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AI時代に求められる人材について

経営学者の入山章栄のポッドキャスト「経営理論でイシューを語ろう」を前々から愛聴している。

最新号の「302:「一人一職種」は終わるAI時代に採用すべき人材は?」の内容が、とても興味深かった。

AI時代に求められる人材についての、入山教授の私見は以下のとおりである。

  • 自分が、いま企業の採用担当者ならば、大学学部の新卒なんか採らない。特に私立文系なんか絶対に採らない。彼らは、AIに真っ先に淘汰されるような職業に就く人たちである。

  • 採るならば、理工系か、さもなければ、「暴走族」「ママさんバレーのキャプテン」、あるいは「ナンパ師」みたいな、「ピープル・マネジメント」能力に秀でた人たち。

  • ペーパーテストで優秀な人であれば、AIで代替可能だが、こういう人たちのスキルはAIでは代替できない。

  • もちろん、AIが使えることが前提となるが、パソコンでワードやパワポを使うのと同様、AIもいずれ空気みたいなインフラになるし、みんなが使わざるを得なくなる。重要なポイントはそこではない。

  • スマイル・カーブの中間部分は、AIで代替可能。上流部分・下流部分が残る。これら両方を担える人材は強い。

冨山和彦は、著書の中で、AIに代替されず残るのは「ボス力」であると言っている。「ボス力」とは、以下の4つの能力である。

  • 本質的な問いを立てる力(プロンプト設計力)

  • 意思決定する力(判断力・決断力)

  • 人とAIを使いこなす構成力・指示力

  • 意思決定の責任を取る力(リスク選好と覚悟)

これらは、入山教授の言うところの「上流部分」に相当する。

冨山和彦は、併せて「アドバンスト・エッセンシャル・ワーカー」の重要性についても言及している。こちらは、「下流部分」のことである。

AIに代替される「真ん中」の部分の中途半端な人材は不要ということになる。

米国では、マイクロソフトのようなIT企業で大量のリストラが行われる一方で、サービス部門では人手不足が起きている。「上流部分」「下流部分」以外の「中抜き」が起きているということであろう。

入山教授の話によれば、日本でも新卒採用を絞る会社が増えてきている一方で、ニトリのような会社では通年採用で積極的に採用活動に取り組んでいる。店舗に立つ社員はAIでは代わりが効かない(少なくとも今のところは)からである。

「上流部分」「下流部分」をガッチャンコしたような「アメーバ組織」あるいは、米国の「海兵隊」みたいな、いろいろなスキルを持った人材の混成チームで、一気通貫で顧客のさまざまなニーズに対応できるような組織を編成することができれば、生産性が爆上がりするという事例は、入山教授が社外取締役を務める「株式会社ソラコム」というスタートアップ企業で既に実践済みであるという。「真ん中」はAIを活用すれば不要ということである。

しかしながら、こういう組織再編を機動的にできてしまうのは、スタートアップ企業だからであって、伝統的大企業には簡単なことではない。従来の人事制度を根底から変革しなければならなくなるからだ。

それにしても、こんなところで、海兵隊が話題に出るとは思わなかった。

経営学者の故野中郁次郎の著書に、『アメリカ海兵隊: 非営利型組織の自己革新』というのがある。海兵隊は、陸海空すべての軍事行動に対応できるような自己完結性のきわめて強い組織である。米国が海外で軍事行動を起こす際の先鋒部隊なので当然である。

現場のことを熟知した上で、意思決定もできる。

そういう人材であれば、AIに代替されないで生き残れるのであろう。



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