見出し画像

本当にあった奇妙な話|狂⽜病の恐怖が再び訪れるとき

人類を脅かす疫病は、いつも突然に発生するものです。そして、コロナ禍を経験した私たちは、平凡な日常が、とても脆い基盤の上にあることを知りました。次の災いがいつ訪れるかは誰にもわかりません。

今回の話は20年以上も前のこと。私が「新宿」という街で、偶然に耳にした「狂牛病」の話です。あれから長い年月が流れたのに、私はまだその時の恐怖を忘れることができません。この話は、これまで公にしたことはありませんが、私はもう一人で抱えていることができないのです。


2001年の⽇本は、「狂⽜病」(BSE)と呼ばれる疫病が社会的な混乱を招いていました。ヨーロッパでは数千頭もの⽜が死に至り、⼈間にも感染する可能性もあったのです。

当時、私が、とある食堂で夕食をとっていたときのことです。
隣のテーブルから、若い女性同士の会話が聞こえてきました。

ふだんなら気にとめることもありませんが、ときどき「狂牛病」という単語が聞こえたので、私は、ついつい耳をそばだててしまったのです。

その会話は次のようなものでした。

「わたし、狂⽜病が怖いから、⽜⾁は絶対避けるようにしてるの」

「やっぱり怖いよね。ミンチとかだと⽜⾁が⼊ってるかもわからないしさ」

誰もが、牛肉に用心をしていた時期です。
彼女たちの会話も、決して大げさなことではありませんでした。

「今⽇のお昼も外で友達とランチだったんだけど、メニューみてたら『⽜⾁なんとか鍋』っていうのがあったの。いつもなら美味しそうだなって思うんだけど、牛肉は怖いから別の料理にしたんだ」

「何を注⽂したの︖」

「『ビーフシチュー︕』。友達も、やっぱり⽜⾁は怖いからって『ビーフ』にしてたよ」

「そうだよね! 牛肉は避けるよね」

衝撃でした。今でもまざまざとその時の光景が思い浮かびます。
人類は、もしまた「狂⽜病」が蔓延したとき、その危機を乗り越えることができるのでしょうか。

⽜⾁を避けることは困難です。「⽜⾁」が「ビーフ」である限り。


あれからもう20年以上もの時が過ぎました。しかし、現在も「牛肉」は「ビーフ」のままなのです。日本政府も国際機関にも、この現状を変える動きはありません。


いいなと思ったら応援しよう!

ケイメイ 最後までお読みいただきありがとうございました。チップしちゃおうかなと思ったら、迷わなくていいんです。私がそっと背中を押しますからね!

この記事が参加している募集