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イラン戦争:日本のメディアではわからない海外の動き:「原油」「産業」そして「覇権」。日本はついていけているのか?

前回、イラン戦争に関して、高市早苗首相の

「日本に原油がますます届かなくなる動き」

について論じた。

その後、米国はイランによるホルムズ海峡の即時開放を条件にイランへの大規模攻撃を2週間停止することに同意した。

高市早苗首相は、停戦が決まると、ちゃっかりマスウード・ペザシュキアン・イラン大統領に電話した。ただ、一般論を話したのみで、特に意味がある会談ではなかった。自分もやってるふりのアピールをしたかったのだろうか。それでサナ活の方々が

「サナはがんばってる!」

となればいいのだろうかね。

と、思ったら、イスラエルがレバノンを攻撃。

イランは態度を硬化させてしまった。

展開がめまぐるしすぎるわけだ。

なにより心配なのは、日本のエネルギー安全保障の問題だろう。

日本のメディアは総じて、日本の石油、化学製品の原料の確保、備蓄について楽観的で、問題を詳細に報じない。例えば、現状でホルムズ海峡封鎖後、「最後のタンカー」が日本に到着した報道。

また、ホルムズ海峡を通らない原油も初めて到着したという。

これね、到着したことを報じるのはいいのだけれど、これらで届いた原油の量は、日本の原油使用量の数日分にもならないのでしょう?

そこは、報じないのだ。「タンカーが着きました、よかったね」という。でも、米・イランが停戦合意しても24時間ももたなかったわけで、政府のいうこと、メディアの報道を信じて、楽観的にいられるわけがない。

よく「政治不信」と言われるが、私はいつも

「国民不信」

だと言ってきた。政治家や官僚、メディアが国民を信じてないのだ。

例えば、消費減税。消費減税といわないと、叩かれる。炎上する。社会保障財源に必要と言っても、国民には聞いてはもらえない。そう思い込んでいるのだ。

本当はそんなことないと思いますよ。多くの国民は賢明。そうなのだけど、ノイジーマイノリティは暴力的でもある。恐れをなして、「不人気だけど正論」ということは、誰もいえなくなっている。

この石油の件もそうじゃないですかね。別に、石油が来ないという現実を知っても、多くの人がパニックになるわけじゃない。だけど、政治家や官僚は言わない。メディアは報じない。

ということで、本題に入りたいけど、海外のメディアをみていくと、日本とずいぶんトーンが違うし、日本のメディアではみえてこない動きもみえるんですよね。

尚、記事の紹介は簡単な要約にとどめます。また、著作権違反がどうのと言われると困ります(笑)。興味のある方は自分で記事を読んでくださいませ。

2026年という激動の年において、一連の記事(Financial Times, The Economist, East Asia Forum等)から浮かび上がるのは、イラン戦争という物理的な衝突を軸に、エネルギー、産業、そして国際秩序に大きな変化が起きつつあるということだ。日本はその変化についていけているのか?

それを、各記事を紐解きながらまとめておきたい。

1. エネルギー危機:物理的な「断絶」と価格の暴騰


「イラン戦争」は、これまでのオイルショックと異なるという認識が重要だ。つまり、供給不足による単なる原油高ではない。エネルギー供給網の「物理的な破壊」をもたらしたということが報じられている。

また、海外メディアは、日本と異なり、「国民がパニックを起こさないように」という理由で、情報を出さないということはしていない。むしろ、悪い情報であっても、国民に正確に出そうという意識が強いようだ。

日本の資源、運輸、物流はほんとの大丈夫なんすか?

The Economist「The Iran war is rapidly engulfing the region (イラン戦争が急速にこの地域を巻き込んでいる)」

https://www.economist.com/middle-east-and-africa/2026/03/02/the-iran-war-is-rapidly-engulfing-the-region

かつてのオイルショックは産油国による「供給調整」だったが、2026年の現在はミサイルや機雷による「物理的な航路の喪失」と「超大国によるエスカレーション」が重なるという、より制御不能な事態に陥っている。

Financial Times「Oil cargo prices surge as fears of supply shortage grip market(石油貨物価格が急騰、供給不足の懸念が市場を席巻)」https://www.ft.com/content/a121ee37-dc4f-44da-a6fe-ecbcd71110f3?syn-25a6b1a6=1

