかなわないのは、この時に、お祈り力の殆どを䜿い果たしたからだず思う。
もっず違うこずに䜿っおいればよかった。

平日日䞭は、隣人は出瀟しおいるから気が楜だ。
でも倜のトむレは、緊匵で匵り詰める堎所。
ドアの前で深呌吞をする。
できるだけ静かに、⟳を✎おないよう忍者のように✀を足さなければならない。


問題はただあった。

隣⌈⌥性は、⟃分がトむレを䜿✀した埌に、オレの郚屋偎の内カギをはずし忘れるこずがたたにある。

そうなるずオレは、「⟃分の郚屋のトむレから締め出される」ずいう理䞍尜な事態に陥っおしたう。

自分の郚屋のトむレなのに入れない。

これがパゞャマに着替えた真倜䞭で、「さぁ、トむレに⟏っおから寝ようかな」なんおタむミングだず、その切なさは蚈り知れない。

隣⌈に「トむレのカギあけおくださ〜い」ず叫べるわけもなく、オレは黙っお服を着替えるず、100メヌトル先にある深倜営業のゲヌムセンタヌたでダッシュしおトむレに駆けこみ、コトが終わるずパンチングマシヌンにやるせなさをぶ぀けた。

腹具合が悪くお頻繁にトむレに⟏きたい時などは、き぀い。
腹がた぀ずいうか、腹が痛いんだよ

なぜ、⟃分の郚屋にトむレがあるのに、わざわざ100メヌトル先たで、ギリの状態で䜕床も⟛らねばならないのか

なんでなんだ それが人生か 神様

そんな時はパンチングマシヌンだけではあきたらず、オレは、ゲヌセンからアパヌトたでの間に䞊ぶ電信柱に、⟶び蹎りをくらわしながら、「荒ぶる⌀⌈暎埒」ず化しお、倜の通りを吠えながら駆け抜けた。

䞀床だけ、トむレにはいったら、隣の郚屋ぞのドアが党開になっおいお、ぶったたげたこずがある。

自分の郚屋のトむレに入っただけで、家宅䟵入眪みたいな状況。

「地獄のどこでもドア」か

芋る気もないのに、䞞芋えの郚屋。

逮捕される自分の姿が脳裏をよぎった。

動転しながら、「どうか気が぀かれたせんように」ず、残り少ないお祈り力を振り絞っお、そぉっず隣宀ぞのドアに手を䌞ばしお閉めた。
隣人がいるかどうかは、トむレの角床からはわからない。

でも、閉めなきゃ、家宅䟵入眪だけじゃすたない。
誰も望んでいない恥蟱のショヌを披露した䞊に、公然わいせ぀眪たで加わるこずになる。

あんたりだろトむレに入るのは悪なのか ここは地獄か

オレのお祈り力が尜きる 。
死ぬかず思った。

でもね、ドアが぀だからただよかったよ。
もしも、これが぀の郚屋で共同で䜿うこずになっおいたら、オレは限界を超えおたず思う。
毎✇が、パニックで、気が䌑たる暇もない。

トむレに⌊るたびに、いちいち⟃分の郚屋以倖の3぀のカギをかけなくおはならない。

順番にカギをかけおる最䞭に、別のドアが開いお誰かが⌊っお来る。

オレは、「ひぇヌ」ず思いながら、慌おおそい぀をドアの倖ぞず抌し出す。なんずか抌し戻すず、今床は別のドアが開いお、たた誰かがはいっおくる。「いい加枛にしろ」ず思いながら、力を蟌めおこい぀を抌し出す。
たた別のドアが開きそうになるから、ドアを蹎飛ばしおそい぀を匟き飛ばす。

やっず党員を抌し出しおホッずするず、今床は突然、倩井がパカずはずれる。

「なんだっ」ず䞊を芋䞊げるず、ロヌプが垂れ䞋がっおくる。
階の䜏⌈がロヌプを぀たわっおトむレに降りおこようずしおる。

オレの我慢ず怒りは限界に達しお、✂句を⟔うためにロヌプを䞊っおいく。
階たでは意倖ず距離があるが、オレはぎゅっずロヌプを握っお、必死でよじ登っおいく。

もうすぐ階に到着するっおいうずころで䞋をみるず、い぀のたにか他の郚屋のダツらもロヌプを䞊っおこようずしおる。

オレは⌀声で、「コラッ このロヌプはオレんだぁ。切れちたうだろ 䞊っおくるな」っお叫ぶ。

その途端にロヌプが切れお、真っ逆さたに萜っこちおいく 。

「神様っおワザずむゞワルしおるよね」 by カンダタ



いいなず思ったら応揎しよう

ケむメむ 最埌たでお読みいただきありがずうございたした。チップしちゃおうかなず思ったら、迷わなくおいいんです。私がそっず背䞭を抌したすからね