【超訳】岑参「磧中作」
唐代の詩人岑参の七言絶句「磧中作」(磧中の作)は、かのシルクロードの通る砂漠地帯の行旅を歌った詩です。苛酷な砂漠を行く孤独、不安、望郷の念を淡々と素描しています。岑参は、天宝八載(749)と十三載(754)に、節度使の属官として西域の安西と北庭(共に新疆ウイグル自治区)に赴任しています。岑参の詩の持つ迫力は、作者の実体験に裏打ちされた臨場感によるものです。
走馬西來欲到天 馬を走らせて西来 天に到らんと欲す
辭家見月兩囘圓 家を辞してより 月の両回円かなるを見る
今夜不知何處宿 今夜は知らず 何れの処にか宿るを
平沙萬里絶人煙 平沙万里 人煙絶ゆ
馬を駆って 西へ西へ 果ては天に到ってしまいそう
我が家に別れを告げてより 夜空の月が 二度満ちた
あてもなく続く旅路 今夜は 何処に宿るとも知れず
漠たる砂の海 万里の彼方まで 人家の炊煙も見えず