トランプ大統領による最新の演説が、イラン紛争のさらなる激化とホルムズ海峡の「長期封鎖」の現実味を示唆したことで、原油のスポット価格および輸送運賃が極限まで跳ね上がっている現状を報じている。

Financial Times「California’s fuel needs ‘left in the lurch’ by Iran war(カリフォルニアの燃料需要、イラン紛争により『置き去り』に)」。
https://www.ft.com/content/01b4ae28-0f13-4a32-90ef-afc4dc095cfc?syn-25a6b1a6=1

全米最大の人口を抱えるカリフォルニア州が、地理的な孤立とアジア市場への特異な依存が原因で、イラン紛争によるエネルギー危機の影響を全米で最も深刻な形で受けている実態を報じている。

フィナンシャル・タイムズ(FT)の2026年3月27日付の最新報道**「UK diesel stockpiles at risk, warn traders(英ディーゼル在庫に危機、トレーダーが警告)」**の内容を要約します。

この記事は、イラン紛争によるホルムズ海峡の封鎖が、英国のエネルギー安全保障における最大の弱点である「ディーゼル燃料」の供給網を直撃し、数週間以内に物理的な枯渇が始まるリスクを報じています。


Financial Times「UK to receive last tanker of jet fuel from Middle East this week(英国、今週中に中東からの最後のジェット燃料タンカーを受領へ)」。
https://www.ft.com/content/19f155b1-8b12-491a-bbc5-a3bdb2a2e607?syn-25a6b1a6=1
イラン紛争によるホルムズ海峡の事実上の封鎖を受け、英国の航空燃料サプライチェーンが「断崖絶壁」に立たされている実態を報じている。

Financial Times「Ships forgo cargo to carry fuel as Iran war sends prices soaring(イラン戦争による価格高騰で、船舶が貨物をあきらめて燃料を輸送)」。
https://www.ft.com/content/44c0b1bf-f8aa-459f-bc2e-69b5a3a733e8?syn-25a6b1a6=1

イラン紛争(Operation Epic Fury)の激化に伴う燃料価格の暴騰が、世界の海運業界のオペレーションを根本から変質させている異常事態を報じています。船主たちは利益を削るだけでなく、航行を維持するために「積載スペースを貨物ではなく、自らの燃料(バンカー油)の確保に割く」という、かつてない苦渋の選択を迫られている。FTは、この状況を**「エネルギー自給のない海運モデルの崩壊」と評し、グローバル貿易の「血液」である海運を詰まらせ、世界経済全体に深刻な動脈硬化を引き起こしていると締めくくる。

フィナンシャル・タイムズ(FT)「Barrick delays Pakistan mega mine as Iran conflict rattles region(バリック社、イラン紛争による地域情勢の動揺を受けパキスタンの巨大鉱山開発を延期)」
https://www.ft.com/content/3b175490-d91e-46c1-b7f8-56b23f176afb?syn-25a6b1a6=1
世界最大級の産金会社であるバリック・ゴールド(Barrick Gold)が、パキスタンで進めている総工費**90億ドル(約1兆3,500億円)の巨大プロジェクト「レコ・ディク(Reko Diq)」計画の延期を決定した。FTは、この延期を「戦時経済が実体経済の成長を食い潰す典型例」と評している。

フィナンシャル・タイムズ(FT)「Here’s the oil shock that Donald Trump can’t control(トランプが制御できない『石油ショック』の正体)」。
https://www.ft.com/content/c1b91fc5-729b-4c86-8624-8621edd2f75b?syn-25a6b1a6=1

イラン紛争下で原油価格が高騰する中、トランプ大統領が直面している「増産だけでは解決できない」真の危機――すなわち、石油精製能力(リファイニング)のボトルネックについて警鐘を鳴らしている。

フィナンシャル・タイムズ(FT)「Egypt imposes emergency measures to save fuel(エジプト、燃料節約のための緊急措置を導入)」**の内容を要約します。
https://www.ft.com/content/b72476fc-762d-44b2-9d94-ec1887373ca6?syn-25a6b1a6=1
イラン紛争による世界的なエネルギー価格の暴騰が、エジプトの国家財政を直撃し、政府が国民生活に踏み込んだ「戦時経済さながら」の節電・節燃措置を導入せざるを得なくなった危機的状況を伝えています。

フィナンシャル・タイムズ(FT)「A helium shortage could be the next Hormuz headache(ヘリウム不足、ホルムズ海峡の次なる頭痛の種に)」https://www.ft.com/content/8d715a36-ddb0-4dec-95c9-9a9b1214d873

