「見えていない」ことが組織を最も危険にさらす
「校長先生、その件はもう何ヶ月も問題になっていますよ」
ある日、教頭からこう告げられた校長がいた。本人は「初めて聞いた」と困惑する。しかし、職員室では誰もが知っている事案だった。
これが、管理職の「死角」だ。
ハーバード・ビジネス・スクールのジョセフ・バダラッコ教授の組織研究(2019)では、組織トップの「見えていない領域」が、最も深刻なリスクを生むことが示されている。本人が認識できない問題は、対応のしようがない。
人間には誰しも「ジョハリの窓」で言う「盲点の窓」がある。自分は気づいていないが、他人には見えている領域だ。
管理職になると、この盲点が一気に拡大する。
理由は3つある:
教員が忖度して報告しない
「校長を怒らせたくない」と、悪い情報を隠す。
校長室が物理的に隔離されている
日常の会話、雑談が耳に入らない。
自分の役職への自信が、謙虚さを失わせる
「私には見えている」という錯覚に陥る。
文部科学省「校長の自己認識と組織実態のギャップ調査」(2022)では、校長の自己評価と教員から見た評価に、平均で30%の乖離があることが報告されている。
死角を減らす具体策:
「悪い情報」を歓迎する宣言をする
「悪いニュースほど早く知りたい」と繰り返し伝える。
廊下で立ち話を増やす
雑談の中にこそ、真実がある。
教頭・主任との定期的な対話
中間層からの情報を意識的に集める。
360度評価を取り入れる
年に1回、自分への評価を多面的に集める。
「外部の目」を借りる
他校の校長、教育委員会の指導主事——外からの視点を求める。
死角を「ない」と思う管理職こそ、最も死角だらけだ。恐ろしすぎる話だ。
だから、私はいつもみんなにお願いしている。「ネガティブ情報こそ真っ先に報告してほしい(頼む)」
——「見えている」と思う管理職こそ、最も見えていない。
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