ホルムズ海峡の封鎖が単に石油やLNG(液化天然ガス)だけでなく、ハイテク産業や医療に不可欠な「ヘリウム」の供給を断絶させ、世界経済に新たなパニックを引き起こしている現状を分析しています。

フィナンシャル・タイムズ(FT)「Asia turns to coal as Iran war chokes off gas supplies(アジア、イラン紛争によるガス供給途絶を受け石炭へ回帰)」
https://www.ft.com/content/f33e75a0-e64d-4736-867f-e08c741de6ab?syn-25a6b1a6=1

この記事は、イラン紛争とホルムズ海峡の封鎖が引き金となり、アジア諸国が「脱炭素」という長年の目標を一時棚上げし、最も汚染の激しい燃料である石炭への依存を急激に強めている実態を報じています。

中国、インド、および東南アジアの主要国は、電力網の崩壊(ブラックアウト)を防ぐために石炭火力のフル稼働を決定した。これにより、数年かけて積み上げてきたアジアの「クリーンエネルギーへの移行」は決定的な後退を余儀なくされている。

2. 産業構造の大変化:「地上」から「宇宙」へ

戦時下のインフレと資源不足は、テックや製造業の戦略を根本から変えてしまっていることを報じている。イラン戦争は、既存の産業にダメージを受けるだけでなく、新しい産業への構造転換を加速させている。

Financial Times『SpaceX IPO is Musk’s biggest financial moonshot』(スペースXのIPOは、マスク氏にとって最大の金融面での大勝負だ)
https://www.ft.com/content/ad4daba0-8dd2-48ee-a09f-2b6eabbc1c62?syn-25a6b1a6=1

不確実な地上を離れ、製造業などから「宇宙×AI」という極大のナラティブに巨額資金が移動している現状を詳述している。

イーロン・マスク氏が率いるSpaceXが、史上最大規模となる新規株式公開(IPO)に向けて動き出した。米証券取引委員会(SEC)に対し、IPOに向けた機密文書を提出し、目標とする時価総額は1.75兆ドル(約260兆円)、調達額は750億ドル(約11兆円)に達する見込み。

サウジアラムコの記録を大幅に塗り替える史上最大のIPOとなり、マスク氏はこれを単なるロケット会社の公開ではなく、「人類の未来への投資」として売り込んでいる。

2月に実施されたxAIの買収・統合が、今回のIPOの最大のセールスポイントとなっている。Starlinkの衛星網とxAIの技術を組み合わせ、地上での電力・土地不足を回避する「宇宙設置型AIデータセンター」の構築という、壮大なビジョンを投資家に提示している。

Financial Times『Microsoft launches ‘mid-class’ AI model as compute limit bite』(マイクロソフト、演算能力の制約が課題となる中「ミドルクラス」のAIモデルを発表)
https://www.ft.com/content/e511dfce-555d-4bce-90fd-d09db7529d96?syn-25a6b1a6=1

マイクロソフトが電力とチップの不足から、巨大モデルではなく「特定用途の中規模モデル」へ舵を切ったことが報じられた。AI開発もまた、計算資源という「物理的限界」に直面している。

Financial Times「Pump anxiety’ from soaring fuel prices prompts surge in interest in EVs(燃料高騰による『給油不安』がEVへの関心急増を誘発)」。
https://www.ft.com/content/870fd3af-1343-420b-ac92-9050b169a8a1?syn-25a6b1a6=1

中東紛争(イラン戦争)による原油価格の暴騰を受け、消費者の心理が「航続距離への不安」から「給油コストへの不安」へと劇的に変化している現状を報じている。これまでEV購入の最大の障壁だった「航続距離への不安(レンジ・アンクザエティ)」が二の次となり、電気自動車への関心、試乗予約、広告閲覧数が過去最高水準に達している。

FTが引用したデータによると、中国の比亜迪(BYD)の英国向け広告閲覧数は前月比で77%増加。中古EVの検索数は375%以上という驚異的な伸びを記録している。FTは、今回の事態を「エネルギー安保が個人の財布を直撃した結果の強制的な脱炭素」と評している。

フィナンシャル・タイムズ「Oil market chaos will supercharge the electric car shift(石油市場の混乱が電気自動車へのシフトを加速させる)」
https://www.ft.com/content/f9f58e28-0ce4-4640-8813-0abc31e466c5?syn-25a6b1a6=1

この記事は、現在の中東紛争(イラン戦争)による原油価格の激しい乱高下が、皮肉にも電気自動車(EV)普及の「最大の起爆剤」となり、内燃機関(ICE)車の終焉を決定づける歴史的な転換点になると分析しています。

3.国際関係の変化:中国の冷徹で打算的な行動

中国は米国が中東に釘付けになる隙を突き、台湾や南シナ海への圧力を強めている。中国は「同盟」ではなく、柔軟で打算的な「パートナーシップ網」を通じて、米国がコントロールできない多元的秩序を構築しようとしている。

フィナンシャルタイムズ(FT)「The Iran war cements China's superpower status」
(イラン戦争は中国の超大国としての地位を確固たるものにする)
https://www.ft.com/content/47edd17c-366f-42e4-b0cf-c20e065210d2?syn-25a6b1a6=1

トランプ政権下の米国が中東での軍事衝突「エピック・フューリー作戦」に深入りし、西側諸国がエネルギー価格の高騰とインフレに喘ぐ中、中国が「漁夫の利」を得る形でいかに経済的・地政学的な優位を決定づけようとしているかを論じています。

パシフィック・フォーラム(Pacific Forum)の論考「The Pilot #18: The Iran strikes: As history watches, China calculates(イラン攻撃:歴史が見守る中、中国が弾く算盤)」。

2026年2月に開始された米国・イスラエルによる対イラン軍事作戦(エピック・フューリー作戦)に対し、中国がどのような地政学的計算を行い、沈黙と発言を使い分けているかを鋭く分析している。

北京は、米国の対イラン攻撃を「戦略的な好機」と「存亡に関わるリスク」の両面から捉える。中国の基本戦略は、軍事的な深入りを避けつつ、米国のリソースを中東に釘付けにさせ、同時に自らを「平和の守護者」としてグローバル・サウスに売り込むという、極めて高度な「計算された日和見主義」に基づいている。

『East Asia Forum』の論考「The West continues to misread China’s partnerships(西側は中国のパートナーシップを誤読し続けている)」。

https://eastasiaforum.org/2026/04/02/the-west-continues-to-misread-chinas-partnerships/

緊迫する中東情勢やウクライナ情勢の長期化を受け、中国がロシアやイラン、そしてグローバル・サウス諸国と結んでいる関係を、西側諸国が「冷戦型の軍事同盟」と同一視して捉えることの危険性と、中国特有の外交論理を分析している。

中国の外交を「新しい冷戦」の枠組みで捉えるのを止めるべきだとする。中国が求めているのは、米国に代わる単一の覇権ではなく、「米国がコントロールできない、多元的で機能的な関係網」の構築だ。

フィナンシャル・タイムズ(FT)の2026年3月31日付の最新分析**「Iran war gives Chinese exporters chance to grab global market share(イラン戦争、中国輸出企業に世界シェア獲得のチャンスを提供)」
https://www.ft.com/content/5c353173-5c60-4ec0-8920-409caf77c4d7?syn-25a6b1a6=1

中東での「エピック・フューリー作戦」開始から1ヶ月。世界がエネルギー価格の高騰に震える中、皮肉にも中国の製造業が「エネルギーの要塞」としてその強靭さを露呈し、西側の競合他社からシェアを奪い取っている現状を論じています。

フィナンシャル・タイムズ(FT)「Could rising energy prices cure China’s deflationary funk?(エネルギー価格の上昇は中国のデフレ不況を治癒できるか?)」
https://www.ft.com/content/0c716ac2-6f8f-497b-8724-596234f12ebb?syn-25a6b1a6=1

イラン紛争(エピック・フューリー作戦)に伴う原油価格の急騰が、皮肉にも中国を長年のデフレの沼から引きずり出す「劇薬」となる可能性と、その代償について論じています。

フィナンシャル・タイムズ(FT)「Iran war gives Chinese exporters chance to grab global market share(イラン戦争、中国輸出企業に世界シェア獲得のチャンスを提供)」
https://www.ft.com/content/5c353173-5c60-4ec0-8920-409caf77c4d7?syn-25a6b1a6=1

中東での「エピック・フューリー作戦」開始から1ヶ月。世界がエネルギー価格の高騰に震える中、皮肉にも中国の製造業が「エネルギーの要塞」としてその強靭さを露呈し、西側の競合他社からシェアを奪い取っている現状を論じています。

それでは、またね。


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